テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
-–
テレビから流れる無機質な声。
「〇〇マンションの屋上から転落した男性は、10年前に行方不明となっていた人物に関与していたことが判明しました。死亡が確認され、関係者の間で波紋が広がっています」
その声が部屋の空気に溶け込む中、サヤカはぼんやりと画面を見つめていた。
彼女の目は虚ろで、まるで遠くにいるようだった。
僕は静かに近づき、震える声で呼びかける。
「…サヤカ」
だが彼女は反応しない。
まるで僕の存在を認めていないかのように、無表情のままだった。
戸惑いながらも彼女の手をそっと握る。
その手は冷たく、小さく震えていた。
「僕はここにいるよ」
胸の奥から溢れる言葉を、ただ静かに伝える。
僕の涙が頬を伝い落ちる。
それでも彼女は動かない。
この静寂の中で、僕はただ彼女の手を握り続けることしかできなかった。
𝑭𝒊𝒏.
コメント
3件
やばい!こうゆう系のBLめっちゃ好きなんです!