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それから数日後、あの男の子のことは一度も学校に現れることはなかった。
李斗もあの日以来、私を特に守るように気を使ってくれていたし、私も何とか気持ちを切り替えて、普通の毎日を送っていた。
でも、心のどこかで不安が残り続けていた。
あの男の子、名前すら知らないけど、なんだか気味が悪い。
私の心の中で、まだ何かが引っかかっている。
そしてある日、放課後、いつものように李斗と一緒に帰ろうとしていた時のことだった。
「まりあ、ちょっと待て。」
急に李斗が立ち止まり、私を見つめた。
「どうしたの?」
「お前、最近ちょっとおかしいぞ。」
「え?」
「なんか元気ないし、どこか考え込んでるみたいな感じだろ。」
李斗の言葉に、私は胸が痛くなった。
「私…ちょっと、気になることがあるんだ。」
「気になること?」
「うん。あの男の子のこと…まだ気になってる。」
「だから言っただろ、あいつはただのストーカーだって。」
李斗は少し苛立った様子で言ったけれど、その目には心配の色があった。
「分かってるよ。でも、あの日の最後に言われたことが気になってて…」
私がその言葉を言うと、李斗は一瞬黙り込んだ。
「俺は、まりあが何を考えても、心配になるからな。」
その言葉に、私はちょっと驚いたけれど、同時に心が温かくなった。
「李斗…ありがとう。でも、本当に、あの男の子が何かしてきたわけじゃないし、ただの気のせいかもしれないよね。」
「気のせいだろうけど、無駄に考えすぎるなよ。」
「うん、分かった。」
私がそう言うと、李斗は少し安心したように笑った。
「でも、これからも気をつけろよ。俺がいるから大丈夫だろうけどな。」
その言葉が私をほんの少し、心から解放してくれた気がした。
でも、次の瞬間、遠くから誰かが私たちを呼ぶ声が聞こえた。
「まりあ!」
その声で振り向くと、そこに立っていたのは…
あの男の子だった。
「またお前か…!」
李斗が一瞬、険しい顔をして男の子に向かって歩み寄ろうとした。
「ちょっと待て、李斗。」
私は慌てて李斗を止めた。
「まりあ…?」
「大丈夫、私が話すから。」
私は深呼吸してから、男の子を見つめた。
「どうして、まだついて来るの?」
男の子は少し黙った後、にやっと笑って答えた。
「まりあちゃん、君のことが心配で。」
「心配?」
「そう、君に危険が迫ってるんだよ。」
その言葉に、私は足が止まった。
「危険?」
「お前、気づいてないかもしれないけど…君には、気をつけなきゃいけないことがある。」
その言葉に、私は少しぞっとした。
「どういう意味?」
男の子は、少しだけ遠くを見て、ゆっくりと口を開いた。
「君が思ってる以上に、君の周りには…危険な人物が多いんだ。」
その言葉が胸に重く響いて、私は思わず後ずさりしてしまった。
「まりあ、何かあったのか?」
李斗が私を心配そうに見つめる。
男の子はニヤリと笑いながら、またゆっくりと歩き始めた。
「またな、まりあ。気をつけるんだよ。」
その言葉が、私の胸に深く刺さった。
そして、男の子が去った後、私はしばらくその場で動けなかった。
「まりあ、何があったんだ?」
李斗が私の肩をつかんで、顔を覗き込んだ。
「私、まだ分からないけど…なんだか、ますます怖くなってきた。」
李斗は黙ってうなずき、私をしっかりと抱きしめた。
「心配するな。俺が絶対守るから。」
その言葉が、どんなに心強かったか、私は今、痛いほど実感していた。
次回、さらなる謎と危機が二人を襲う!?