テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ー前線後退開始ー
スア「さぁ…これが上手く行くか…。」
兵士「伝令と兵士を多めに前線に置いたままにしたのですから何かあったとしてもすぐ壊滅する事は回避できるはずです。しかし貴方様まで下がって宜しかったのですか?」
スア「それは勿論。作戦資料などを取っておきたいからな。」
兵士「他に任せれば…」
スア「いくら戦時中だとしても他に立ち入らせスパイ行為などされれば困る。それに前線を突破された場合に私が死んでいれば司令塔は壊滅してしまう。伝令が動かなくなるぞ。」
兵士「なるほど…。」
スア「それより今この策が思い通りになるかが不安なのだがな…。もし前線が予想より早く攻められれば…いや、この状況を深く考えたとて仕方あるまい。万が一の為に第二防衛線の配置だけはしっかり覚えておけよ。」
兵士「はい!」
ー敵兵陣地ー
敵兵「なぜあやつらはいきなり後退を…。」
敵兵「また反転攻勢か。そんなつまらん策にはもう引っかからんと分かっていないのか?」
敵師団長「皆、武器を持て。後方兵士は作戦会議で決まった防衛線への退路を確保し補給を万全に。それ以外の兵は半数程付いてこい。残った者は塹壕でも掘っておけ。」
敵兵「はぁ!?あんな簡単な罠に引っ掛かると!?そこまで能無しの指揮官は居ませんよ!」
敵兵「そうですよ!二度も引っかかってたまりますか!!」
敵師団長「まぁそういう気持ちも分かる。が、今回は違う。前の反転攻勢は全員バラけていた。しかしあそこまで規律を整えて後退していくのだ。また違う行動だろう。」
敵兵「では何をすると?」
敵師団長「補給だ。相手にとってこの長丁場はキツイはずだ。何より無理に前線を押し上げるような策。そう簡単に補給網は稼働していないはず。絶対にこの好機を失えない。」
敵兵「奇襲すると…?しかしそれなら全兵の方が…」
敵師団長「あくまで私の予測。ここで外れて救援が来たとしよう。敵兵を倒す前にこちらが敗走、下手すれば全滅だ。その可能性を消すためにも多少残す。他の前線が不味くなった時への派遣も素早くできるしな。」
敵兵「ほう…ならばその策に乗ってみましょう。」
敵師団長「ありがたい。では、行くぞ。」
敵兵「はっ!」
ー敵兵行軍開始ー
南部大荒れの見込みあり。
ーウパ国側南部前線ー
兵士「さて…我らは武器の手入れでもして待つか。」
兵士「それしかやる事が無いからな…。」
兵士「そう簡単に敵兵が来るかという感じだからね。」
伝令「伝令!不味い!非常に不味い!」
兵士「どうした。補給部隊がサボってるのか?」
伝令「違う!敵師団!こちらに向かってきている!」
兵士「は?!」
兵士「こっちはマトモに指揮できる奴いねぇぞ!?」
伝令「だから不味いんだよ!」
兵士「騎馬隊到着まで誰か指揮取れる奴いないか!?」
兵士「居たらこんな焦る必要無いんだよ!」
伝令「まだ本陣から動いたばかりではあったが俺が戻るまでにもかなり移動したはず!」
兵士「騎馬隊の到着予想をスアは何て言ってた!!」
伝令「50日と…」
兵士「俺らだけでひと月以上…?」
伝令「あくまで到着予想だ…もしかしたらもっと早いかもしれないし…!」
兵士「どちらにせよ!ひと月粘るのだろう!?」
兵士「そんなの俺らに出来ると…?」
伝令「……」
「…俺が取る。」
兵士「え?お前何を取るんだ…?」
「俺が指揮を取る!!」
兵士「え…?お前、誰だよ…?しかも指揮とかできんのか…?やれんならありがたいけど…。」
カトロス「俺はカトロス・ナイラ!一応作戦に多少の理解はある!」
兵士「は…w全然訳分からん奴が居たもんだ…。けどまぁ、お前しか居ないんだ。頼むぞ…?」
カトロス「…あぁ!!では戦力確認からさせてもらう…。敵兵のおおよその数は?」
伝令「ん…あぁ、多分南部兵数5000ほどの三分の一程度の規模だと思う。こちらの現在の南部兵数は補給部隊を抜いて1900人だな。」
カトロス「相手とここで対峙した場合は同じくらいの戦力か…しかし相手はすぐ増援を呼べるとなると…このままやり合うのは得策じゃないか…。」
兵士「じゃあどうする…?塹壕が近場にあるわけでも無い。これ以上下がれば補給の改善に支障が出る。」
カトロス「…進軍。1000人程でバラけて突撃。反転攻勢だと思わせるぞ…。」
兵士「な…。上手く行かなかったらここを捨てるしか無くなるぞ…。」
兵士「それによりによって最も首都に近い…。主力もほぼ動いてる…挽回出来なくなるぞ…。」
カトロス「分かってる!だからこそだ!防戦一方じゃ限界が来るぞ!補給が無いんだ!それならやれるときにやるんだよ!」
兵士「あぁ…それは分かってるが…皆んな…疲労で限界なんだよ…もう防戦しかできないよ…。」
カトロス「…知ってるよ…俺もだよ。けれど!この国の為に動かなければ!我らは敗戦を喫す!また前の奴隷のような扱いだぞ!それならここで動こうぜ!」
兵士「カトロスは気持ちで負けないんだな…俺らはもう敗戦の気分だわ…。」
カトロス「…そうか…俺に指揮を託してくれたと思ったが…ただ責任から逃れたかっただけなんだな…。」
兵士「…」
兵士「俺は付いて行くぞ。お前に指揮権がある以上、その命令を信じる。」
兵士「え…嘘だろ…?」
兵士「…命が無駄になったら地獄で殴らせろよ…!」
兵士「…はははっ!ここは馬鹿しかいないんだな!」
カトロス「お前…」
兵士「じゃあ俺も馬鹿って事になるんだけどな!」
カトロス「なっ…」
兵士「お前について行くよ。配置、教えてくれ。いや、教えてくださいかw」
カトロス「…おぉ!右に300!中央に400!左に300で行くぞ!できる限り接敵まで離れるな!敵が大部隊と勘違いして引くかもしれん!」
兵士「了解!」
カトロス(南部戦線…もしかしたら維持できるやもしれん…!)
次回:騎馬の影
この前の投稿がイカれ過ぎてたんで色々修正しました。また次回予告変わってます。もしかしたら終戦記念日に直した通知いってしまったかもしれません。その場合は本当にすみません。では。