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父 「なぜ瀬菜を無理やり塾に行かすんだ!あの子は…瀬菜は、まだ小学6年生だぞ?!それなのに、また塾へ行く日にちも増やしたんだろう?!なぜそんなことを!」
母 「瀬菜の将来のために決まっているじゃない!!テストを見たでしょう?!あんな点数じゃ、レベルの高い学校に行けないわ!!」
父 「レベルの高い学校だと?!瀬菜の気持ちを少しは考えたらどうなんだ!!」
母 「考えているから塾へ行かせてるんです!!貴方だって分かるでしょう?!」
父 「考えていないじゃないか!!お前はただ瀬菜に自分の理想を押し付けているだけだろう?!!」
母 「なんですって?!?!」
お父さんとお母さんの声がリビングに響く。
私がテストで良い点数を取れなかったせいだ。
2人の声は大きくなっていき、喧嘩もどんどんエスカレートしていった。
廊下に立って、2人の会話を聞いていた私は我慢出来ず、ゆっくりとリビングへのドアを開けた。
私がいることに気づいた2人は驚いた顔をし、互いに顔を見合わせ、私の方を向いた。
母 「起こしてしまったわね、瀬菜。ごめんなさい。……ねぇ瀬菜、まだまだ勉強頑張れるわよね?」
父 「お前っ、、?!」
母 「瀬菜がもっと勉強頑張れば、レベルの高い学校に行けるのよ。瀬菜はいい子だもの。お母さんたちのために、頑張れるわよね?」
お父さんが何か言いたげだったが、今ここで何か言ってもまた喧嘩になるだけだと思ったのだろう。
一度口を開け、ゆっくりと閉じた。
そして、私に悲しそうな目を向けた。
泣いちゃダメだ。言い返しちゃダメだ。「はい」って言わないと。耐えなきゃ。耐えなきゃ。
必死に自分を宥めたが、怒りと悲しみと悔しさでいっぱいになり、とうとう自分を制御出来なくなった。
私 「五月蝿いっっっ!!勉強なんて大嫌いだよっ!」
そう言って、私は家を飛び出した。
母 「こら瀬菜っ!!待ちなさい!!」
お母さんの声が聞こえたが、私が足を止めることはなかった。
自分のせいでお父さんとお母さんが喧嘩した。
それだけでなく、父と母に向かって「五月蝿い」と言ってしまった。
私がもっと勉強をして、テストで良い点数を取れていたらこんなことにはならなかったのに。
悔しくて悔しくて、ひたすら走った。
雨のせいか、私の頬はずぶ濡れだった。
ようやく足を止めたこの場所は、大好きな人と一緒に作った、2人だけが知ってる秘密基地。
ビニール袋の屋根。
もう使われていない小屋の近くにあった板を立て掛けた壁には、念のためビニール袋で包んである。
まぁ、雨はしのげるだろう。
私は体育座りをして、腕に顔を埋めた。
お父さんとお母さんの喧嘩を思い出し、涙が溢れて止まらなかった。
私 「私のせいでっ…、ごめんなさいっ…」
20分ほど経っただろうか。
誰かがこちらに向かって来ている足音がした。
その足音は、ゆっくりと大きくなっていき、
私の目の前で止まった。
??「やっぱりここに居たんだ。瀬菜ちゃん」
聞き覚えのある声。
少しガサガサしてて、優しい声色。
そう、昔から聞いている、私の大好きな声だ。
ゆっくり顔を上げる。
そこにいたのは呆れたような表情をした、ころちゃんだった。