テラーノベル
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二回戦の相手は、まさかの――電気。
爆豪がリング脇で拳を握る。
「お前ら、手加減すんなよ!」
雷は無表情のまま、電気を見据える。
電気も元気いっぱいの笑顔を浮かべ、拳を突き出す。
「雷!負けないからね!」
ピストルが鳴り、二人はリング上で向かい合う。
無表情の雷は、静かに距離を詰める。
電気は雷の動きを見極めようと、雷の掌にわずかな電流が宿る。
音はほとんどない。
(狙う……でも、手加減は必要だ)
冷静に間合いを計りつつ、電気の動きを読み、電流を正確に制御する。
電気が飛び込んでくる。
雷は一瞬の隙をついて、掌の電流で軽く跳ね返す。
電気は少し驚き、手元の動きを調整する。
「うわ、雷……手加減してる?」
雷は無表情のまま前傾する。
その瞬間、微かに口元が緩む。「どうかな?」電気は笑いながら身をかわし、反撃を狙う。
二人の駆け引きは、観客席から歓声が上がるほど白熱する。
雷は冷静を維持しつつ、攻撃のタイミングを計る「バチッ!」電気のうえに覆いかぶさり、身動きが取れないようにする。
電気は目を丸くして「雷……マジでカッコいい!」と叫ぶ。
ミッドナイト 上鳴電気君行動不能!上鳴雷君、3回戦進出!
リング上で無表情と冷静さを保ちながらも、戦闘中のみ見せる短い笑み――
それが二人の戦いに、少しだけ親近感と緊張感を同時に生み出していた。
観客の歓声が最高潮に達するリング。
三回戦、相手は爆豪だ。
爆豪は拳を握り、牙を剥いた笑みで雷を睨む。
「お前、昨日みたいに無表情で逃げるんじゃねえぞ!」
雷は無表情で構え、静かに爆豪を見つめる。
掌にわずかな電流を宿し、呼吸を整える。
「おう、楽しませてもらうぜ!」
爆豪はすぐに突進してくる。
雷は冷静に間合いを計る。
爆豪が右からパンチを繰り出す。
雷は微妙に体重を後ろにかけ、電流で地面を軽く弾き、衝撃を吸収。
反撃の隙を狙って間合いを保つ。
「お前、手加減してるんだろ? 見えてるぞ、その冷静さ!」
爆豪の挑発に、雷は目を細めず、わずかにステップを変えるだけで応じる。
爆豪がさらに連続攻撃。
雷は掌の電流を走らせ、小さな火花を足元に走らせて地面の摩擦を変化させ、爆豪の突進のスピードを微妙に狂わせる。
爆豪はその違和感に一瞬ひるくが、すぐに笑いながら次の攻撃を仕掛ける。
「いいぞ、もっと感情出せ! 俺にだけでいい、な!」
雷は無表情のまま攻撃を捌き、爆豪の勢いを利用して側面に回り込み、電流で足元をわずかに封じる。
その瞬間、勝利の確信が頭をよぎる。
口元がわずかに緩み、「さすが爆豪、強いね。(ニコッ)」
リングの周り、観客やクラスメイトたちが一瞬息を飲む。
「えっ……雷、笑った!?」
「なんだあのセリフ……!」
電気が隣で笑顔で手を叩く。
「やっぱ雷、かっこいい!」
雷はすぐに無表情に戻り、次の攻撃に集中する。
爆豪も拳を握り直し、再び突進する。
リング上での二人の駆け引きは、観客席からの歓声と共に白熱していた。
冷静さの中に、戦術的に個性を使いこなす雷――
その短い笑みと完璧な立ち回りに、A組全員が息を飲む。
リング上、爆豪の猛攻が続く。
拳が雷に迫る。だが、雷は冷静に間合いを取り、掌の電流で地面を微かに弾き、爆豪の勢いをずらす。
「まだまだだな……!」
爆豪は笑いながら反撃してくる。
雷は表情を変えず、正確に距離を詰め、掌の電流で足元を封じる。
爆豪の動きが一瞬止まった瞬間――
雷は短く呼吸を整え、全力でステップを踏む。
そして、決定的な一撃を軽く触れるように放つ。
音もほとんどなく、だが正確無比な攻撃は爆豪のバランスを崩させ、リングに膝をつかせる。
観客席から歓声が上がる。
電気が目を丸くして拍手する。
「やっぱ雷、すごい!」
爆豪もリング上で息を整え、悔しそうに顔を歪める。
だが、目には確かな尊敬の色があった。
「……お前、やっぱ強えな……」
雷は口元をわずかに緩め、一瞬ニコッと笑う。
そして落ち着いた声で一言。
「爆豪こそ、強いじゃん。(ニコッ)」
リング周りの観客やクラスメイトはその冷静さと一瞬の笑みに息を飲む。
電気も爆豪も、そしてA組のみんなも――
雷がただ無表情なだけではなく、戦いの中で感情と技術を両立させる人物だと、はっきり認識した瞬間だった。
校庭に歓声が鳴り響く。
各競技が終わり、いよいよ体育祭の最終順位が発表される。
プレゼント・マイクの声が響く。
「一位は――上鳴雷!」
観客席やA組から驚きの声が上がる。
雷は無表情のまま、短く目を細める。(やっぱり…勝ったか)
隣の電気だけが、ニコッと笑いながら拳を握る。
「やっぱ雷、さすがだ!」
続いて二位。
「二位は爆豪勝己!」
爆豪は歯を見せて笑いながら、雷をチラリと見る。
「……お前、やっぱ強えな」
三位は轟焦凍。
冷静な表情でうなずきながらも、内心は悔しそう。
「次は負けない……」
雷はそのまま無表情だが、心の中では静かに戦いの満足を感じていた。
電気も爆豪も、そしてA組の誰もが――
雷がただ冷静で無表情なだけじゃなく、戦いの中で頼れる存在だと改めて実感する。
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