わたくしは猫である
名前は無い
野良猫であるからだ
わたくしはニンゲンが苦手である
ニンゲンは時折わたくしの目の前に来て何かを言っている
何を言っているか検討もつかないが、わたくしを哀れむその顔がどうも好きでは無いのだ
わたくしは今のこの自由が幸せであるというのに
わたくしはいつも思う
“ニンゲンという生き物に飼われている同種族たちは自由なのだろうか。幸せなのだろうか”
と。
わたくしは窮屈で仕方がないと思う
わたくしはニンゲンが哀れであると思う
窮屈であるとも思う
ニンゲンたちはいつも忙しなくしている
顔をくしゃくしゃさせて笑みを浮かべるニンゲンは極小数である
ニンゲンは幸せなのだろうか
もしかしたらわたくしたちより窮屈なのかもしれない
わたくしはニンゲンが好きである
仲間を助けてくれたのだ
仲間を笑わせてくれたのだ
このニンゲンは汚いわたくしにも笑いかけてくれる
話しかけてくれる
嗚呼
ニンゲンはいい生き物なのか
わたくしはニンゲンが大嫌いである
他のニンゲンたちがあのニンゲンをこの世から追い出してしまった
仲間をこの世から追い出してしまった
復讐してやりたい
でも
嗚呼
わたくしもそちらへ逝こう
わたくしは人間である
この世に絶望してしまったゆえ行き先がないのだ
これからどうしようか
目の前に猫が三匹がいる
警戒している
これはただの気まぐれであった
「やあ猫よ」
「一緒に来るかい?」
「仲間の怪我も治してあげよう」
猫たちは生きれるだろうか
目を離さぬようにしよう
強く生きていけるように
わたくしも生きなければ
この子たちを見守るために
だけど
やはり人間は汚い生き物だ
同族をいとも容易くこの世から葬り去るのだから
わたくしは人間が嫌いである
来世は猫になりたいものだ
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