hukaがfukaseと話すって言うからさ。
2人に内緒でケーキを買いに行ったの。
「2人共喜んでくれるかな」
そんな呑気なことを言いながら僕は歩いていた。
袋からはケーキの甘い匂いする。それは、2人が大好きなショートケーキだ。
huka。突然頭にそんな名前が浮かんだ。
自分の本能のままに動いた僕はhukaが壊れたあの場所に行ってみることにした。
「huka…」
小さくそうつぶやく。
fukaseにもhukaにも伝えていなかった。
ここにhukaが居ることは。
ゴミ捨て場に永遠と置いてあるhukaは前よりも少し汚れが増えているような気がした。
「huka、大丈夫だよ。
ちゃんと君のやりたかった事は新しいhukaがやってくれてるから。ね?」
僕はhukaに語りかけた。
それでも、彼女から返事が返ってくることはなかった。
「ありがとう、マスター」
一瞬だけ。ほんの小さな声でそう聞こえたような気がした。
huka。君はきっと今も僕の中で生きてくれているんだね。
「こちらこそfukaseと僕の為に生きてくれてありがとう」
僕はそう言うと、重い腰を上げて立ち上がった。
そろそろ2人の話も終わって居るだろう。
僕が帰らないときっと2人も不安になるはずだ。
huka、fukase。まっててね
道路に向かって1歩足を踏み出すと、視界の端に光が見えた。
その瞬間。
僕は大型トラックに引かれた。
視界は真っ赤に染った腕とぐちゃぐちゃになったケーキで染まっていた。
ケーキからは今も尚甘い匂いが漂う。
体が熱い。
ジンジンと骨に痛みが響く。腹部の痛みはもう感じられなかった。
きっと内蔵が潰れたのだろう。
泣き出しそうなくらい痛いのに。
声も涙も出なかった。ただただ真っ赤な血溜まりだけが、僕の視界を染めあげた。
生きたかった。2人にもう一度会いたかった。
僕はまた大切なものを失ってしまうんだ。
「ごめんね」
次の瞬間
僕の視界は黒く染った。
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