コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「ハシュラムさん、大変です!███君がいない!」
快晴の朝、部下が私の部屋へ飛び込んできた。昨日の夜、互いに笑顔で居酒屋で酒を飲んだ███君、あの黒縁メガネが脳裏に浮かぶ。
私は洗面台で自慢の髭をセットする暇も無いまま外へと飛び出した。
死者のヴィーナスの洞窟の前までたどり着いた。走ってきたのでしんどい。もう私も65なんだ。███君のような若造ではない。
私は息を荒くしながら洞窟の中へと入る。中は見慣れた死者のヴィーナスが並んでいたが、1つ、目に止まるヴィーナスがいた。
「こんなヴィーナス、いなかったぞ、、、?」
そのヴィーナスはまさに███君そっくりだった。いや、まさか、、、私はなんとなく下を見た。そのヴィーナスの足もとには血がべっとりと付いていたのである。私はびっくりして反射的に下がった。
そしてもう一度近づいてみる。そう言えば死者のヴィーナスは服の右下に死者名と死亡理由が書いてあるんだった。私は███君に似たヴィーナスの服の右下を見た。
私は全てを悟った。███君が都市伝説のせいで死者のヴィーナスになってしまった事を、彼は立派な、ヴィーナスになったんだ。
私はただただ涙を流しながら手を合わせた。横の美しい女性のヴィーナスがにっこりと微笑んだ気がした。