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女研＋周辺短編集

第12話 - RESTART【❤️💚】

235

2024年07月30日

#しろまち

#りちょまち

#ニキまち

#18まち

#キャメまち

#キャメはち

檸檬

キャメロン（❤️）×まちこりーた（💚）

無自覚片思いキャメ←まち。

※全年齢

お題『映画』

───────────────

RESTART【❤️💚】

───────────────

※まちこさん卒業前提

最近ドロドロした重い話しか書いてなかったので、リハビリです。

とある日のお二人のポストを参考にしています。

気になる方は私のXのサブ垢の投稿を遡ってみてください☺

───────────────

〜💚side〜

「──あれ、まちこさん？」

「えっ、」

この日のこの時間にこの映画を見に来るのは、前々から決めていた。だからこうして出会ったのも、全くの偶然なわけだ。

「キャメ、さん…」

久しぶり、と軽く手を上げて微笑む彼からは、なぜか、本当になぜかほんのりカレーの匂いがした。

◆　◆　◆

久々に会った元グループのメンバーに、なんと話し掛ければ良いのだろうか。

私が女研を卒業、という形で抜けてから、早いものでもう二ヶ月が経った。私も毎週配信をしながら個人活動に精を出しているし、女研は女研で大手とコラボしたりZeppでのワンマンライブを決めたり、オリ曲を作ったりと様々な活動に力を入れている。

「…そっちも、忙しそうだね」

やっと絞り出たのは、そんな素っ気ない言葉がひとつ。もともとキャメさんとはグループにいたときもあまり話す方ではなかったし、彼には申し訳ないが正直、会うならじゅうはちやせんせーが良かった、とも思う。

何より──彼と二人でいると、なんだかむず痒いのだ。じゅうはちと仲良くしている彼を見ていればなぜかモヤモヤしていたし、親友（・・）を奪（と）られたような、そんな気持ちになっていた。せんせーの揶揄いなんて、耳に入らないくらいに。

