どうも。
ネタ帳より臆病な猫👓️さんに唯一触れる🐺さんです。
猫ちゃんと猫耳人間を行き来するkrさんがいますそして飼い主のsmさんがいます。
ほのぼの薔薇で、子供っぽいkrさんがとても可愛いです。
Side sm
先日、保護猫の譲渡会に行く機会があった。
まだ幼い子猫たちが小さなケージの中で丸くなったり、人間に興味を示してケージから手を出していたりする。
にゃぁにゃぁと鳴き、満足そうに撫でられるもの。
新たな飼い主の腕の中で心地よさそうに眠っているもの。
様々な子猫たちがいる中で、会場の奥の奥、スタッフルームのカーテンのすぐ横に、小さなケージがあった。
上から布がかかっていて、申し訳程度に紹介プレートが置かれていた。
写真には、ネズミのぬいぐるみをくわえてこちらに走ってきているような、茶白の子猫が写っていた。
まっすぐたった耳、長い尻尾に、真っ白な手足。
一目惚れした。
でも、中が見えず猫がいる気配もない。
誰かにもらわれていったのかと諦めて周りをウロウロしていると、スタッフの人に声をかけられた。
「気になりますか?」
「あ、はい…」
「触ってみますか?」
「いいんですか?」
「ええ」
「このこ名前は…」
「きりやんくんですね、最初に保護したうちの職員が名付けました」
スタッフさんはそーっとケージの鍵を開けて、子猫を外へ出す。
が、その腕から必死に逃げようともがく小さな体。
「すいません、この子すっごい臆病で…保護にも苦労したんですが何より苦労したのは私たちですら触らせてくれないことで…」
と言いながら、そーっと俺の膝の上に子猫を乗せる。
すると、さっきまで必死に逃げようと暴れていな子猫が、俺の上着の中に潜り込んでしまった。
「えっ、」
「あら、」
「………このこ、もらっても?」
「ええ、ええ!良かった、良かった…」
そう言いながらスタッフさんは裏に消え、子猫は俺の方の上までよじ登ったあと、転げ落ちるように腕の中に収まった。
ゴロゴロと喉を鳴らして、俺の腕に尻尾を巻きつけている。
初対面なのにもかかわらず随分と懐かれてしまったようだ。
それから色々書類にサインとかをして、スタッフの人から紙袋を受け取った。
「これ、は?」
「この子のお気に入りのおもちゃとブランケットです。」
「これからきりやんくんのことよろしくお願いします」
中を見ると確かにネズミのぬいぐるみと黄色のブランケットが入っていた。
きりやんは中身が何かを気づくとその紙袋に吸い込まれるように入っていった。
「またきてくださいね」
と送り出された。
のんびり家に帰りながら、少し寄り道をして猫を飼うためのセットとおやつを買いに行った。
必要なものをショップで揃えて家に帰った。
「ただいま~…よいしょ、きりやん、でておいで」
〈…?にゃぁ〉
「これからよろしく」
紙袋をそーっと床に下ろしてやると、恐る恐る顔をのぞかせた。
小さく鳴いて、周辺を嗅ぎ回って、最終的に、紙袋からブランケットを引きずり出して、そのまま俺の服のフードの中に収まった。
「そこが好き?」
〈なー、〉
「それはよかった」
少し後ろが重たいが、ケージを組み立てて、猫砂を用意したり、ご飯の準備をしたりと、それなりに忙しくしていた。
しばらくすると、後ろのフードがもぞもぞとして、きりやんが机の上に降り立って大きくあくびをした。
「寝てた?」
〈んー、なぁん〉
「よく寝れてたみたいでよかった」
撫でようと差し出した手のひらに頭を擦り付け、腰を少しだけあげて嬉しそうに尻尾が揺れている。
ごろごろ、ぐるぐると、のどを鳴らす小さな存在に少し心がほぐれた。
――――――――――――
きりやんが来て、1年近くたった。気がする。
〈にゃぁー!にゃん!〉
「はいはい、ちょっとまってて」
〈なぉーーん〉
「はい、お待たせ」
唯一変わったことと言えばご飯の催促がひどくなったことくらいだろうか。
ご飯の時間が近づくと、鳴き叫んで俺を急かす。
かわいいからいいけど。
「じゃ、仕事行ってくるよ」
〈にゃー〉
足にすり寄って送ってくれるきりやん。
