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※転生if
キング(高木将)のみ前世の記憶がありません。
口調などの異変は気になりましたら教えてください。
──────
ピピピッ ピピピッ ピピピッ
「ん……」
スマホの目覚まし時計の音が部屋に響き渡る。その音を察知した高木将は、重たい体を動かし、目覚まし時計の音を切る。昨日は沢山塗装をした為疲れが取れておらず、頭痛を感じ取ったが見て見ぬふりをすることにした。
𑁍𓏸𓈒
「じゃあ、ここで解散。明日は𓏸𓏸市に集合で。」
高木の合図で同じ仕事場の人達はぞろぞろと帰路に着く。今日は塗装の仕事が早く終わって良かったという安心感のせいか、どっと疲労感が増す。ふらふらした足取りで車を停めている駐輪場へと足を進めた。高木はここ最近感じていることがあった。それは寂しさだ。仕事も黒字で、妻も娘もいるのに胸の奥がぽっかりの空になったかのように寂しいと感じる。まるでそこに何かがあったかのような───
「危ないっ!」
誰かの叫び声に近い大声を聞いたキングは瞬時に目の前へと視線を向けるとトラックがキング目掛けて近づいていた。その直後、死を覚悟した高木はぎゅっと固く目をつぶる。が、すぐにトラックに轢かれたよりもマシな痛みを感じ、ゆっくりと目を開ける。急な出来事に理解できていない中、隣に人の気配を感じ、今度はそちらに目線を向けた。
「”今度”は俺がキングを助けたな!」
隣にはかも有名なアメリカを拠点に経営をしており、そこの社長である小山隆弘がいた。恐らくこの男性に助けて貰ったのだろうと高木は理解した。胸の奥のからっぽが埋まっていく。なぜだろう。相手とは初対面のはずなのに。そうぐるぐる考えていた高木に小山は心配の言葉をかけた。
「えっ〜と、キング大丈夫?もしかして怪我した?!」
キングとは何だろうか。そう思い無意識的に言葉を発していた。
「キングって……。俺達って初対面ですよね、?」
自身が馬鹿正直に言った事を自覚し、相手の顔色を伺おうと高木は恐る恐る小山の方へと顔を上げた。
「っ、!」
小山の顔は何とも言えない顔で怒っているのか悲しんでいるのか、色々な感情の入り交じった顔をしていた。また心の穴が広がった気がした。
徐々に近づいてくる救急車のサイレンがやけにうるさく感じた。
𑁍𓏸𓈒
あの騒動から約一ヶ月の月日が経った。あれから小山には会っていない。それに謝罪も礼も言えていない。はぁっと溜息をついていると、とだとだと慌ただしい足音が聞こえたため吸わずに手に持っていた煙草をすぐにポケットへとしまった。
「パパー!ってあれ?タバコ吸ってない……。」
「花音に怒られるから吸ってないんだ。」
「ふふん、いい心がけですね!」
ドヤ顔混じりの笑顔にどうしても頬が緩んでしまうあたり親バカなんだなと自覚していた。
「でもパパ何かあったの?」
「んぇ?」
娘である花音に核心のついた事を聞かれ、情けない声を上げてしまった。顔が熱い。
「パパ。花音そういうのバカにしないよ。」
娘からの気遣いに精神的なダメージをちょっと、いや、かなり受けた。
それを見兼ねた花音は高木の服の裾を掴みながら口を開いた。
「あのね、なにか悩んでるなら誰かに相談するか、その悩んでる原因の人に直接話せば良いってママが言ってたよ!」
「花音……」
花音の優しさに胸がジーンとした。花音は妻である加奈みたいに誰かを気遣える良い子になるのだろう。
「花音、パパ、夕飯の用意出来たよ。」
ママに呼ばれ、花音はママに抱きつく。
「ちょっと花音危ないよ〜!」
二人の幸せそうなところを見ていると先程までグダグダと考えている自分がアホらしく感じた。
「あっ!パパ元気そうな顔してる!」
「ん〜?パパ元気そうじゃなかった?」
「うん、でも花音が解決してあげたの!」
「え〜!花音偉い!」
「でしょ〜!」
「二人とも。」
高木の声に二人は高木の顔を見つめる。
「いってきます」
それが何を意味する言葉なのか二人は理解したのか、お互いの顔を見つめ合い、笑顔で送り出してくれた。
「「いってらっしゃい!」」
高木はスッキリした気持ちで小山の元へと足を運ぶことにした──────