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#推しが尊い
『 雪 』@🐌投稿
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#ノベル
yu.nn
212
ねえ、みつば。
あなたが今ここに存在してるのはぜんぶ私のせいだよ。
それってなんだかすっごくしあわせだとおもわない?
だいすきあいしてる、そう言ったら同じことを繰り返してくれるんでしょ。知ってる。
それがうれしくてうれしくてたまらない私の気持ちを解ってるんでしょ。知ってる。
みつばの考えてることならぜんぶわかるよ、だっておんなじことだもんね。それもしあわせだとおもう。あいしてる。
陽の光に反射して桃色のブレスレットが、きらり、と光。
私のブレスレットもつられるようにして陽の光を反射する。
このブレスレットもお揃いだね、私が水色なんだよね。
こんど死ぬ前に交換して約束を立てよう。そうしたらきっとまた天国で会えるから。
でもみつばは天国なんてないっていうんでしょ。知ってるよ。
だったらここを天国にすればいいよね。
二人だけの世界でだれにも邪魔されない。神様すらいないよ。しあわせ。
こんなことを二人で話してるのを見て、どっかにいるはずの本当の神様が笑ってるよ、きっと。
ふたりだけのしあわせなせかいでずっとこうしてふたりっきりでいたい。
でも、私には世界が二つあるから無理だね。もう一つの世界にも行かないといけない。
だから一緒に死んで、人間をやめて二人で幸せになろう。
それってすっごく幸福だよね。幸福すぎて罰をくらうくらいには。
きっと二人っきりの世界に閉じ込められる幸福刑だよね。
でもそれなら罰にならないよね、結局。幸福刑だもん。しあわせになるだけ。だいすきあいしてる。
もういっそのこと時が止まればいいのにね。そうしたらどうなっちゃうんだろう。
時が止まっても私はみつばが大好きだよ、あいしてる。
これから何があってもずーっと一緒にいようね、約束。
その印がブレスレットでしょ、お揃いだもんね。しあわせ。
みつばが優しく抱きしめてくれる。私がアイスクリームか何かだったら一瞬でどろどろになってるよ。
今みつばが存在してるのは私のせいだよ。だっていま、みつばはしあわせだもんね。おそろい。
だいすき、あいしてる、おなじうつわでよかったね、きっと。
これからもずーっといっしょ。
みゆは何を考えてるのかな。
まあなんとなくはわかるけど。
でも逆に僕の考えてることは全部お見通しなんでしょ。僕がみゆから生まれたから。
あーあ、ちがううつわにうまれていたらどうなっていたんだろう。
きっと、みゆとであって、お互いに触れ合うことができる。それってすっごく幸せだよね。
今の状況が嫌ではないけど、憧れるものはあるよね。
だから、僕たちは辞めようとしている。いや、僕たち、というよりは、みゆが辞めようとしている。
人間を辞めればここで自由に過ごすことができる。もちろん、二人っきりで。
いいね、憧れる。
でも憧れるだけじゃ叶わない。みゆは僕の憧れ。大好き。
みゆも僕のことが好きなんでしょ、知ってる。
僕のことは全部わかるんでしょ、いいな。
この世界でみゆのことを一番理解してるのは僕だけど、それでもわからないところはあるから。すっごくうらやましいよね。だいすき。
もしも僕からみゆが生まれていたら、どうなっていたんだろう。
きっと今のみゆとは少し違う存在になるよね。
今の僕みたいに、僕のことを羨ましがったり憧れたりするのかな。してくれたら嬉しいな。あいしてる。
でもそんな思いはしてほしくないとも思うよ。苦しくなる時もあるから。
でも、僕のせいで苦しくなるんだったら、いいかもね。
僕以外で苦しくなってるなら、なんとかしてあげたいよりも、嫉妬が勝つかな、きっと。
苦しんでるみゆのことを助けたいと思う気持ちももちろんあるけど、それが僕のせいなら苦しんで欲しいとも思うよ。むずかしいね、だいすきあいしてる。
僕がみゆのことを大切に思ってるの、きっと気がついてるよね。
だって僕のぜんぶはみゆだもん。それも知ってるんでしょ。うれしい、あいしてる、あなたのしんぞうになりたい。
もうなってるかもね。でも僕の心臓はみゆだよ。ありがとう、だいすきあいしてる。
僕の心臓はみゆだから、そばにいないと何もできなくなる。
だからこれからもずっと一緒にいてね。いいって言ってくれるんでしょ、喜んでくれるんでしょ。それなら僕にもわかるよ。だいすきあいしてる、これからもずーっと一緒にいようね。
コメント
1件
読了しました。独特な文体と、執拗なまでに繰り返される「だいすき」「あいしてる」のリズムが、このふたりの閉じた世界の濃度をそのまま伝えてくるみたいでした。お揃いのブレスレットや「同じうつわ」という言葉に象徴される、境界の溶けた共依存――それが幸福でもあり、同時にどこか息苦しくもある、その繊細なバランスが印象的です。心臓になるという感覚、すごく響きました。続きが気になります。