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「さいっあくだ……」
泊まれるはずだったホテルを出て、天を仰ぐおれがいるのは、東京から新幹線で3時間離れた大阪だ
***
『もうお前のお守りはやってらんねぇ』
と彼氏に振られたのはついこの前
(おれだって、ホテル予約くらいできるし)
という反抗心で、傷心旅行として、前に2人で行きたいと言っていた大阪へ来たのはいいものの
「ご予約、1ヶ月後で取られてますね……」
「えっ、うそ、、、あの、今日って、、」
「生憎、今晩は当ホテルは満室でして……あと、大変申し上げにくいのですが、近隣で人気のアイドルグループのコンサートがあるので、この辺りのホテルは今日はどこもいっぱいかと……」
「そんなぁ、、、」
「1ヶ月後のご予約は取り消しておきますね……」
「はい………」
何をどう間違ったのか、1ヶ月後の予約になっていたらしく、今晩の宿を失った
ちなみに新幹線は、窓口で駅員さんに付きっきりで教えてもらって乗ってきた
こういうことは普段、彼氏が全部やってくれていた
(やっぱりおれって何にもできないのかなぁ……)
放心状態で、夏の陽炎が揺らめく雑踏の中を歩いていれば、すれ違ったお兄さんととぶつかってしまった
「あっ、すみません」
ぶつかった拍子に、体のバランスを崩す
お兄さんの持っていたコーヒーが揺れる
聞き慣れない関西弁のイントネーションが耳に届く
額の汗が頬わ伝う
「あっ、すんません、、おっと、危なっ!大丈夫か?」
「あっ、すみません……」
長くて逞しい腕に抱き止められる
どきりとしたのも束の間、お兄さんの慌てた声が耳に入る
「うわっ!かけてもうた!どないしよ!」
「わぁ………」
「うわぁ、ほんまごめんなさい、、お兄さん怪我とかはしてないです?」
「あ、はい………」
ホテルの予約が取れてなかっただけでもショックなのに、追い討ちをかけるように白いTシャツに茶色のシミが広がっていく
もう何をどうしたらいいのか、呆然とするおれの目の前で大きめの手が振られる
「ちょ、お兄さん?大丈夫?」
「へ?あ、はい、大丈夫です……」
「え?全然大丈夫ちゃうやん!ちょっとこっちきや!」
「あ、はい、、」
歩道の端に連れてこられて軽くTシャツをハンカチで抑えられる
「こら、あかんな。よし、おいで」
お兄さんの勢いに、手を引かれるままについていく
これが関西パワーか、とぼんやりとした頭で考える
コメント
1件
あっ、読んだ読んだ!めっちゃ良かった…!😭💕 まず主人公の「何にもできない自分」への自己嫌悪と、それでも前に進もうとする気持ちにグッときた…。新幹線も駅員さんに教えてもらって乗ったっていうエピソード、なんかすごくリアルで親近感湧くよ〜。 そして関西弁のお兄さん!「おっと、危なっ!」「どないしよ!」って軽快な関西弁がめっちゃキャラ立ってて、コーヒーかけちゃった後の慌てっぷりと、それでもしっかり主人公を気遣うところがもう…!「おいで」って手を引くシーン、関西パワーに圧倒される主人公の気持ちめっちゃわかる(笑) この出会い、まさに関西の“お節介”が傷心旅行に新しい風を吹き込む予感しかしない…!続きが気になりすぎるよ〜!kaede🍁さん、素敵な作品ありがとうございます🌸
#BL
kaede🍁
30,391
#abnb
kaede🍁
20,130