テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ʓ Ɩ ı
63
11
「あ、愛莉ちゃんが!?」
「うん。だめかな?」
絵名はえむと咲希に聞いた。二人にとっては、全然大歓迎だ。だって彼女は、アイドルなんだから。
「ねえ、えむちゃん」
愛莉がえむに聞いた。
「あなたたちは、どうして曲を作ってるの?」
「それは!たくさんの人を笑顔にしたいからです!色々な人に笑顔を届けたいから、!」
すると、愛莉が背を向けて言った。
「なら私は、あなたたちとは曲を作らない」
「え!?な、なんで、」
「愛莉、どうしたの?さっきまではノリノリだったじゃない」
すると、愛莉が声を上げた。
「そんな目的でやるなら曲は作らない方がいい!笑顔にしたいっていうのが目的なら、辞めた方がいいわ!」
「なんでそうなるの!?愛莉、どうしちゃったの」
「あなたたちが作った曲を聴いて、もし余計に苦しくなるようなことが起きたら?笑顔になれなくなっちゃったら?」
その言葉にえむと咲希は顔を顰める。だって、そんな想像をしたことがなかったから。今まで、コメントにも、”笑顔をなれた”とか”楽しくなった”って書かれてた。でも、もしその裏ではなんの力にもなれていなくて、余計に苦しませてるだけだとしたら、。
「で、でも!笑顔になってくれてる人は必ずいる!コメント欄にも書き込んでくれてる!」
「それは、表面上よ!真実なんか誰にもわからない!私は!自分たちで作った曲で、人を苦しめたくないの!だから私は、あなたたちとは曲を作らない、!」
そういうなり、愛莉はファミレスを出ていった。
「愛莉、大丈夫かな、。どうしたんだろう」
「愛莉ちゃん、。」
えむは、何も言えなかった。だって。
ー確かに愛莉ちゃんの言う通りだ。私たちの曲は楽しさとか明るさに全振りしてる。だからこそ笑って欲しいって思ってる。でも、その曲が聴いた人を苦しめていたとしたら、。苦しい思いをしてる時に、明るい曲を聴いて、余計に苦しくなっちゃったら、!
「ー。ウッ、ウッ、!」
「えむちゃん?どうしたの?」
えむは涙を流した。想像してしまったから。自分たちが作った曲が人を苦しめるというものを。
「ねぇ、えむちゃん。どうしたの?」
「えっとね。ー。考えちゃったんだ。私たちの曲が人を苦しめるかもしれないって。私たちは笑って欲しいからっていう理由で明るくて、笑顔になれるような曲を作ってるの。でも、その明るさが逆に苦しめちゃうかもしれない!そう思ったら、悲しくなっちゃって、!」
すると、絵名が優しくえむを抱きしめた。
「えむちゃん、大丈夫だよ。私たちの曲は、たくさんの人に届いてる。」
「でも、でも、!」
すると、咲希が口を開いた。
「私が小さい時に、ね?病院で入院してた時に、たまたまテレビを見てたんだ。そしたら音楽番組で。その曲を聴いたらね、涙が流れたんだ。なんだか心に寄り添ってくれるような感じがして。それでなんだか安心して笑顔になれたんだよね。だからさ、暖かく寄り添ってくれるような、でも笑顔になれるような、そんな曲を作ろうよ。」
「たくさんの人に、寄り添って、笑顔になれるような、曲?」
「うん!音楽って、楽しませるだけじゃない。もっと、心を支えてくれるものなんじゃないかな。心を支えてくれて、その心にそっと寄り添う。だから、明日も頑張ろうって思えたり、笑えたりするんだよ、きっとね。だから、そういう曲を作ろうよ。」
「そうね。私たちの曲がたくさんの人の心に寄り添えるなら、すごく嬉しい。」
「私も、嬉しいな!私たちの曲で、心の中が軽くなって笑顔になれたら、すごく、嬉しい!」
「ー!そうだ!愛莉ちゃんに、そんな音楽をプレゼントしようよ!」
「私たちの想いを詰め込んだ、そんな音楽を!」
コメント
3件
読了……しっとり重い回だったね。 愛莉の「笑顔を押し付けることで余計に苦しめるかも」って指摘、すごく刺さった。確かに明るいだけの曲って、元気な時はいいけど落ちてる時は辛いことあるもん。 でも咲希の「寄り添う音楽」って提案、あたたかくてじんわりきたよ。自分の経験から出た言葉だから説得力あった。 えむが泣いちゃったところ、めちゃくちゃ共感した……。みんなで曲の意味を考え直す、大事な第7話だった🤍