こつこつ
とある執務室にノックの音が漂った。それからまもなく、ドアの向こうから秘書の声が聞こえてきた。
「閣下、大使が到着致しました。」
「入れ。」
「失礼いたします。」
そして、ドアが開き、秘書ともう一人の女性が入って来た。秘書とは言え、彼女も立派な
「忠誠!」
軍人であった。勇ましい敬礼の掛け声と共に、右手を挙げて凛々しく敬礼をした。閣下と呼ばれた女性が分かったと言っているように、頭を軽く頷いた。
「失礼しました。」
と言った秘書は、部屋を出てドアを閉めた。
「どうぞ。」
座っていた椅子から立ち上がった部屋の主は、一つの机をいくつかの椅子が囲んでいる席に移しながら、自分が座ろうとする向こうの椅子を指した。
「ありがとうございます。」
大使はお決まりの文句と共に着席した。
「煙草、吸われますか?」
「はい。」
いつの間にか、口に煙草を咥えていた部屋の主は大使に煙草を一本渡し、大使の煙草にも火をつけてくれた。
「ふううう……」
「始めましょうか?」
「お願いします。」
大使の説明が始まった。
「要請通り、東部国境線に軍を集中配置し、射撃訓練を実施しています。」
「速くていいですね。兵力の人数はどれくらいですか?」
「1個師団です。」
「ふうううう….」
もう一回一服した部屋の主は、少しだけ悩んでいるような表情をしていた。約1分間、沈黙していた彼女はようやく口を開けた。
「私…..ちょっと戒厳令の期間を延ばしたくて。」
「てことは?」
「三日後、もう一つの師団を配置していただけますか?挑発の内容も、人的被害がない限り、何でも構いません。」
「それは一応、大統領閣下に報告してみます。」
「ありがとうございます。」
「以上で、よろしいですか?」
「あ、それと。」
部屋の主は煙草を灰皿にもみ消しながら話の流れを止めた。それと同時に微かの微笑みを保っていた彼女の顔が一変した。部屋の雰囲気も重く沈んでしまった。
「最近、うちらの中央部が帝国で多発している男拉致事件を調査している所なんですけど……」
「そうですか。」
大使は平常心を保っていた。
「そちらと関係しているとの報告を受けましたが、まさか……違いますね?」
部屋の主は無表情で質問した。彼女の言葉を聞いた瞬間、大使の頭についている猫耳がぴくっとした。しかし、大使も扱いやすい人物ではなかった。
「議長閣下、私が今日ここに来た理由は両国の取引のためです。このような質問に私独断で返答することは越権になりますので、お答えできません。」
「まあ、確実な証拠はないようですし、これ以上は言わないことにします。ただ、我が国も座視していることではないという事実だけは知っていただきたいですね~じゃ、以上で。」
「…….失礼しました。」
大使は急ぎ足で部屋を立ち去った。議長は携帯を出して誰かに電話をかけた。
「お疲れ。早速だけど憲兵隊長、防衛司令官、教育司令官の3人、景武台に呼んでくれる?。うん。分かった。」
議長の通話は長くなかった。電話を切った議長は薄笑いの顔で独り言を口ずさんだ。
「くそ獣人やろうが…..」
黒雪さんの話によると、ここは「大令華帝国」という国らしい。元々は千年を超える歴史を専制君主制の国家だっが、20年前の軍事クーデターが発生、皇帝は全ての政治権力を失い、軍部が統治する国となった。最初は国家改革と国力増強を掲げ、北の「蘇天連邦という敵対国家から領土を勝ち取るなど、善戦していた。しかし、時がたつほど内部から腐敗してしまった軍部から数多な問題が多発した。クーデターを取り仕切っていた当時の最高権力者の娘さんが母親に対抗し、内戦となり、ここで勝利したその新軍部が昨年から執権したという。
「それで、「脇坂明日翔議長閣下が帝国のトップです。」
「議長?」
「はい。帝国再建最高会議という機関の議長です。」
「その最高会議という所が政府の役割を果たしているんですか?」
「そうです。軍の指揮はもちろん、立法・司法・行政・治安の全てを管轄しています。」
「え、軍が治安まで?じゃ、警察はないんですか?」
「ケーサツ?ということはよく分からないんですけど、憲兵隊が担当しています!」
