♡ HBC より irr(💙🐬)サマ単体 小説
⚠︎ 《荒廃したゾンビ世界を50日間生き延びる》小説1巻及び原作ネタバレ、微死ネタ 表現注意
💙🐬:「」
mob:“”
喋ることすらままならない薄れた意識の中、ぼんやりと忌々しい記憶の鱗片が見えた。
それは、すぐさま忘れたい、だけれど忘れられない《あの日》の記憶だった。
“50日間、荒廃したゾンビ世界で生き延びると、ここから解放されるぜ”
そう教えてくれたのは、あの時の君だった。
あの時はみんな揃っていて、楽しいいつもの日常が繰り広げられていた。
そう、広げられていた《はずだった》。
みんなと過した楽しい記憶の1片1片が、苦痛な《呪い》となってかえってくる。
あの日作ってくれた焼き鳥も、温泉も、みんなで覗き込んだ自販機も。
全てが、今はただの《思い出》であり、呪いに過ぎない。
何度も何度も、帰ってこない《みんな》を想っては自殺を試みたことさえあった。
____もう少し、みんなと一緒に居たかったな。
“50日生き延びれたら、一つだけ願いが叶うぜ”
“いるるさんは、何を願うの?”
“50日後も、みんなとわいわい話すことかな”
“知能持ちゾンビの確認”
“また、みんなで暮らせるといいね”
“生き残れて、良かったですね!”
ピピピピ…ピピピピ…、カチッ、
鳥の鳴き声の響く朝の静けさ。
濡れた頬、それに枕。
枕元に飾られた、みんなとの写真。
パソコンの画面に映る“撮影開始”の通知。
「ああ…、全部、夢だった、んだな……、」
安堵の涙がぼろぼろと零れてくる。
それはまるで堰を切ったように、自分を慰めるかのように頬に降り注ぐ。
「へがさん、来たよ」
朝の支度を終え、パソコンを開き通話に入る。
“もー、どうしたの!遅かったね”と、みんなが。
僕だけに残る記憶。
みんなはきっと覚えていない、それはそれは残酷な記憶。
みんなが思い出すことがないように、そっと蓋をして僕だけが涙を流す日々。
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