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中学2年生の愛海(あいみ)は、ある下校時、掲示されていたポスターに目を留めた。それは、愛護センターに収容されている犬たちの特徴や収容期限を掲載した紙だった。そしてそこには、頭がハチワレのような白黒犬で、7匹の子犬を産んでいた。引き取り手が見つからず、収容期限が迫っていた。「命がけで頑張って出産したのに、生まれた時から母子そろって命に期限がついているなんて」驚き、ショックになった愛海は帰宅後、両親にこの想いを伝えた。いや、ぶちまけたと言ってもいいくらい必死に伝えた。すると想いが伝わり、「もちろんいいよ。ただ、うちにはファッキーがいるだろ?だから部屋は話さないとな。それに命に関わることだ。断るなんてできないよ。愛海。一緒に助けよう」「ほんと?ありがとう!」ファッキーは、猫エイズ陽性の茶白猫だ。
だが、ここで予想外の出来事が起こった。母犬はイノシシ用の罠にかかって捕獲された。それは三人とも承知だ。だが、引き取り当日、足が壊死していることがわかったのだ。そしてボランティア獣医師の判断で母犬、ももこは子犬と引き離して入院。手術をすることになった。
だから愛海は子犬育てに奮闘した。卓球部の部長で、愛海にラケットとボールをもたせたら鬼に金棒だと言われているが、その部活も休んだ。ところが1週間後、入院予定の日数を終えずして母犬、ももこを退院させてほしいと、動物病院から連絡が来た。
「母犬は攻撃性がなくおとなしい性格だったんだけど、病院から人がいなくなる夜間、外に出るためにケージを食い破ろうと暴れ、手に負えないと言われたんだよ。子犬の育児を手伝ってくれたボランティアさんからは、『退院させたとしても、そんなに暴れる子を引き取るのは無理じゃないか』『一度離れたら、もう子犬のことは覚えていないかもしれない』と言われて…行き場をなくしたから、ももこは、近くの保護シェルターの犬舎に預けて様子を見ることになったよ」父、秋斗(あきと)からそう言われ、愛海は号泣した。「でも戻ってくるかもだ。な。それまでこの子らを育てよう学校は休んでいいよ。好きな時にいけばいい。いかなくても家で勉強することだってできるぞ。だから落ち着け」秋斗はそうなだめた。
翌日、愛海は動物病院へ行った。なんとももこはフェンスを破っていた。ずっと逃げようとしていたのだろうか。愛海を見ると、ドサッと横になりました。愛海は「子犬たちの匂いがついた毛布だよ」と子犬の匂いがついた毛布を差し出しました。するとももこは、さっと起き上がり、鼻をつっこんでしきりに匂いを嗅ぎ回りました。「子どもたちに会いたかったんだね。もう会えるよ。これからは子どもたちと暮らせるよ」愛海はそういった。
センターから引き出して約一週間。久しぶりに再会すると、尻尾を降って子犬の体を舐め、世話を焼き始めた。そう。ももこは子煩悩な優しい母親だった。産後の肥立ちが悪く体調がよくない時も熱心に子育てをし、けがをした脚は骨が見えるほど痛々しかったが、子犬たちが踏んでも決して怒ることはなかった。
子犬は、奏(かな)、コパン、レイ、ももの、穂奈(ほな)、ちゅーな、爽(そう)と名付けられました。
ももこは特に息子、コパンを溺愛し、離乳の時期が訪れてもコパンにだけ欲しがる母乳をあげ続けました。
ある日、コパンがはしゃいで走り回っていた日、ヤブに顔を突っ込みました。そして、キャンとないてヤブから出てきました。理由はハチにさされたから。こんなやんちゃをするのはコパンだけでした。
ですが、コパンはももこから受け継いだ優しい気持ちを持っていました。愛海家はももこを引き取ってから、保健所からレスキューして里親さがしをしてていた。コパンは誰でも優しく、世話焼きだった。
一時預かりだったももこたちの保護。だが、レイ、ももの、穂奈、爽、ちゅーなは里親が決まったが、コパンと奏とももこだけは里親が見つからず、五年が経っていた。1回、申込みがあったものの、トライアル中、変更がおきて出戻った。
この先、里親募集するか愛海は悩んだ。「どうすればいい?」愛海は幾度もももこを撫でて訪ねたがもちろん喋ることもなく、ただただ尻尾を降っていた。そして、「ももこ、コパン、奏。うちの子になろっか」と手続きをして正式に愛海家の子となりました。そしてその翌年、保護場所や正確、毛色、毛の長さからももこの弟と言われた元野犬、アランを引き取りました。愛海一家は、野良犬、野犬というと、「怖い、恐ろしい、よくない病気や未知の病気を持っている、噛みつく、汚い」という悪い印象が浮かぶでしょう。でも、どんな犬も人が優しく接していればどんな子もみんな明るい子になるんです。