鬼狩りと鬼族
〜注意〜
あんま話決まってないです。
あやふや時間軸(一応、那田蜘蛛山くらい)
誤字脱字有り
ちょぉっと、口調変えてる。でもあんま支障ないと思う。
何でも許せる方向け。
以上、そんなの気にしない気にしないという方はそのままスクロール〜。
雷と獣
「もう、耀哉は勝手なんだから…こういうのは伊之助が張り切るだろうに…」
炭治郎は、頬を膨らませながらぷりぷりと怒る。伊之助は戦いが好きだ。其処で炭治郎は、伊之助を呼んでみようと、パチンッと指を鳴らす。すると、上半身を猪の毛皮で作った上着を着た、例えるなら原始人の様な格好をしており、瞳は鶯色でその瞳孔は細い。牙も爪も尖っており、顔は美少女の様だった。だが、性別は男だ。
「んあ?何だ、権八郎じゃねーか。何百年ぶりだ?」
「炭治郎ね。さぁ、何百年ぶりだろうか。覚えてないや。少し手伝ってほしい事があるんだ」
「なんだ!戦いか!」
炭治郎は、せいかーい、と頷く。
「戦いは嬉しいけどよ、紛い者相手に鬼族が二人もいるか?」
「怪我人が多いらしいんだ。俺は治癒系に集中する。伊之助は、戦闘に集中してほしいんだ」
「ははーん?なるほどな!良い考えだ!褒めてやる」
伊之助は何処からか、武器を取り出す。それはまるで鎌のような形をしており、伊之助曰く、殺傷力がとても高いらしい。
「じゃあ、山の中に入ろう」
「おい、山ん中から複数の紛い者の気配がするぞ。紋逸も呼んだ方がいいんじゃねーの?」
「確かに…。多い方が良いかもね。じゃあ、善逸も呼ぼう」
炭治郎は再び指をパチン!と鳴らす。すると、本を読んでいた善逸が居た。善逸の姿は、山吹色の髪をしており、服装は雷神の様だった。善逸は景色が変わったことに気付くなり、文句を垂れる。
「…おい!何でこんな時間に俺を山の前まで飛ばすんだよ!さっきまで本読んでたってのに…」
「ごめんごめん、善逸。手伝って欲しい事があるんだ。紛い者狩り、善逸は怖くないよな」
「うーん、怖いって言えば怖いけど…まあ、良いよ」
善逸は読んでいた本を閉じて、御呪いをかけ、本を飛ばす。
山に入ってみれば、これはまた禍々しい匂いがした。
「う、臭い…相当人間を食べてるんだろうな」
「チッ、イライラする気配だぜ」
「もうやだぁ、この音。紛い物とは言え相当強いんじゃない?」
三人は文句を言いながら山を進んでいく。すると、背中に滅と書かれた隊服を着た青年がキョロキョロと周りを伺いながら刀を構える。
「鬼殺隊員だ…バレない様にはしたいんだよなぁ。俺たちの存在が広まると面倒臭いし。俺たちのこと知ってるのは耀哉だけでいいんだよ…まぁ取り敢えず、三手に分かれよう。鬼殺隊員でも無い奴が固まっていたらそれこそ怪しまれる。いいな?」
二人は頷く。そしてそれぞれ山の中へ進んでいく。炭治郎は、見様見真似で隊服を再現して擬態する。そう言えば、以前耀哉が鬼殺隊の階級について教えてくれた気がする。甲だとか、丁だとか。覚えているのはそれくらいなので丁で良いかと考える。
そして鬼殺隊員に近付く。隊員は炭治郎の気配に気づくなり、ビクッと怯える。
「応援に来ました。階級丁、炭治郎です」
「丁…そんなに強いのか…俺は村田だ。階級庚だ」
庚…どれくらいの位かは覚えてないが、発言から察するに丁よりは下なのだろう。
「今の状況の説明を願いたいのですが」
村田、と名乗った青年は、この山に来た経緯を話す。十名ほどが乗り込んだが、山に入って数刻した頃、突然隊員達が斬り合いになった。隊員同士の喧嘩は御法度だと言うのにだ。
(ふーん、この鬼は隊員を操ってんだろうな。この匂いの数からして、操り鬼以外にも居る。取り敢えず、操り鬼を倒しても状況は変わらない。本命を倒さなきゃな)
炭治郎はそう分析する。
