太中
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彼奴が居なくなった虚無な空間にぽつりと俺の言葉が浮かぶ
『居なくなって困る奴…ねェ……』
私はあれからずっと彼が夢に出てくる
でも、ただただ私が中也の小さな後ろ姿をじっと見てるだけで、彼が私に何かするなどは一切してこなかった
今でもあの悩みを抱えながら生活している
其れも、探偵社員もうっすら気付き始めているらしく、お茶を貰ったり、早く帰れる事が多くなった
其の周りの気遣いを貰う度、あの日の路地裏が目に入り、あの日の彼との会話が浮かぶ
其の日は体調が悪かったとしても、正直、私が悪かったと思う
今でも謝りに行こうかと思ってしまう
私は、あの時の路地裏を通らずに、遠回りして街の方を歩いて探偵社寮に向かった
一寸冷えた冬の横浜の街は黄昏ていて、其れでいて、辺りは五月蝿くて、人もそれなりに多かった
だから、本当に無意識に目を向けただけだった
会いたくなかった小さな彼に目が止まった
だって彼の髪は目立つから
会いたくなかったから、わざわざ違う道を通って来たのにと、思ったが一寸チャンスだと思ったのだ
この前の事を謝ろうとした
だって、このもやもやした思いを解決したかったから
「なんとなく、其れだけ」
と思って、私は彼の背中を追った
なんとなく、と思って追った彼はあっという間に見失ってしまった
でも、ここまで来たなら彼の家先に行って、話をつけようと思った
ここからなら、彼の家も近かった
何時の日か作って鞄にしまった儘の、彼の家の合鍵を持って早足で彼の家へと向かった
彼の家が四年前とは変わってなくて本当に良かったと思う
私は彼の家の扉の前に突っ立っていた
そして、合鍵を扉に差し込んだ
確かにがちゃりという音が聞こえて、扉が開いたと同時に、 まだ中に人は居ないという事が分かった
中は、想像を絶する光景だった
あの綺麗好きな彼の家は、泥棒が入ったのかと思う程、物が散乱していた
でも、ただ棚の上の小物等が倒れていたりしていただけだったので、不衛生とは程遠かった
内装もほとんど四年前と変わっておらず、ただ部屋がひどく荒れているだけの様子だった
昨夜酒を飲んで暴れたのかと思ったが、酒のゴミが見当たらない
其れどころか、生活する際に出るゴミすら、もほとんど見当たらなかった
つまり、暫くの間、中也は家に帰って来てないという事だ
その代わりに、空の睡眠剤のゴミと、瓶が出てきた
私が其れらを見ていると、玄関から扉が開いた音がした
『…誰だ』
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うぅ…お久しぶりです
昴です…
皆様覚えていらっしゃるでしょうか…?
今私は、何もかも没収されて、本格的にアナログの絵の方向へ進んでいます
頑張ってます…
コメント
2件
初コメ失礼します!! 文の書き方が上手すぎる...(?) 続き待ってます!!
わぁぁぁあ!!!!お久しぶりです!!お久しぶりです~~~!!✨ いやもう相変わらず文才が素晴らしくて...本当に大好きです!!太宰さんのひとりでずっとモヤモヤしてる感じが大好き過ぎます~~~!!🫶💕 アナログ...!!アナログって難しいんですよねぇ...アナログ絵頑張ってください!!✨