でも、彼はそんな私を察したかのようにゆっくりと言葉を紡いで。

「ははっ、お陰様で。まちこさんも俺たちのライブ、来てくれるでしょ？」

「うん、もちろん！行く予定だよ」

突然、どうしたのだろう。そう思って彼の顔を見上げてみれば、彼は私の目を見て微笑んだ。

「はは、そうだよね。久しぶりに会えて良かった」

映画お互い楽しもうね、と言い残して、ポップコーンの列に並びに行こうとするキャメさん。

（…えっ、それだけ？）

ガチガチに身構えていた私は、思わず目を見開く。気づいたときには、私は彼の腕を掴んでいた。

「…え？どうしたの、まちこさん」

「…っキャメさんは、」

今日は誰と観に来たの、なんて聞けなかった。そんな他愛もないことすら、私には言葉にできない。

理由なんて、そんなのわからなかった。一人で来てるのか他メンの男どもと来てるのか、それとも。

──ただ、卒業した元グループのメンバーと話すのが気まずいだけ。そう、それだけなのだと、自分自身に言い聞かせる。

「…ううん、なんでもない、w」

「…まちこさん、」

そう呼び掛けてくれた声に、私は応えなかった。

ネットでチケットはもう買ってあるし、先程窓口で受け取りもし終わっているし。時間にも、まだ一時間くらいは余裕がある。

気持ちを切り替えて、私は近くの某アニメショップを見て回ることにした。

（A先生の新刊、もう出てたんだ！ ……あ、これも良さそう…）

いつも通り、私の買い物カゴはいつの間にか推しのグッズとBL漫画で埋まっていて。

会計を済ませてスマホに目をやると、そこには13:47の文字。

（っやば、あと10分で映画始まっちゃう…！）

この時刻なら、もう既に入場は始まっている時間だ。そのときにはとうにキャメさんのことなんか忘れていて、私は映画館まで駆け足で向かった。

──そう、忘れていた、はずだったのに。

「あれ、まちこさん」

シアターに入ろうとする人々の列に並ぶと、前にいたのは見覚えのあるタレ目の茶色い天然パーマ。

そこには、見る映画同じだったんだね、と、今日二度目の台詞と共に微笑むキャメさんがいた。

「う、うん。結構前から、気になってたから」

ここで話さないのも怪しまれるだろう。現に一度、彼から逃げてしまっているわけだし。

今日観にきたのは、以前長編読切として読んだことのある漫画が原作のアニメ映画。途切れ途切れに話していけば、彼も原作を読んだ上でこの映画を見に来たという。

「予告映像のアニメもすごい綺麗だったし。楽しみだね」

「うん…！そういえばキャメさんは、席どの辺なの？見た感じ、一人みたいだけど」

先程は何かが怖くて訊けなかったそれ。

こうして並んでいるときも、彼の周りに連れは見当たらない。今度はなぜかすとんと胸に落ちてきて、私はさらりと質問していた。

「あー、俺も今日は一人で行こうって決めてたんだ。席はここ。中央後列、なかなか良い席でしょ？」

「えっ、ここって」

そう言って彼が見せてきたチケットと、館内図のシアターの座席表を照らし合わせる。するとそこは、自分が取っておいた座席の一つ前。

「えっ、そうなの！？」

すごい偶然、とからりと笑う彼。私はその顔が眩しくて、思わず目を細めた。

「──次のお客様ァ…」

その雰囲気に呑まれていれば、従業員さんの気怠げな声にハッとする。

目をやれば、バイトだろうか、早くしろと言わんばかりの目線でこちらを見ている若い女性の従業員。接客中だとは到底思えない、頬杖をついてトントンと人差し指で机を叩きながらじとりとこちらを睨んでいた。

「あ、すみません！」

「申し訳ないです……っ」

キャメさんが謝罪するのに合わせて、私も慌てて頭を下げる。不機嫌そうに見えた従業員さんは、キャメさんが顔を上げるのを見て顔を赤くした。

（…あ、そっか）

──キャメさん、黙ってたらちょっと…いや、かなりイケメンなんだった。

もちろん、そんなこと本人には絶対言ってやらないけど。その事実に気付いた瞬間何だか面白くなくて、私はチケットを見せ終わってシアターに歩き出したその背中を軽く小突いた。

◆　◆　◆

「っぅあ、良かったぁ……」

「まちこさんめっちゃ泣いてたもんねw」

「っ、べつに良いでしょ！？」

そう言って笑うキャメさんを、キッと睨む。目尻があつくなっているのは自分でも分かるが、泣いている人を笑うのは違うだろう。

「…まちこさん、元気になった？」

「え？」

元気も何も、私は朝から絶好調だ。熱もなければ痛みもない、なんなら虫刺されや怪我すらない。不思議に思って彼を見上げる。

「──あー、だってまちこさん、会ったときめちゃくちゃ声小さかったし。俺さ、まじで嫌われたかと思ってヒヤヒヤしたよ」

「いや、それは…！」

違う、とまでは言いきれない。

実際、私は元メンバーに会うのが気まずくて逃げ出した訳で。

「ちょっとまちこさん、なにその間！」

「……ナンデモナイデスケド？？」

明らかな棒読みでそう答えて、彼を揶揄う。

私たちはそのまま、「このシーン良かったよね」とか、「○○に感情移入し過ぎて…」とか、色々映画の感想を語り合った。

「──そうだ、まちこさん。この後って何か用事ある？」

「？いや、ないけど……」

彼はいつも突拍子がない。こういうところが少し苦手な理由なのだ、とこっそり思う。

「じゃあさ。今日は二人で、飲みに行こうよ」

◆　◆　◆

〜❤️side〜

「──ね、きいてきゃめさん、わたしね、」

「うんうん、なになに」

顔は真っ赤、呂律は回らず、机に突っ伏してオリジナルカクテルのグラスをカン、と音を立てて置くまちこさん。彼女がでろんでろんに出来上がってしまっているなんて、誰の目から見ても明らかである。

──嗚呼、これは、確実に、飲ませすぎた。

映画を見終わって二人で語り合ったあと。俺は、二人で飲みに行くお誘いをした。ニキくんたち──特にしろせんせーにバレようものなら何か色々言われそうだが、別に下心なんてものはない。

ただ、懐かしい顔の友人と酒を飲む。ただ、それだけ。そう思いながら彼女を連れてきたのは、何の変哲もない小さなバー。どちらかというと、カクテルやワインで有名な小洒落た店である。

「まちこさん、ほら、お水。飲もう？」

「んー…」

彼女はマスターのオリジナルカクテル──名前はなんだったか覚えていないが──を飲んでいた。飲みやすく爽やかな味わいだがジンが入っており、アルコールの度数は想像以上に高い。

これ以上飲ませる訳にも行かなくて、マスターに水を貰ってまちこさんに手渡す。これ以上飲んだらお家帰れなくなっちゃうよ、と言えば彼女はあっさり受け取ってくれた。

「…あのね、わたしね、きゃめさんのこと苦手だった」

「っ、うん……？」

…なかなかにぶっこんでくるな。酔った勢いか、彼女の口はなかなかに饒舌だった。

「じゅうはちと仲良くしてるのも、見ててモヤモヤしてた。二人でいても、なんかふわふわして、」

（…あれ、）

これは、どちらかといえば、嫉妬、だ。

きっと、友達（18号さん）を取られたという認識を起こしたのだろう。なんせまちこさんは、18号さん以外ろくに友達はいなかったと聞いているし。

「…うん、うん。そっか」

「でもね」

俺の打った相槌に被せるようにして、まちこさんが続ける。俺はゴクリと息を飲んで、その続きを待った。…仕方ないだろ、何を言うかと思えば第一声が「貴方が苦手」だったんだから。