さっきはなぜ警察じゃなくて軍人に捕まったのか、ようやく分かった。立法・司法・行政を独占しているなんて……最初にクーデターを起こした軍部が何で腐敗してしまったのか、それは当然なことだった。
「じゃ……最後にお聞きしたいことがあります。外とか、町とか、この店の中も、**何で男はいないんですか?**今まで他の男の人を見かけたことがないんですけど。」
「男性がほぼいないからです。正確に言うと、極端に少なくて貴重な資源というか……あ!別に高木さんが資源だといいたいことじゃなくて、あくまで簡単に言うと資源みたい存在だと言えますね。週に一回偶然見かけたら運がいい方とです。」
「え?じ…じゃ……どれくらい……」
「帝国の全体人口の中で5パーセントくらいですね。」
「ご…..ご…..5パーセント?????な…..何で??」
「それが人類の最大の謎ですね~私も知りたいです!」
35や、15でもない5パーセントという数字は極端という単語に似合う数字だった。もし、この世界に観光客の感覚で来て、二つの世界を自由に往復できると言うなら、非常に★ラッキー★な状況かも知れない。男なら誰でも喜ぶと思う。残念ながら俺はこの世界でいつまで暮らすことになるか分からない。
「ちなみに、男の特徴を思い出せるだけ言ってくれますか?」
「えええっとですね……背丈が低くて、図体が小さくて、力が弱い哀れな兎というか……」
やはり、この世界では男女の身体能力が真逆になっていた。これは俺の体でもう検証済みのことだった。
「そしてエロ……じゃなくて!!!!可愛いです!何か守ってあげたいな~みたいな!!!!」
今までの女の子たちの言動から考えると、貞操観念も逆のようだ。
「もし、夫が外で稼いで、妻が家事を営む家庭があったとしたら、黒雪さんはどう思いますか?」
「え、妻がどれだけ無能だったら、夫がお金を稼ぐんですか??私だったら、そんな事は絶対許しません!妻が外で仕事をして、帰宅したら夫はそんな妻を暖かくおかえり~と出迎えて、夫が作った美味しいご飯を一緒に食べて~夜にはエッチなことをいっぱいしまくって~~えへへへ……そして、朝になっても……」
いきなり一人で暴走を始めた。黒雪さんが言ってたことの元々のバージョンだとしたら……うん。黒雪さんの気持ちには十分理解できる。もし、この状況が元の世界だったら男が女に**エッチなことをしまくりたい!**と言っているのか。
「ぷっ!wwwwあははははは!」
「そして…..え?」
結局、こんな茶番みたいな状況で俺は笑いを抑えることができなかった。この世界で初めての笑いだった。
「そ…..そんなにエッチなことがしたいんですか?(くすくす)」
「わ…笑わないでください!!!女の子なら当然でしょう!!!!」
黒雪さんは顔が真っ赤になって、俺に怒鳴った。大きな声のせいで、周りの人々がこちらの方をちらちら覗いていた。
「*デートかな~*」
「*くそ、リア充カップル死ね。*」
俺たちの会話を聞いて、誤解する人々も出て来た。
「俺もエッチなこと好きですから、そんなに怒らなくていいですよ~」
「誤魔化すための嘘は要りません!」
「本当ですよ~」
「し…..信じませんよ!」
「じゃ、どうしたら信じて貰えますか?」
俺は彼女の反応があまりにも可愛すぎて、もっとからかってみたかった。この時の俺は、この世界の貞操観念が真逆であることを過小評価していた。もっと詳しく考えてみると、元の世界の男の貞操観念は異性が50パーセントの環境で形成された。日常的に毎日異性の人間と接している。しかし、こっちは女として、異性は5パーセントしか存在していない。そとで偶然見かけることすら珍しい。だとしたら、こっちの世界の女がどれだけ飢えているのか。それは俺が到底予想できるものではなかった。
「今の言葉、本当ですか?」
「はい。もしろ、こっちから黒雪さんにやましいことたくさんしたいです。」
「ハグも?」
「はい。」
「キスも??」
「はい。」
「セックスも???」
「はい、セック…..え?」
俺はようやく黒雪さんの様子がおかしいことに気づいた。にやにやしている顔で、目は藪の中で獲物を観察している野獣の目をしていた。こわ…..
