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んじゃどーぞ
「俺を舐めるなよ…ボスの顔を忘れたか?ナチスだ」
「「…へ?」」
十数分後
「アナタねぇ…なんでそうなるんですかねぇ」
頬杖をつきながら呆れと哀れみを込めた眼差しを、日帝は向かい合って座るナチスへ向ける。
イタ王はというと、あの後すぐに「僕忙しいんね!じゃあ頑張ってね!」と言って返事も待たずにどこかへ行ってしまった。
面倒事だと察知したのだろう、そういう時の彼の行動は何故かはやい。もっと別のことに生かせないのだろうか。
「それとねぇ…ここ私の部屋なんです。もっと上品に座った方がいいんじゃないですか?」
何故日帝の部屋に居るのか。理由は簡単、ナチスの部屋に危険物がないか調査している最中だからだ。命に別状は無いが、ボスであるナチスに何かしらあったのは事実だ。
「いいだろう別に、俺達の仲だ」
「もう何でもいいですよ…ともかく、あなたはなんでそんな姿に?」
「お前の部屋に緑茶の茶葉があっただろう。」
「…なるほど、私が犯人だと言いたいわけですね」
「そういうことだ。あの緑茶、香りも味も悪くなかったが、1口飲んだらこのザマだ」
「まぁそれは置いておくとしてアナタ、私のあのお茶勝手に飲んだんですか…」
日帝はその緑茶をナチスに渡した覚えはなかった。
やれやれ、とため息をついて答えた。
「私の部屋に忍び込みましたね?私アナタにアレをあげた覚えありませんし。どうりで量が少ないと思ったら…」
「…確かに勝手に持ってったのは悪かった、だがなんでお前の部屋にあんな物が?」
案外すんなりと非を認めるナチスに驚愕したが、
面倒だがやはり話さなければいけないのか、と日帝は心の中で悪態をつく。
「あのお茶、アナタとイタ王へ渡して欲しいとうちの子から預かったものなんです。でもねぇ、二人が変な物を混ぜてるのを見て嫌な予感がしたものでね」
日帝はさらに目を細めながら、にやりと笑った。
「まぁ、私の推理は合ってたようですね? 」
日帝の子供である日本とにゃぽんは少し前から意味不明の研究を始めた。
その内容はというと、超強力な媚薬の作成や対象者の性別を変換させる薬の研究、植物の遺伝子を組み替えることによってうねうねとした気持ちの悪い触手のようなものを作り出したりなど色々。
2人はそれを秘密にしているらしいが、一緒に暮らしている日帝にとって情報は筒抜けだった。
「 なら早く言ってくれ!」
そんなこと言われても、日帝はそう心の中で思ったが、その言葉を押さえ込んで「すみませんねぇ」と返した。
「そう言っても、過ぎたことは仕方ない。お前が俺を自宅まで送ってくれ 」
「え?私が?」
「ああ、これじゃ仕事もままならないし、帰ろうにもこの姿じゃ難しい。お前の子供がこんな事したから俺はこうなったんだ。子の責任は親の責任だ」
そう言われたらなんだか言い返せない。
「…送るだけですからね!でも、アナタそれ歩きにくくないですか?」
小さくなったとはいえ、服は大人物のままだ。
裾が邪魔そうだった。
「とても歩きにくい」
「仕方ないですねぇ…」
そう呟きながら、日帝はナチスを抱き上げた。
「よいしょっ、と…」
「は?!ちょっ…」
ナチスは抱っこされるとは思ってなかったのか、日帝の腕の中で少し暴れて、すぐに静まった。
「どうです、さっきよりも見晴らしが良いでしょう?」
ナチスは「…別に」と呟くような小さな声で答え、顔を背けてしまった。
「照れてるんですか?」
「ちが、違うに決まってるだろ!」
そんなナチスが愛らしいと感じたが、声に出すとマズく感じたので言わないことにした。
