テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
また逢える日を楽しみに
眩い程の光が目に刺さる
あの暖かく優しい日々
僕はあなたの姿を追い続けた
いつしか霧のように消えていったあの姿を
梅雨が終わる
また夏が始まる
もし聞こえているなら
僕といた日々、辛くなかった?
邪魔な存在じゃなかった?
僕はいい弟だった?
もし聞こえているなら応えてほしい
いつまでも待つから
目が覚めた。
空からの光が眩しい。…空の下にいる。
「…?」
身体を起こした。その瞬間、辺り一面を絨毯のように覆う彼岸花の群生が目に映った。ただの彼岸花ではない、白い彼岸花だ。
綺麗だ、と思った。唐突に。その感情が目の前の花に対してなのか。それともこの穏やかな世界に対してなのか。自分でも分からない。
ふいに目の前にある一輪に手を伸ばした。白い花に触れた。と思っていた。
触れた眞から花は霧のようにすっと消えていってしまった。
「………」
フリーズした。幻覚?そもそもまだ夢の中?
驚いて他の花にも触れる。でもどの花も触れれば瞬く間に消えてゆく。
消える。どんどん。気がつけばもう辺りには何もなかった。綺麗だと思っていた花も。綺麗だと思っていたこの世界も。
「おきて!!」
頬が痛い。絶対叩かれてる。誰だよ。
「………?」
目を開けた。一番に目に入ったのは着物を来た子どもの姿。
ふいに自分の手足を見る。ちっちゃい。なんか。
「おきた!!あのね!!ぼくとうきょー!!きみのおにいちゃん!!」
「お兄ちゃん…?」
目をぱちぱちさせる。どうやら自分の兄らしい。状況がよく分からない。
でも。
どこかで会ったことがあるような気がする。
何か大切なことを忘れているような気がする。
思い出せない。
兄が手を伸ばしてきた。
その手を取る。
「よろしくね!」
「さいたま!!」
…
「…うん!」
べねじくと
39
リチア輝石
1,536
164
くろいこ @イラコン開催中🎨
359
コメント
1件
うわあ……彼岸花が触れたら消えちゃうシーン、すごく印象的でした。白い彼岸花ってだけで普通と違うのに、幻みたいに消えていく儚さが切なくて綺麗で。 それで目が覚めたら小さい頃の自分と兄って……「どこかで会ったことある気がする」「大事なこと忘れてる気がする」って台詞がもう、これから何かが動き出す予感で胸がざわつきました。子どもの無邪気な会話もかわいくてほっこりしたけど、なんだろうこの不穏な空気感……続きが気になります🌙