「わたしね、いまはすきだよ、キャメさんのこと」

「…え」

にへら、と笑う彼女の真意は、俺には分からなくて。ただ呆然として、ポカンと彼女の顔を見つめる。

「気まずいだろうし、Xでリプくれるの、キャメさんぐらいなんだよ。だからね、すごくうれしい」

「いや、あの」

「せんせーとかさ、2人でさいごに動画撮ったときはリプくれなくなるんじゃとかいってたのにさ、向こうのリプがないんだもん」

「ちょ、待ってまちこさん、もうとっくに脳のキャパ超えてるからっ…！」

これは告白、と取って良いのだろうか。

それとも、友達として、『好き』ということなのだろうか。顔があつくて、耳まで赤くなっていることが分かった。

──違う違う、まちこさんのことだから、深い意味はない、はず。

少なくとも、そう思わないとやっていけない。

周りにいた客から妙に生ぬるい視線が伝わってくる上に、マスターからは「おやおや…、返事はお酒の抜けてからゆっくり話し合ってみては？」なんて言われる始末。

居たたまれなくなって席を立って、雑に会計を済ませてから俺はまちこさんを連れて店を出た。

「…えっと、まちこさん、帰りタクシー呼ぶよね？」

「うん…」

「一人で帰れる？」

「うぅん……」

…あ、無理なやつだ、これ。

今日のことは忘れよう。まちこさんも、きっと明日には忘れていることだろう。泥酔してるし。

俺はひとり苦笑いして、家まで彼女を送っていくことにした。

「まちこさん、住所言える？」

「えっと、○○区○○、○○-○……」

「うんうん、えらいえらい」

小さな子どもをあやすように、俺は彼女の頭をポンポン、と撫でる。ふにゃりと笑うまちこさんにさっきのことは忘れてつられて笑っていれば、信号で止まった中年くらいのタクシーの運転手さんが一言。

「彼氏さんかい？いやぁ、若いっていいねぇ」

「っいえいえ、友達です！ただの！！」

せっかく忘れかけていたのに、先程の記憶が鮮明に蘇ってくる。

いつのまにか到着していたまちこさんのマンションの部屋まで送り届けて、俺はようやく帰路についた。

◆　◆　◆

〜💚side〜

（──まずいまずいまずい……っ！！）

ズキズキとした、二日酔いの頭の痛みで目が覚めた。その瞬間に蘇ってくる、昨晩の記憶。

普段から酔ってもそれほど泥酔しない──というよりも、そもそもそこまで飲まない私。昨日は、“元メンバー”と久々に会った緊張で飲みすぎたのだろう。

「今は好きだよ、キャメさんのこと」──

今回に限って記憶はすっぽり抜け落ちている、なんてあるはずもなく、自分が発言したことも一言一句覚えている。

彼のことを“元メンバー”だなんて呼べるのも、もう終わりだ。

（まさか、お酒の勢いで自覚するなんて…）

私はひとり自嘲する。

ずっと、『話しにくいメンバー』なんだって。『二人でいると気まずい』って思ってた。

それなのに、実際はただ『恥ずかしいから話せない』だけで。二人でいるとむず痒いのも、ただ私が照れくさかっただけで。

じゅうはちとキャメさんが絡んでいるのにモヤモヤしていたのも、じゅうはちを取られたなんてそんな甘いものじゃなかった。もっともっとほろ苦くて、醜い感情（嫉妬）。

でもその全てが、私がキャメさんに向ける感情、それが『恋』なんだって物語っている。

「今度、どんな顔で会えば良いんだろう……」

きっとこれが、私たちの恋の始まり。

卒業したあとの、再スタート（RESTART）だ。

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◆テラーノベル、フォロワー100人ありがとうございます！！記念企画等ご用意しておりますので是非ご参加ください✨✨

詳しくは雑談部屋、またはXサブ垢の固定ポストをご覧ください！

【X本垢】@lemon_4607

【サブ垢】@lemon4607_sub

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うわ、、、しろまち一筋だったけどきゃめまち良すぎる､!!!!! またきゃめまち書いて欲しいです‼️次はドロドロでも大丈夫です😘💕

檸檬

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