「えっと、村田さんだっけ?この気配から察するに鬼は複数いる。俺は本命を倒してくる」
「は?こんなに怪我人が出てるんだぞ…?柱でも無いのに一人で倒せるわけがない」
「…さあな。倒せるかも知れないし倒せないかも知れない。俺は揉め事をしたくてここにいるんじゃ無い。こうやって話している間にも犠牲者は出ている」
そう言うなり、炭治郎は村田の前から姿を消した。本音を言えば、隊服姿に擬態するのがもう限界だったからだ。
(何なんだ、彼奴は…でもあの速度…丁とは思えない…柱。いや、柱以上の速さだ…)
それよりも人の気配がしなかった、というのは放っておくことにする。
その頃、炭治郎は操り鬼の近くに居た。服装を直して、ようやく落ち着いたとでも言う様に溜息を吐く。
(ふう、何とか鬼殺隊員をあしらえた…彼奴は物分り悪そうだが、まあ他言はしなさそうだ。さて、操り鬼は何処か)
スン、と鼻を鳴らし匂いを嗅ぐと、近くに紛い者が居ることがわかった。
「そこか」
―ヒノカミ神楽・円舞―
「鬼殺隊…!?」
操り鬼は、炭治郎に気付くなり、顔を青ざめる。そして、あっという間に頸を斬り落とされた。
(痛い…けど、これで開放される…)
「十二鬼月が居るわ…気を付けて」
その言葉を最後に、操り鬼は消えた。
「十二鬼月…?ほう、紛い者はそんな物を作ったのか。ま、そこら辺の雑魚と変わらないだろうが」
炭治郎は強い鬼の匂いがする所へ向かう。
一方善逸は、音を頼りに山の中を進んでいた。
(はあ…炭治郎達には強気に言ったけど、怖いものは怖いなぁ…)
カサカサと蜘蛛が這う音に、善逸はヒィッ!と悲鳴を上げる。
「…何だ、蜘蛛か…」
すると、目の前には人面蜘蛛が居た。それには流石の鬼族である善逸も腰を抜かした。
「いいやーーー!人面なんだが!?人面なんだけど!?どういう事!?もう一体どういう事!?何で紛い者の癖にこんな気持ち悪い鬼がいる訳!?意味分かんないんだけど!?」
早口で泣き叫びながら、山の中を逃げる。逃げた先は、浮いた小屋があった。そして、その周りには囚われた人間。
(え…え…?家浮いてんだけど…?チラチラ見えるのは…糸…?それに、人間が蜘蛛にされてんの…?もう意味が分かんないんだけど…)
既に手足が蜘蛛の足になっている一般人は、呻いている。すると、小屋からギチギチと軋む音が聞こえた。そして中から、顔はまだ人の形を保っているのに、首から下が蜘蛛の鬼がいた。
「ヒッ…!」
もう見るだけで吐き気がする。蜘蛛鬼は、気味の悪い笑みを浮かべた。
「お前…人間じゃないな?鬼だろう。俺たちと同じ。同族が何故俺達の縄張りにいる?」
「鬼だけど、お前のような紛い者と一緒にしないでくれる!?俺達は、鬼族なの!生まれた時から鬼なの!だから紛い者のお前らには早く死んで欲しいわけ!お前らが生まれてから、俺達もお前らと同じ人喰い鬼と見られて追われてんの!お前らのせいだからな!」
善逸は蜘蛛鬼に指を指しながら抗議する。そして、錫杖を取り出し、攻撃する。
―雷神・霹靂一閃―
―斑毒痰―
間一髪で善逸は蜘蛛鬼の技を避ける。その毒は木にあたり、木が溶けた。
「え、何それ何それ!?木、溶けたんだけど!?嫌なんだけど、あんなのに当たるの!」
「チッ埒が明かない。お前達!飛び掛れ!」
すると、大量の人面蜘蛛が善逸に飛び掛ってくる。善逸はそれを全力疾走で逃げる。
「ねー!気持ち悪いからまじでやめて!俺死にたくないんだって!まあ鬼族が死ぬ事は無いんだけどね!今ん所!」
だが、ドスッと手に痛みが走る。
「あ?」
善逸は、恐る恐る右腕を見る。すると、紫色に爛れていた。
「はは!鬼族だかなんだか知らないが、毒は解毒出来ないようだな!お前が死ぬ方法は、毒だ!いや、俺の支配下になるのも良いな。お前は知性をなくし、地を這う奴隷となるのだ!」
