テラーノベル
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「……ですから、今回の納期に関して、東京の本社としてはこれ以上の妥協はできません」
会議室に、東京の冷徹で淀みのない標準語が響く。完璧に着こなしたスーツ、知的で涼しげな目元。どこからどう見ても、洗練された「東京のエリート」そのものだった。
対面に座る大阪は、椅子の背もたれに体を預け、面白そうに怜を眺めている。
「相変わらず手厳しいなぁ、東京さんは。でもな、現場の人間にも都合っちゅーもんがあんねん。そんなカリカリせんと、一回俺に任せてみ?」
「大坂さん、これはビジネスです。あなたの『任せてみ』という根拠のない自信に付き合うほど、私には時間がありません」
東京は眼鏡のブリッジを指先で押し上げ、ピシャリと言い放った。
大阪支社のエースである大阪と、東京本社の東京。プロジェクトの統合を機に組まされた二人だったが、事あるごとに反発し合っていた。東京にとって大阪の距離の近さとノリは計算外の連続で、調子を狂わされることばかりだったからだ。
「よし、会議はここまで! 東京さん、腹減ったやろ。美味いもん食いに行こか」
「……仕事中は東京と呼んでくださいと言ったはずです。それに、私はこれから新幹線で埼玉へ――」
「ええからええから!」
ぐいっと強引に腕を引かれ、東京は思わず声を詰まらせた。大阪の体温が、驚くほど熱い。
連れて行かれたのは、梅田の路地裏にある年季の入ったお好み焼き屋だった。
鉄板の上で、橙吾が鮮やかな手つきで生地をひっくり返していく。香ばしいソースの匂いが鼻腔をくすぐり、怜の胃が小さく鳴った。
「東京の人間って、お好み焼きで白米食われへんの?」
大阪が二カッと悪戯っぽく笑う。
「……炭水化物に炭水化物を合わせる意味が分かりません。太るだけです」
「冷たいなぁ。ほら、焼けたで。熱いうちに食べ」
大阪が小さく切り分けたお好み焼きを、東京の小皿に移す。
東京が恐る恐る口に運ぶと、外はカリッ、中は信じられないほどフワフワで、出汁の旨味が口いっぱいに広がった。
「……美味しい、です」
「やろ? 東京さんが美味そうに食うとこ、ずっと見たかったんよ。いっつも美味しくなさそうにゼリー飲料とか吸うてるからさ」
「それは、忙しいからで……」
思わず俯いた東京の、白く細い指先が小さく震えているのを、大阪は見逃さなかった。
東京本社の重圧を一人で背負い、睡眠時間を削って完璧を演じている東京。大阪には、それが危うくて仕方がなかった。
「……なぁ、怜」
不意に、大阪の声からいつもの軽薄なトーンが消えた。低く、鼓膜を震わせるような、男の声音。
「仕事の話は、もう終わり。敬語、崩してええ?」
「え……?」
東京が顔を上げると、すぐ目の前に大阪の顔があった。まっすぐに見つめてくる強い視線に、東京の心臓が跳ねる。
「いつも標準語で、壁作って、俺のこと遠ざけようとするやん。……それ、めっちゃ寂しいねんけど」
「大坂さん……私は、そんなつもりじゃ……」
「じゃあ、俺の名前呼んでや。大阪って。一回だけでええから」
距離が近い。鉄板の熱気のせいか、それとも大阪の放つ熱のせいか、顔が熱くてたまらない。東京は必死に冷静さを保とうと、視線を泳がせた。
「……無理、です。私たちは、仕事のパートナーで……」
「パートナーやったら、もっと俺を頼ればええやん。……それとも何? 東京の男は、そんなにプライド高くて隙ないん?」
大阪の手が、鉄板の下で怜の膝の上に重ねられた。大きな、働く男の厚みがある手。
東京はビクッと体を強張らせたが、振り払うことができなかった。
「俺、自分に東京帰ってほしくないわ。……新幹線、止まればええのに」
悪戯っぽく、だけど酷く真剣な目で、大阪が東京の耳元に囁く。
いつも無駄を嫌い、効率だけを求めて生きてきた東京の頭の中が、コテコテの大阪弁と、目の前の男の匂いで、ぐちゃぐちゃにかき乱されていく。
「……大坂さんは、本当に、ずるい人ですね」
東京が消え入るような声で溢した呟きは、店内の賑やかな喧騒と、お好み焼きが焼けるジューシーな音にかき消されて、大阪にだけ届いた。
みなさん元気ですか😀少しAIにも助けてもらいながら1時間かけてできました
バイチャ
コメント
16件
すげ!1時間もかけてこんなすっげぇ神作品作ったんや!さすがやね!(関西弁バージョン)
すご!1時間もかけてこんな神作品つくったんだ!さすがだね!(標準語バージョン)