「そ…..それはちょっと早すぎると思います!てか、今日初めて出会った人とやるっておかしいですね!!ハハハハハハ!」
俺はこの空気を和らげるために、無理をして笑ってみた。
「無駄です。」
「え?」
「今の会話、録音しました。」
黒雪さんは俺に携帯の画面を見せた。バッチリ録音中だった。
「ハグからしてもいいですね。」
「いや、ここではちょ……」
むにゅ
非常に柔らかいおっぱいが当たって来た。めっちゃ気持ちい…..じゃなくて!不意打ちされた俺は何の対処もできなかった。同年代の女の子とする初めてのハグだった。
「男の子の匂い、やばいな~~~」
俺を抱きしめている黒雪さんの力は想像以上で、そろそろ息ができなくなりそうだった。
「い….いや…..ちょ……息が…….」
「えっ!すみません!取り乱してしまって……」
ようやく黒雪さんは抱きしめていた手を放してくれた。
「だ…..大丈夫…..ケホ!ケホ!!!」
咳をするくらい、強い力だった。この世界の女の子は一体…….
「じゃ、次は……」
「もっとやるんですか???」
「キスを…..それはここでは無理かな…」
俺をあっさりと無視し、一人で何かを悩み始めた。
「き…今日は大変お世話になりました!じゃ、またどこかであ…」
「お座り。」
「はい…」
席を立とうとしたが、簡単に却下された。俺、さっきも似ている経験をしてたような…….
「高木さん。」
「ど…どうぞ。」
「今日、どこで泊まるつもりですか?」
「あ。」
そうだった。今逃げた所で、また外で憲兵隊に捕まるはずだった。そして、黒雪さんがこれからどんな提案をしてくるかは…….
「じゃ、一応私の家に行きましょう?一人暮らしなので、これからの予定には何の支障もありません!」
意図が見え見えだった。
「行かないとどうなるんですか?」
「憲兵…」
「ここから遠いですか?」
「歩いて10分です!行きましょう♥」
黒雪さんは俺の手を握って、店の外に向かった。この世界の女が全員、怪力の持ち主であるように黒雪さんも例外じゃなかった。黒雪さんに手を握られたまま、彼女の家へ導かれた。
「ちょっ…..黒雪さん!速過ぎです!」
「………」
何も言わないまま、黒雪さんは早足で引き続き前に進んだ。俺が後ろにいたため、黒雪さんの表情を確かめることはできなかったが、彼女の荒い息から察してみるとこれは激しい身体の動きによるものじゃなくて、心理的要因によるものに見えた。
いつの間にか、黒雪さんが住むマンションに到着した。高校生が一人暮らしをしているマンションとは言い難い、結構贅沢なマンションだった。黒雪さんは素早い速度でオートロックの番号を入力し、俺たち二人は、エレベーターまで着いた。黒雪さんは7階のボタンを押した。7階まで向かう途中の短い時間があったため、俺はもう一度黒雪さんに声を掛けた。
「あの~~~……黒雪さん?」
「……….」
今回も返事がなかった。今度は黒雪さんの顔が見えた。黒雪さんは俺の予想と違う表情をしていた。下を俯き、彼女の顔は暗かった。俺が黒雪さんの様子を分析する暇もなく、エレベーターは7階に着いた。エレベーターから降りて、右に直進した俺たちは707という数字が書かれている部屋の前まで到着することができた。黒雪さんの顔は相変わらず暗かった。到着した途端、黒雪さんは手を放してくれた。この状況から約20秒の間、短くて長い沈黙が続いた。黒雪さんからようやく口を開けた。
「これって……完全にレイプですね…」
「今更?!」と突っ込みたかったが、ようやく我慢することができた。何か結構真剣な雰囲気だったため、この状況を茶番劇に落とす行為は一応控えることにしよう。俺は黒雪さんの気持ちを尊重し、俺の気持ちをそのまま伝えることにした。俺も前世で、女の子たちに俺の気持ちをたくさん篭絡された経験があったため、そいつらとは一緒にはなりたくない。勇気を出して告白したのに、それがクラス中に噂になって1年間いじめられたり、罰ゲームで告白されたが、騙された俺は嬉しすぎて一晩中偽りの幸せを満喫したり、「月5万円貢いでくれたら付き合ってあげるwww」とかのくそみたいな提案を受けたり……………………..ああああああもう!これ以上思い出すのはやめよう!気分が落ち込んでしまった……..