仕事とは言えほんの数時間のものだからお水だけあげておけば帰ってくるまでは元気だろう。
職場への道を軽い足取りで歩き始めた。
――――――――――――
「ただいまー」
室内に声をかけながら鍵を閉めるが、いつも駆け寄ってくるきりやんがいない。
寝ているのか。
リビングに通ずる扉を開けると、ソファの上に、猫耳が生えた知らない男がいた。
――――――――――――
「………つまりこういうことだな?」
「お前は俺が譲渡してもらった猫で、なんでかはわからないけれど人間になったと」
「うん」
「そんで言葉も通じる、今のご飯は飽きたからやめろと」
「うん」
「どうか、なるほど……」
しばらく考えた結果、こいつはきりやんだと思うことにした。
実際首輪と同じ黒いチョーカーをつけているし、耳も尻尾もきりやんと同じいろ、目も輝くような黄色だ。
何より顔が好みすぎる。
もう今すぐにでも喰らいたいレベル。
「すまいぅ!」
「なに?」
「ぎゅーして!」
「ん、ほら」
俺よりも少し低い身長の体を抱きしめてあげる。
あったかい体温。
尻尾が俺の腕に巻き付いている。
「すま、すき!」
「俺も好きだよ」
スリスリと顔が好みの人間がすり寄ってくるこの状態でギリ理性を保っていられている俺を褒めてほしい。
「あ、そうだきりやん」
「ん、ー?」
「このあと友達くるけどいい?」
「ん、ねこになてる」
「お願いね」
ワシャワシャと髪を撫でるとご満悦そうな顔をして猫に戻った。
とたた、と柔らかい足音を鳴らしながら、ソファから飛び降り、ベッドルームの方に消えていった。
インターホンが部屋に鳴り響く。
「はーい」
――――――――――――
「じゃなー」
「おう、またな」
友人がドアをくぐって帰っていく。歩いていくのを見送る。
その後ベッドルームにいるであろうきりやんを覗きに行くと、布団の中に丸まって眠っていた。
手足を無防備に投げ出し、顔立ちの整った寝顔を晒している。
「………にゃぁ、?」
「おはよ、友達帰ったからリビングおいで、おやつ食べよっか」
「ん、!」
眠そうなきりやんの手を引いてリビングに向かい、ソファに座らせる。
ちゅー◯を皿に出して、スプーンを一応つける。
「きりやん、はい、自分で食べれる?」
「………んーん、あー、して」
と、小さく口を開けて待機しているきりやんの頭を撫で回し、スプーンで◯ゅーるをすくって口元に運ぶと、スプーンをくわえるでもなく、スプーンに乗っているち◯ーるをぺしょぺしょと舐め始めた。
短い(気がする)舌で必死に舐めているもがとてつもなく可愛い。
「おいしい?」
「ん!おいしい!」
「そっかそっか。」
美味しそうにスプーンを舐め回すきりやんを見てまた心が軽くなった。
――――――――――――
きりやんが人形を取れるようになってまた1年たった。
最近はいつも人形で俺にくっついてぐるぐると喉を鳴らして甘えている。
最近知識がついてきて、よくわからない言葉を突然言ったりする。
「ん、そだ!すま!こっちきて」
「なぁに」
さっきまで本を読んでいたきりやんが急に何かをひらめいたかと思えば、すぐに自分の座るソファの横をポスポスと叩いて隣に座るように催促してきた。
おとなしく隣に座ると、俺の左手を両手で持って、こしょこしょともてあそびはじめた。
くすぐったいから、やめてほしいな。
すると今度は手全体をペロペロと舐め始めて、カジカジと甘噛みをしていた。
「何してるの?」
「ん!俺のってしるし!」
なるほど、なるほど、…?
よくわからないがきりやんが楽しいのならばいいだろう。
しばらく滑られ噛まれしていたが、急に薬指の根元を思いっきり噛んできて、強烈に痛かったが、我慢した。
「……いてえ…」
「それねそれね!けっこんゆびわ?だよ!」
「指輪ねぇ……ありがとな」
随分と可愛いことをしてくれたきりやんをいつも以上に構ってやり、気持ちよさそうに目を細める顔を写真に収めた。
コメント
4件
猫になる系とかほんまに好きすぎて……ありがとうございます、、、