テラーノベル
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春の柔らかな日差しが、公園のベンチを優しく包み込んでいた。
花の香りと、遠くから聞こえる子供たちの笑い声。
僕たち三人は、肩を寄せ合って座っている。
あの日の絶望も、孤独も、苦しみも、今は少しずつ遠くなっていく。
「元貴、最近どう?」
涼ちゃんは相変わらずの天然スマイルで、まるで太陽みたいに眩しい。
「前よりは、ずっといい。
まだ完全に抜け出したわけじゃないけど、
お前らがいてくれるから、頑張れる」
若井も静かに頷きながら言う。
「俺も、変わったんだと思う。
あの頃の俺だったら、今ごろフラフープ回しながら泣いてただろうな」
「いや、それは若井がやるとちょっとホラーだからやめて!」と涼ちゃんが笑いながら突っ込む。
僕はその二人のやり取りに、思わず笑ってしまった。
あの頃の僕たちからは想像できなかった、穏やかな時間だ。
涼ちゃんがくしゃっと笑いながら言った。
「僕たち、最強トリオだな!
…でも、誰か一人でもフラフープ回して泣き出したら
もうイベント終了だけど」
「お前がフラフープ持ってくんなよ!」若井が叫ぶ。
僕たちは笑い合いながら、これからの未来について話し始めた。
小さな夢や、不安、でもそれ以上に、希望が確かにあった。
「これからも、ずっと一緒にいよう」
涼ちゃんが真剣な目で言う。
「どんな時も、支え合おう」
若井も優しく頷く。
僕は静かに誓った。
「逃げずに、生きていく。
お前たちがいるなら、きっと大丈夫だ」
陽が傾き始め、空がオレンジ色に染まる。
僕たちの未来も、少しずつ色づいていく。
その日、公園のベンチで、
僕たちは新しい一歩を踏み出したのだった。
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