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うっすらと輝いていたのは、空に散った、小さな星たち。


この話は、高校最後の青春の話。



私こと、夜空 葵は、幼馴染の朝野 千鶴に片想いをしています。


高校最後の春。卒業前に、想いを伝えたいです。


…とは言ったものの。

どう伝えればいいかさえ、定まっていない。

やっぱり、定番に手紙?それとも直に?


「よし!」


部屋中に、葵の大きな声が響いた。


直に、伝えよう。


明日は卒業式本番。卒業式が終わったら、放課後の空き教室に呼び出して…!


「~!!!」


想像するだけで、胸が高鳴る。

じたばたと、足を柔らかな毛布に叩きつける。


「明日のために、一先ず寝なきゃね。夜だし」


布団の中に入り、ゆっくりと眠りに落ちていく。





むくり。


布団から起き上がり、重たい目蓋を開ける。

最初に目に写ったのは、いつもと変わらない、自分の部屋の景色。

だけど、いつもとは少し、変わって見える。


朝の支度を素早く終わらせ、気を引き締める。


「やるんだ、想いを伝えるんだ、私!」


自分を鼓舞して、やる気を高める。



最後に見る教室。


卒業という言葉が、脳裏に強く浮かぶ。


躊躇っても、時は待ってはくれない。


卒業式は、ゆっくりと、終わっていった。


心を決めて、千鶴を呼び出そう。



―――その時だった。



その光景を、見たのは。


一人の女の子。


二つに結われた、桃色の髪。


物言いたげな、紫色の瞳。



『好きです』



ずっと、私が伝えたかった言葉。


千鶴の答えは____



「俺も、好きだった」




画像


























ぽつり。




涙が、零れた。


想いを伝えても、無駄だったんだ。


この気持ちは、無意味なものだったんだ。


どうして、気づけなかったんだろう。


ぽつぽつ。


涙が、止まらない。


見られたくなくて、走り出した。






向かった先は、丘の上の公園。

そこのブランコにのって、景色を見るのが大好きだった。

けど、いくらブランコをこいで、景色を見ても、今は涙で霞んで、綺麗になんて見えない。



ザー。



雨が降ってきた。

私の涙は、その雨に流されていってしまった。



「雨音が響いてるなぁ」




花壇に植えられていた、青いヒヤシンスは既に枯れていた。



「私の青、枯れちゃった」



気づいたら、空は晴れていた。


高校最後の春。

私こと、夜空 葵は、失恋してしました。






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