side SATORU
遊が好き。会った時から分かってた。
琥珀色の瞳。きっとなにかの能力の眼を持っているはずなのに、俺の眼で見えない。
術式も見えない。性格も、なんだか不思議な感じ。明るいけど、何かを隠しているような……
でも、優しい。心の底から俺を心配したり、可愛がってくれるのは、遊が初めてだった。
───ちゃんと俺自身を見てくれる人もまた、遊が……
遊との出会いは中学の時。
遊自身は覚えていないけど、俺は覚えている。
「ガハッ!」
俺が特級に襲われてた時
「大丈夫……!!??」
助けてくれたのが……
「えっと!反転術式……!できるかな……!やってみるね!!」
できたことない反転術式を、俺で初めて成功させてくれた。覚えてる。
あの時のショックも。
あの時の遊は、今と全然違った。センター分けで、髪の色も薄かった。きっとあれが地毛。
今も脳裏に焼き付いている。遊のすがたも、遊の彼氏も。
『遊!だいじょぶ!?』
『うんうん、てか、私のこと舐めてるでしょ!』
『舐めてないよ(笑)』
『瑛くんは?』
『こっちは片付いた。』
『そっか!えへへっ』
『ーーー?』
『ーー?ーー!!(笑)』
仲が良くて、すぐ勘づいた。
付き合ってんだな、って。
そんなことがあったのを今唐突に思い出した。だからあんなこと聞いたんだ。
「せんせーって彼氏いるの〜?」ってね。