「…..ちょっと強引な所があったのは否定できませんね。」
「そうですね。私、男とこんなに長く話したこと初めてで、本当に嬉しかったんです…….高木さんは冗談でおっしゃったことを真に受け入れて…私一人で燥いでしまって…..今日は本当に失礼….」
異性と長時間話したことがないということは、俺も同じだった。(まあ、理由は違うけど…)
「でも。」
「?」
「強姦という犯罪は、双方の意思が合致していないのに一方が無理やり事を進めるという言葉でしょう?」
「はい?」
「俺が黒雪さんとエッチなことがしたいと言ったのは嘘じゃないんです。」
「て…..てことは?」
黒雪さんの顔に微笑みが広がっていった。
「俺と!付き合ってくれませんか!」
高校時代を最後に、約10年以上したことがない告白の言葉を相手に伝えた。これ、本当に恥ずかしいなあああ!高校生の俺は一体どうやって言えたんだろう。
「そ……そ…….それって!!何処かに一緒に付き合うとかの意味じゃないんですよね!!!!」
「はい。男女の交際のことです。」
「わ…私の人生で……男に告られる時が来るなんて!!!!!!」
「しょ…..正直、自慢じゃないんですけど…俺も初めてなんで…….最初は他人じゃなくてちゃんと付き合ってる人としたいというか…….」
この状況は完全に真逆じゃないか!!!俺は何で女の子が言うようなセリフを言ってるんだよ!で…でも、男としても初めての瞬間は歴史的なものだからというか…..これから俺がリードしないといけないのに…….
「え??じ…じゃ….高木さん…..童貞だったんですか?!?!」
「恥ずかしいから、大きい声で言わないでください!!!!」
「……….」
黒雪さんは部屋のドアを開き、俺に2回目の不意打ちをしてきた。
チュルルルルルルルルルプ
黒雪さんは両手で俺の頭を掴み、俺を家の奥に引っ張りながら濃いキスをした。いや、キスというより溶ける寸前のアイスを急いで食べるような感覚と同じだった。黒雪さんの舌は俺の口の中を完全に蹂躙した。すごくよかったけど、俺が想像したのはもっとお互いを堪能するキスだった。これは一方的にやられているだけじゃないか!
これが2分間続いた…..1分が経ってからは、気持ちいいというより息ができなくて苦しいだけだった。てか、この人本当に初めて?
「ふあういあん、あふへてふははい…..」
「…ちゅ…んっ……ちゅ…んはぁ……」
ようやく話してくれた。俺たちの口の間には長いよだれの糸が跨いでいた。よだれのせいで俺の胸倉も完全にじとじとになっちゃった…..
