ううん…
せっかくの休日。やりたい事があったはずなのに。もう自分の部屋で何時間も無駄な時間を過ごしている。
ゴロゴロしている訳ではない。では何をしているのか。
答えは目の前のカレンダーにあった。
○月△日のところに控えめながらも目を引く赤いハートマーク。
そう。今日はランスと付き合ってちょうど100日目なのだ。
俺は小さな頃から少し夢見がちなところがある。俗に言う“ロマンチスト”というやつだ。
さすがに付き合って1週間や1ヶ月…など細かい日にちまで意識している訳ではないが、やはり100日となると少しムズムズしてしまう。
でもランスはそういう事は好きではないだろう。あいつがいちいち付き合って○日なんて気にしている姿が想像出来ない。
もし俺が「今日100日記念日だな。」と言ってもあいつはきっとだからなんだというふうにこちらを見てくるのだろう。
誕生日はなんやかんや言いながらも祝ってくれる。記念日に関心がないということは無いだろう。きっと1年記念日では何か言葉をかけてくれるはずだ。
やっぱり100日記念なんて細かすぎるだろうか。気持ち悪がられてしまうだろうか。
そんな答えの無い疑問をずっと頭の中が駆け巡っている。
急に後ろからコンコン、と控えめなノックが聞こえた。
「ドット…?」
扉越しに聞こえる声は今ちょうど考えていたランスだった。
今日あいつ仕事じゃなかったっけ?なんて思っているとドアノブがぐるりと回る。
「ドット、いたのか…すまない。」
俺は呆然としたまま立ち尽くしてしまった。
それは仕事のはずのランスが今ここに居る事でもなく、珍しく素直に謝っている事でも無い。
努力と疲れが表れているランスの手には花束があった。
「お前…それ、」
「ああ、豪勢なものは用意出来なかったが…」
そう言い小ぶりな花束を差し出してくる。
アングレカム…だっただろうか?星のような形が、綺麗だ。
「なんで、花なんて…?」
思わず聞いてしまった。
もしかしたら。という期待が膨れ上がっている。
「なんでも何も、今日は100日記念日だろう?まさか、忘れてた訳じゃないよな?」
「っ…!忘れる訳ねぇだろ!!」
「まぁそのカレンダーを見る限りは忘れていたとは思えないな。」
ランスがハートマークが描いてあるカレンダーを指し楽しそうな笑みを浮かべる。
あ、隠し忘れた。
羞恥心で体が爆発しそうになる。
そんな俺を見て更に揶揄ってくる。
「顔と髪、お揃いだな?可愛い。」
サラッと言われた“可愛い”にまた赤くなってしまう。
「もうっっ!!!やめろよっっ!!!」
アングレカムの花言葉…いつまでもあなたと一緒
コメント
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フォロワー様100人↑ありがとうございます。二次創作含めノベル、チャットノベルを初めて書いたど素人の私の作品を見てくれている方が居る事がとても嬉しいです。本当にありがとうございます。
心が凄いバクバク