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今年もいい作品をありがとう
‐ 再生 ‐
最終話 『冷たい夢』
気付けば俺は、
レトさんに腕を無理やり引かれ、
抱き寄せられるような体制になった。
全く暖かくない。
冷たい。
rt「キヨくん」
驚くほど低い声で
名前を呼ばれ、 汗が首を伝う。
恐怖で動けず、なすがまま
俺は身を委ねてしまった。
俺はどこまでバカなんだろう。
rt「俺たちって、
なんで友達になったんやっけ?」
ky「…っえ、?」
俺たちが友達になった理由…
俺がレトさんの
ゲーム実況に惹かれて…
…じゃあ、ゲーム実況が存在しない
この世界で、俺たちは
どうやって出会った…?
何かの音が聞こえて、目を開ける。
ky「ん、…?」
スマホのアラームだ。
そのスマホにはこう書いてある。
《10月20日月曜日 0:00》
俺はどうやら机に突っ伏したまま
眠ってしまったようだ。
うん。
そっか。
夢だったんだ。
ふーん。
ky「よかったぁぁぁぁぁあ!!!!!」
防音室でもない部屋で
大声で叫ぶ。
俺だって嬉しかったら叫んで喜ぶ。
SNSを見ると、
俺の周年を祝うイラストや
文章がおすすめにズラリと並ぶ。
あ、そうか。
今日は活動16周年の日だ。
相変わらずバカだ。
自分の活動周年を忘れるとか。
何故か凄く嬉しくて、
いつもより嬉しくて、
その日はずっと暴れていた。
数日後、
俺の家に苦情が来るとは知らずに。
あんな夢、もう一生見たくない。
─END─