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憂海歌
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敵の攻撃は止まず、爆音が俺達を恐怖へ駆り立てる。
ただ、そこにいるだけで…
ただ、皆が死んでくところを見ていくだけだった。
「あ、あああ…」
俺は、この残酷な戦場に涙を堪え切れなかった。
「ああぁああああああああ!!!」
「グライド!!……グライド……」
どうすることもできない。立ち上がる事も。
グレイ分隊長は肩を撃たれて倒れ込んだ。
だけど、叫び続けた。
「進めえええええ!!行けぇぇぇぇ!!」
俺は、だんだんと敵に対して恐怖から怒りへ変わっていった。
そして俺は震える足を何とか持ち堪えながら立ち上がる。
「グライド!?死んじまうぞ!?」
「…もう死んでもいいよ。ただ、死んでく仲間を見過ごす訳にはいかねえよ…」
俺は闇夜に輝く銃剣を敵に向け、奔る。
「グライド!!!!!!」
バリス、悪い。俺は先に行かせてもらう。
「死に晒せえええええ!!!」
目の前は敵の砲撃だらけだ。
放たれる閃光を突き抜けて、俺は奔る。
ただ、奔る。
「うぉぉおおおおおおお!!」
そして、敵の恐れおののく顔が目に入った。
これは、殺れる!!!
俺は塹壕に入り込み敵を刺し殺した。
「死ね!!死ね!!俺達を奴隷扱いしやがって!!!」
俺はそいつに銃剣を刺しまくった。
だが、それも一瞬に終わった。
他の敵が俺の頭に銃のストックを叩きつける。
とてつもない衝撃と目眩が俺を襲った。
「うぁ………く…そが……」
俺はそこで意識がなくなった。
バリス…他のみんな…ごめん………
目を覚ます。
息をする。
「…………あ、あれ?」
俺は死んでなかった。
奇跡的に生きていた。
横を見る。
「………グッドな突撃だったぜグライド」
バリスが所々に包帯を巻いた状態で寝ていた。
何だこれ?どんな状況だ?
「お前生きてたんだな」
「あったり前だろ!!お前が突撃した後、俺も立ち上がってお前の背中について行ったんだよ。」
「そうだったんだなー。」
「でもさ、お前めちゃくちゃ足速いからビビったよ………それで、殴られたお前を殺られないように部隊のみんなで守ったんだからな!!」
「ええ、そんな事があったんだなあ」
「……それだけか、殴られて頭おかしくなったんじゃねえの?お前……」
「いや、感謝してるよ。部隊のみんなとバリスに。ありがとな!」
バリスは腕を組みドヤ顔で俺を見る。
うぜえ顔だなあ。
そして俺はグレイ分隊長を思い出し質問する。
「グレイ分隊長は、どうなった?」
「ああ、グレイ分隊長も無事だったぞ。なんとかな。」
「そうか、良かった。」
「まあな、ただあの人は厳しすぎるよーな……」
「おい、バリス。お前なんか言ったか?」
「ひいいい!!?」
「お前だけ飯抜き、訓練10倍マシでも…文句は言えねえな?」
「いいですね。それ。」
「は!?グライド!!ふざけんなてめえ!グ、グレイ分隊長、今のはジョークですよ!!ジョーーーク!!」
「…ふん、まあいい。お前らのおかげで他の連中も突撃し敵の塹壕へ入り込めたからな。お見事、敵を蹴散らすことに成功。敵はバリリュー38高地まで撤退。」
「俺達、ホントよくやったよ。」
「ああ、グライドとバリスが塹壕に入り込んで敵を倒したお陰だな!」
他の仲間も俺達を褒めてくれた。
「みんな………ありがとう!!」
「なんか照れるぜー」
バリスはメガネをくいっと上げて笑みを浮かべた。
そんなバリスを見て俺も笑った。
死んでしまった仲間もいたが……
そいつらの分まで必ず生きて、戦ってみせる。