(嫌だ…死にたくない)
善逸はそこで、走馬灯のようなものを見た。
『善逸は何でそんなに怖がりなんだ?鬼族は何も恐れることは無いのに…』
これは、炭治郎の声。一番最初に鬼族の長として生まれた、日の神。俺は、そんな炭治郎が羨ましかった。
『俺の性格は元々こうなんだよ…神様がそういう存在を作ったんだから…』
『そうか…でも、お前は眠ると強いんだ。雷神もとっても強い。お前は、才能があるんだ。いつか自分で気づけるといいな』
そう、眠ると強くなる神様。そんな神様、聞いたことがない。だって、そもそも俺は、一つの技しか使えない、落ちこぼれの鬼族なんだから。炭治郎のように、治癒も攻撃も使えない。速さだけが取り柄なんだ。
『そんなに気に病むことじゃないよ。俺達は、四人で鬼族なんだ。俺に、善逸に、伊之助に、禰󠄀豆子に。皆能力が違う。俺と禰󠄀豆子は、治癒と攻撃、両方使えるが、善逸は速さと攻撃を兼ね備えてる。伊之助も攻撃に特化している。俺には持ってない能力が善逸にはある。だから、お前は強いんだ』
お前に慰められたのは、何千万回目だろう。毎日のようにお前に励ましてくれたよな。ありがとう。だけど、やっぱり俺は落ちこぼれさ。だから、強くなりたい。俺は、こんな紛い者になんか、負けない。負けたら、炭治郎にも皆にも怒られるから。痛いのは嫌だから。
―雷神・霹靂一閃・六連―
雷が、蜘蛛鬼の頸目掛けて落ちる。
「な!」
(斬られた…?斬られた斬られた!こんな毒も分解できない奴にぃ)
蜘蛛鬼は消えていった。バタンと善逸は浮いている小屋の屋根の上に落ちる。
(この毒は、喰らったことがないから、解毒にも時間がかかる…この山には鬼殺隊員がいる。鬼殺隊に気づかれる前に解毒しないと…今度こそ、炭治郎に怒られる…)
善逸は、解毒の為に、力を溜める。
その頃、伊之助は山を散策していた。気配が二つほど消えた。恐らく権八郎と紋逸が鬼を倒したのだろう。何故自分は鬼に出会わないのか、むしゃくしゃする。
「紛い者だったらとっとと出て来やがれ!」
そう悪態をつく。だが、誰も出てこなかった。しばらく進むと、川が見えた。見晴らしが良さそうだと、伊之助はそこへ向かう。かたりと草履が地面に着く音がした。それに伊之助は敏感に反応する。目の前には、白色の若い少女のような鬼がいた。
「テメェ!紛い者!勝負しやがれ!」
伊之助は鬼にそう叫ぶ。少女鬼は後退りして、やがて逃げようとする。
「オイ!逃げんじゃねぇ!」
「お父さん!」
「誰がてめえの父さんだ…」
少女鬼は振り返ったと思えば、そう叫ぶ。すると、空から巨大な鬼が降ってきた。
「オレ゛の家族に゙ィ近づくな゙ァ!」
「おっと…」
伊之助は間一髪で避ける。何と、岩が砕けたのだ。あんなものを食らったら、鬼族でも再生に時間がかかりそうだと思った。
「ふん!テメェがその気なら、俺も本気で行かせてもらうぜ!」
―獣神・食い裂き―
猪のような幻影が、噛み付いてくる。父鬼は「ガアア」と呻く。
―獣神・切り細裂き―
鎌で、父鬼の腕を切り裂く。それに父鬼は驚いたように逃げる。
「オイテメェ!何逃げてんだゴラァ!」
伊之助は父鬼の後を追いかける。父鬼は逃げ足だけは早いようで、見失ってしまった。
「クソが、見失ったじゃねえかよ!何処だ、何処だ…」
ふと、炭治郎の言葉を思い出す。
『伊之助は、気配を最大限に研ぎ澄ませられるよな』
『あ?だったらなんだよ?』
『いやいや。俺には出来ないことが、伊之助には出来るからさ。もし紛い物が伊之助の力に恐慄いて逃げたら、その技で、相手を見つけられるかもな』
そうだ、俺様にはそんな技があった。ありがとな、権八郎。お前は大事な時にいつも思い出させてくれるぜ。お前の能力かなんかか?
