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リリアナの家の一番立派な部屋のテーブルに素晴らしい料理の数々が並ぶ。
「わぁー!今日はすっごい料理の数ね~」
ビルデが料理をつまみ食いしようと手を伸ばした。
パシン!
ビーズがその手を叩く。
「やめなさい!これから大事なお客様が来るのよ。あなた達も用意をなさい!」
「えー?お母様がそんなに言うなんて一体誰が来るの?」
「ねぇ~その人を聞いてから用意を始めるわ」
モスも探るように母親を見つめる。
「もう、しょうがない子達ね。実は…あのルシファー様からお声がかかったのよ!」
「えっ!ルシファー様!」
「あのお金持ちで見目麗しいルシファー様が!?」
「そうなの!急に私達と食事が取りたいって…何処かに行くのかと思ったら…是非ともうちで食べたいってー!」
「「きゃー!」」
「家で食事をされるなんて聞いた事がないわ!これは…もしかしてもしかするかもしれないわ!」
「はっ?お母様もしかして自分がって思ってるの?」
「まさか!歳が違いすぎるわ!きっと私の事を何処かで見たのよ!」
モスがうっとりと手を合わせる…
「何言ってるの!私だって年の割に若く見られるのよ!まだまだ大丈夫よ!それにルシファー様は私の名前で声をかけて下さったのよ!」
「お母様!歳を考えてよ!ここは娘に譲ってよ!」
「いやよ!ルシファー様となら…一度だけでも…」
「こうしちゃいられないわ!急いで髪を整えてドレスを着ないと!」
「そうよ!ルシファー様は何時にいらっしゃるの?」
「夕食を一緒に…って言ってくださったの…夜の19時にみられる予定よ」
「あと2時間しかないわ!お母様酷い黙ってて!」
「あら!ちゃんと今教えたじゃない」
ほほほとビーズが笑うと…娘は悔しそうに顔を歪めて用意へと走っていった…。
(なんて…醜い連中だ…)
(俺に力があれば…ひねり潰してやるのに!)
(力があったって…出来ませんよ…リリアナがそれを望まない限り…)
(あいつが着るドレスをかみ切ってやろうか…)
(そんな事をすれば…リリアナがまた責められますよ…)
(くっそ…何なんだ!何かしようにもリリアナに迷惑がかかっちまう!なんで俺達は無力なんだ…こうなったら死んでもいいからあいつらに何かしてやりてぇ…)
(リリアナに助けて貰った命ですよ…そんな事を言うもんじゃありません…)
(分かってる…分かってるが…何も出来ない自分が悔しくて情けない…)
(それは…私も同じです…)
一生懸命に料理を作っては運んでいくリリアナを手伝う事も出来ずに二匹は床に爪を立てて見ていた…。