「私も初めてなのでよく分からないんですけど、理論の勉強はガッチリです!」
と言いながら黒雪さんは、自分の服を脱ぎ始めた。
「え?!もう始めるんですか?ちょっと心の準備を…それと、これからは告白の返事をして、何で好きになったのかについて説明する流れでは…..」
「何を言ってるんですか?!?!織姫さんと彦星さんも今頃だったらずっこんばっこんですよ!」
こうして転生した当日、**俺は童貞を卒業した。**やっぱりこれ、レイプだったかも……….父さんに会いたいなあ…
また、とある会議室。議長は憲兵隊の憲兵隊長、首都防衛司令部の防衛司令官、教育司令部の教育司令官と共に会議を行っていた。
「…….ということで、本当に攻めてくることはないが、くれぐれも前方の防衛はよろしく~」
「はい。」
憲兵隊長は凛々しい顔で答えた。
「…….この件、本当に大丈夫でしょうか。」
中年女性にみえる教育司令官が質問した。
「絶対ばれないって。帝国中央部の名声はよく知ってるだろう?ばれたとしても、公にされることもあり得ないし。」
「その件じゃなくて…..この…」
「士官学校のこと?」
「はい…..士官学校の併合と平民の入学許可、しかも男性の入学まで可能になるなんて……」
教育司令官が心配している顔をしながらそう語った。しかし、先ほどから静かだった防衛司令官が口を開けた。
「私は賛成します。連邦の*帝国は男性を迫害する未開な国**だ*というプロパガンダにも呆れた頃でした。そろそろ、こちらからも反撃をせねば…..どうせい構わないと思います。閣下がおっしゃった通り、女だらけの軍に入隊しようとする男はないでしょう。通り一遍のことです。」
「しかし、現場から不満が出てくることは明らか……」
「不満?」
その単語を聞いた途端、防衛司令官の顔が険しくなった。
「上官の命令に不満の声を出すことは言語道断!命令が出されたら服従するからこそ軍人だと言えます。閣下の意図すら把握できないやつらは士官、いや、軍人の資格すらありません。」
「まあ~まあ~これも戒厳令を延長した理由に含まれることだけどね~」
にやにやしながら議長は隠されていたもう一つの意図を公開した。
「!!!戒厳令で忙しくなったうちに改革を進めるということでしたか!」
憲兵隊長はこう感嘆した。
「今日で革命の一周年になった。平民の入学許可を進める時、皆感じただろう?」
議長を除いた3人とも頭を頷いた。
「革命から一周年になるが、我々はまだ完全に軍を掌握していない。この状態では、我々が目指している帝国の改革はできない。皆、もうちょっと頑張ってくれ。以上。」
「「「忠誠!」」」
憲兵隊長と司令官の2人は敬礼をしてから部屋のドアに向かった。しかし、何故か教育司令官だけ踵を返して、議長が座っている席の前で立ち止まった。
「どうした?」
議長は煙草を吸いながら、戻った理由を聞いた。
「もし…..そんなことはないと思っていますが、万が一男の志願者がいた場合はどうすればよろしいでしょうか。」
「そうだな~ふむふむ…..」
議長は机に頬杖をついたまま少しの間、悩み始めた。頬杖をついた状態でもう一服をした議長は答えた。
「最近、士官生徒の風紀が乱れているって?」
「……相当に乱れています。平民の入学による影響で、派閥が分かれて訓練も円滑に行えないようです。」
「女だらけの巣窟に飛び込む度胸のあるやつのはずだから…..まあ、いいんじゃない?」
「はい?」
教育司令官は議長の文脈を理解することができないようだった。どうやら、独り言を言っているようだ。
「現在、生徒たちの目は何処に集まってる?」
「貴族生徒と平民生徒の扮装だと思います。」
「男性立ち入り禁止の学校に男が入学したらどうなるのかな~」
「まさか…..」
教育司令官はようやく、議長が言っている話の意図に気づくことができた。
「まあ、そんなことはないだろう?」
「そうだと思います。」
議長の言う通り、普通の街に一人で外出することすら危ないのに、男性の一時的な出入りすら禁じられている士官学校に入学しようとする男はいないはずである。
「もし、そんなことあったら報告して。」
「承知いたしました。忠誠!」
「うん。ご苦労。」
質問を終えた教育司令官もドアを出て退室した。
「男か……」
教育司令官が出て行ったドアを眺めながら口ずさんだ。
「まあ、時代は変わって行くものだから。」
教育司令官の恐れが後日、現実になるとはこの場にいた3人も、議長すらも予想できなかった。
(※本作品は日本語の非母語話者が作成しました。不自然な文法や表現がありますので、ご指摘していただければ誠にありがたいと思います。)
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