「ふふ、子供の頃の日本を思い出しますねぇ」
「…いいから早くしてくれ」
「はいはい、じゃあ行きますか 」
数十分後
「ほら、着きましたよ」
2人がいるのはナチスの自宅前だ。一応高い地位についているナチスだが、家は至って質素で庶民的である。
「それじゃ…」
「待て」
すぐに踵を返す日帝をナチスが引き止めた。
「なんです?また何かさせるんですか?」
「ノックしてくれ、俺の背丈じゃ届かない」
「…あぁ、確かにそうでしたね」
ほんの少し力を込めて扉を叩いた。
しかし、何も変わらない。
「おかしいな、いつもならドイツがいるはずだが。開けてくれ」
「別にいいですが、鍵は?」
「…あ、仕事場に置いてきてしまった。日帝お前、ピッキングできただろう?頼んだ」
「えー…めんどくさ…」
「なんだって?」
「いえ?別に」
渋々日帝はポケットからピッキングツールを取り出した。
「んー…造りは単純ですね。これならすぐ開きますよ」
「そうか」
日帝は慣れた手つきで鍵を開け始めた。
「これで…よし!」
カチャリという音と共に扉が開いた。
「ドイツ、戻ったぞ」
そのナチスの声に返事をする者はいなかった。
「誰もいないようですね。」
日帝が机に目をやると、置き手紙があるのを見つけた。綺麗に折りたたまれ「父さんへ」と書かれている。
「ほら、手紙がありますよ。ドイツ君からですね。いやはや流石ですね、この綺麗さはドイツ君らしい」
「確かにそうだな、誰に似たんだろうか」
そう言いながらレザーのソファに座り込む。
ナチスも勿論完璧主義な所があるが、ドイツよりも異常だ。整理整頓する時は1ミリ単位のズレも許さない程で、いつも呆れてしまう。
「ほんとに、誰に似たんでしょうね…ほら、どうぞ」
「お前が読んでくれ」
「自分で読めばいいじゃありませんか」
「確かにそうだな、だが俺は今手紙を読む気分じゃないんだ。ふふ、ドイツ語が読めない訳ではないんだろう?」
「はいはい、わかりましたよ…」
「助かるよ」
「あーもう、人使いが荒いんだからこの人は… 」
小さな声で呟いたが聞こえていたのか、ナチスはわざとらしく 「ん?なんか言ったか?」と返した。
「いいえー」と答えながら、心の中で舌打ちをした。
彼の地獄耳はどうかと思う。あれのせいでろくに愚痴も話せない。
手紙は綺麗な字のドイツ語で書かれていた。
「えーっと…『出張のため2週間家をあけるよ。なにかあっても電話はしてこないで。帰ったら、この前俺のキルシュトルテを勝手に食べた件についてゆっくり話し合おう。』と、書いてありますね。アナタ、彼のトルテも食べたんですか?」
「ははっ、俺の目につくところに置いたアイツが悪いのさ」
ナチスは苦味のあるものなども好きだが、大好物は甘い物だった。彼の目の前に菓子を置いてはいけないというのが周りの人々の暗黙のルールだ。
「ほんとにアンタって人は…」
「まぁその話はいい。しかしドイツが帰ってくるのは2週間、今の俺では1人で過ごすのは難しい。その間俺の世話をしてもらう者が必要だ。」
「あなたの部下に頼めばいいじゃありませんか」
「ダメだ。奴らは信用できん」
「どうして?部下なのに」
「昔に俺の暗殺を企てていた部下がいたんだ」
「だったら、誰に頼むんです?」
「だから、お前に頼みたい」
「はぁ?なんで私が」
「お前なら信用できる」
「イタ王でもいいじゃありませんか」
「奴に頼むとろくな事がない。」
「確かにそうですが…私には仕事が」
「そこは自分で何とかすればいいさ。ま、そういうことだ、頼んだぞ」
「はぁ?!…もう、いつもこんなのなんだから…」
こうして、小さくなったナチスは日帝が面倒を見ることとなった。
続く(疲れた)