テラーノベル
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スタジオの照明が落ち、今日のレコーディング もひと段落ついた
スタッフの笑い声が遠くで響く中、涼架は気持ちよさそうに ペットボトルの水を飲んでいた。
その表情を、もっくん–元貴は、黙って見つめていた。
元貴: 「…. 涼ちゃん、さっき笑ってたよね。スタッフの人 と。」
突然投げかけられたその声に、涼架は小さく瞬きをした。
涼架: 「え? ああ…… うん。ちょっとした冗談で笑っちゃっ て…」
元貴:「ふーん。」
短く返しただけなのに、空気が少しだけ重たくなった気がし た。
元貴:「俺の前では、そんな顔しないのに。」
涼架:「….. え?」
元貴: 「ずるいなって思っただけ。」
元貴は椅子から立ち上がり、静かに涼架の前に歩いてくる。
机の上に両手をついて、涼架を囲むように覆いかぶさった。
元貴: 「俺、今日ずっと見てた。
涼ちゃん、あの人と話してる時だけ声が甘くなるんだよね。」
涼架: 「そんなつもりは……」
元貴: 「俺にはそういう顔、見せてくれないのに。」
息がかかる距離。視線が交差し、涼架は思わず目を逸らし た。
元貴:「今日、夢見たんだ。涼ちゃんが他の人と付き合ってる 夢。俺のこと、知らん顔してた。」
涼架: 「夢だよ、それ…….」
元貴: 「でも、現実になったら怖いじゃん。」
グッと手首を掴まれる。
優しいはずのその手には、はっきりとした“所有欲が滲んで いた。
涼架: 「もっくん…..?」
元貴: 「今日、うちのスタジオこない? このあと何もないでし
よ?」
涼架: 「え、うん….. でも、なにかあるの?」
元貴: 「うん。あるよ。…… 涼ちゃんを、“俺だけのも」
鍵のかかる音が、遠くで鳴った気がしたーー
いいね数が上がったらまた2話公開します👍🏻
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