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うっすらと輝いていたのは、空に散った、小さな星たち。
この話は、高校最後の青春の話。
*
私こと、夜空 葵は、幼馴染の朝野 千鶴に片想いをしています。
高校最後の春。卒業前に、想いを伝えたいです。
…とは言ったものの。
どう伝えればいいかさえ、定まっていない。
やっぱり、定番に手紙?それとも直に?
「よし!」
部屋中に、葵の大きな声が響いた。
直に、伝えよう。
明日は卒業式本番。卒業式が終わったら、放課後の空き教室に呼び出して…!
「~!!!」
想像するだけで、胸が高鳴る。
じたばたと、足を柔らかな毛布に叩きつける。
「明日のために、一先ず寝なきゃね。夜だし」
布団の中に入り、ゆっくりと眠りに落ちていく。
*
むくり。
布団から起き上がり、重たい目蓋を開ける。
最初に目に写ったのは、いつもと変わらない、自分の部屋の景色。
だけど、いつもとは少し、変わって見える。
朝の支度を素早く終わらせ、気を引き締める。
「やるんだ、想いを伝えるんだ、私!」
自分を鼓舞して、やる気を高める。
*
最後に見る教室。
卒業という言葉が、脳裏に強く浮かぶ。
躊躇っても、時は待ってはくれない。
卒業式は、ゆっくりと、終わっていった。
心を決めて、千鶴を呼び出そう。
―――その時だった。
その光景を、見たのは。
一人の女の子。
二つに結われた、桃色の髪。
物言いたげな、紫色の瞳。
ずっと、私が伝えたかった言葉。
千鶴の答えは____
「俺も、好きだった」
ぽつり。
涙が、零れた。
想いを伝えても、無駄だったんだ。
この気持ちは、無意味なものだったんだ。
どうして、気づけなかったんだろう。
ぽつぽつ。
涙が、止まらない。
見られたくなくて、走り出した。
向かった先は、丘の上の公園。
そこのブランコにのって、景色を見るのが大好きだった。
けど、いくらブランコをこいで、景色を見ても、今は涙で霞んで、綺麗になんて見えない。
雨が降ってきた。
私の涙は、その雨に流されていってしまった。
「雨音が響いてるなぁ」
花壇に植えられていた、青いヒヤシンスは既に枯れていた。
「私の青、枯れちゃった」
気づいたら、空は晴れていた。
高校最後の春。
私こと、夜空 葵は、失恋してしました。