朝、目が覚める。
理想の朝とは程遠い。…やっぱり鳥のさえずりで目を覚ましたいがこんな施設じゃそんな事は不可能に近いだろう。
上半身を起こし結果を見に行く。
どうやら2人はまだ寝ているようだ。
昨日検査キットを置きに行った場所へと向かう。
まだ言っていなかったが、桃色がオメガで青がベータ。赤がアルファだ。
きっと赤くなっている小瓶が2つ並んでいるんだろう。そんな事を思いながら部屋に入る。
…
何故桃色に染まった小瓶がある?
俺は急いで小瓶を手に取る。名前が書いていなければネスのものとなる。
…< Michael >
その文字が見えた瞬間俺は目を逸らす。
見間違いだろう、…そう信じもう一度見る。
そこには変わりなく< Michael >の文字がある。
俺がオメガ…?
心臓の音が鳴り止まない。
隣に置いてあるネスの小瓶は赤く綺麗に染まっている。
この俺がオメガ?…ネスがアルファで…。
どうする、バレたらどうなる事か分からない。
隠す?それともネスの小瓶と中身を入れ替える?
何をしてでもこれだけは隠したかった。
…そうだ、染め粉でどうにか…!
帝襟…?とかいうやつに貰えるんじゃないか…?
そう思い部屋を出ようと振り返ると世一が立っていた。
「カイザー居たんだな。」
急いでポケットへと小瓶を隠す。
「…嗚呼。」
怪しまれないように平然を装う。
「ネスの小瓶だけ…御前、自分の小瓶どこやったんだよ。」
「…」
「カイザー?」
必死に言い訳を考える。
「…もしかして御前オメ…」
「日の当たりが悪かったのか反応してなくてな。」
…言い訳文を間違えた…こんなの怪しまれるに決まっているのに…。
「…ふーん、ちゃんと日が当たるところに置いとけよ。」
「言われなくても分かっている。」
世一が視線を少し下に落とし、俺の顔を見詰める。
「…何だ。」
「今日、俺も検査キット買いに行く。」
「そうか。」
そう言うと世一は去っていく。
…とにかくこの結果をバレないようにしなければ…。
いや、その前にヒートや発情期の期間を知っておかないとな..。
俺はネスの小瓶だけを残し部屋から去る事を決めた。
どうか…誰にも知られないように、と願いながら。
〆。
どうやらカイザー君はオメガ…。
次は世一視点で今回の話を書こうと思います。
ご視聴感謝。
コメント
3件
楽しみです!続き作るの頑張って下さい!待ってます!
いやこれはもう世一わかっちゃったか!?