大阪〈AM9:13〉
平次と和葉は、アンに街を案内していた。
「なぁなぁアンちゃん、ちょっと銀行行ってもえぇか?」
「え? いいよ!」
アンに聞くと、和葉は近くの銀行まで走っていく。
すると――
「エイリーやないか! 久しぶりやな!」
子犬のような声が聞こえ、その方向を向くと。
真っ赤な髪に、ルビーのような瞳の。
耳にピアスをつけた――
「ぎ、ギギ! 久しぶり! 本っ当に久しぶりー!」
「ほんっま久々やな! レ……セオ君も元気かいな?」
「うん! ギギは、これからどこ行くの?」
「これからサクラ学園に戻って、そっからアメリカに戻るわ」
「そうなんだ!」
平次が入る隙もない二人の会話に、平次は疑問を覚える。
「二人って、アメリカ人なんか?」
ビクッ
肩を震わせるアンとギギ。
この二人、隠すのが下手すぎる。
「そ、そや。エイリーも俺も、アメリカ生まれや。な、エイリー」
「さっきからエイリーエイリー言うとるが、こいつの名前はアンや。なんでエイリーなんや?」
思ってたことを口にしていく平次。
ちょっとずつ焦りを覚える二人。
「あたしの名字、江入でしょ? だから、そこからエイリーっ。ね、ギギっ?」
「そ、そやそや! なぁ、エイリー?」
「……そういや、和葉のやつ遅いで。あいつ、寄り道してるんとちゃう?」
「あ、じゃあ、あたし見てくる!」
「あ、ちょ、待て! 待つんや!」
「じゃ、俺もついてくわ」
アン、平次、ギギの順で走り出す。
逆光のせいで、三人の顔はよく見えなかった。
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「あ! 平次ー! どうしたんや?」
「どうもこうも、和葉が遅いんが悪いんや」
「しゃーないやん!! 少し混んでもうて……って、あんさん誰や?」
「あたしの友達!」
「そうなんね! ちょー待っとってな!」
そう言い、しばらく待っていると――
「終わったでー!」
「じゃ、俺はここでさよならや。じゃあなー、エイリー!」
そう言い、ギギが出ていこうとすると――
黒服の男の一人が、拳銃を発砲した。
そして、男は――
そう、叫んだ。
そして――
「今すぐこの鞄に、一億を詰めるんだ!!」
そう言って、鞄を開いて銀行員に投げた。
「まずいで……」
ギギが言う。
「銀行強盗だ」
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