―獣神・空間識覚―
神経を集中させ、周りの微かな空気の揺らぎさえも捉える。その敏感な動きを感知し、相手を見つけるという便利な技である。
「見つけた…そこか!」
父鬼は、木の枝にしがみついていた。それに伊之助は憤慨する。
「テメェ!ふざけんじゃねえぞ!紛い者の癖に!堂々と戦いやがれ!」
―獣神・乱杭噛み―
父鬼は再び呻き声を上げる。だがそれは先程と何か違うように見えた。
皮が剥がれ、大きくなる。
「は、まさか…」
伊之助の嫌な予感は的中した。父鬼は脱皮したのだ。
「はぁーん!?鬼が脱皮とか訳わかんねえんだけど!?いくら紛い者だからってそんなんアリかよ!」
ドンッと地面が揺れ、父鬼は地面に降りる。
(んだよ、この気配…紛い者の癖に…)
初めて伊之助は、勝てないと思った。父鬼に、首を捕まれる。息が出来なくなる。終わった。そう思った時、青光りする刀が父親の腕を斬った。
ボトリと腕が落ちる。血が噴き出る。
(何だ、炭治郎…か?)
目の前には、黒い隊服に、左右で模様が違う羽織を着ている男性がいた。それは、鬼殺隊と呼ばれる組織が纏う隊服で。伊之助は、ゲホゲホと咽せながらも、その目の前の存在に震える。
(嘘だろ…?鬼殺隊…俺らの存在バレたら絶対、権八郎に怒られる…いや怒られるなんてもんじゃねえ。やべえぞ…)
男は伊之助を見る。そして顔を顰め、伊之助の頸に青光りの刀を向ける。その刀には「惡鬼滅殺」と書かれていた。
「お前は、鬼か。同族に殺されかけていたのか?」
男は淡々と質問を投げかける。
「俺は確かに鬼だがよ。あの紛い物と一緒にすんじゃねー。俺は鬼族だ。生まれた時から鬼なんだよ。いいか、これは他言無用だ。絶対仲間に共有するんじゃねーぞ」
「…何故だ…鬼ならば、斬るべきだ」
伊之助は、物分かり悪っと憤慨する。
「だーかーらー、俺は人喰い鬼じゃねえんだよ!紛い者と気配違うのテメェなら分かるだろうがよ!」
それでも、この剣士は眉を顰めるばかりだ。
「俺は良いから、とっととテメェの任務を遂行しろよ!」
「…鬼殺隊でも無い癖に、随分とまぁ上から目線だな」
「はぁん!?確かに俺らは鬼殺隊では無いけどよ、手伝いっつったら分かるか?ほら、お館様が如何のこうの…」
男は、お館様という言葉に反応を示す。
「お館様の知り合いか…?」
「おう。正確には俺の仲間がな」
男は、ゆっくりと刀を下ろす。それに伊之助は安堵する。
「お館様が、赫灼の少年がこの山に居る。彼はお館様の知り合いだと言っていた」
赫灼の少年…炭治郎しか居ない。あいつはあまり鬼殺隊員に知られたく無いと思っている。その瞬間、伊之助は黙ろうと思った。
「お前は、そいつの事について何か知っているか?」
「しらねぇよ。そいつは仲間じゃ無い」
そんなわけない。罪悪感でいっぱいだった。
「そうか…」
男はそう呟き、裾から縄の様なものを取り出したかと思えば、次の瞬間、木に巻きつけられ拘束されていた。
「いくら人喰い鬼では無いとはいえ、信用は出来ない。暫く此処に拘束しておく」
パンパンと手を払いながら去っていく。
「はぁ!?何でだよ!!しかも何でこんな縄かてぇんだよ!解けないんだが!?」
男を罵る声は、山中に響いたとか。
コメント
2件
今日も一段と面白かった!! やっぱり私1番この物語が好き!!