TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

令和7年度T市複合災害より約1週間が過ぎ、2025年6月12日。


T市仮設病棟。そこには幸太の姿があった。


「福永君……」


まどかはあの日からずっと見舞いに来ている。しかし彼はまだ目を覚まさない。そんな時、いきなり扉が開く。


「幸太!?」


海外出張から帰って来た陽翔《はると》だ。


「あ、初めまして。福永幸太の友達の橘陽翔《たちばなはると》です。もしかして幸太の先輩さんですか?」


「はい、福永君と同じ会社の、冨峯《ふみね》まどかと言います」


「やっぱりそうなんですね!幸太から話は聞いてましたよ。すっごくかっこいい先輩がいるって」


「そんな、褒められるような先輩でもないですよ……」


「……ところで幸太は……」


「昏睡ではなく、脳波も出ていて生命維持にも何も問題は無いそうです。ある意味眠り続けている状態に近いと……」


「そうですか……。なら大丈夫!彼は戻ってきます!」


「え?それは……」


「だって彼はどんな時でも前向きだから……。きっと今意識はどこかに行っていて、うわぁここがあの世かなぁとか言って楽しんでいるだけですよ……。飽きたらすぐに戻ってきますよ、幸太は少し飽きっぽいところもあるので!」


「貴方は信じているんですね……彼の事を」


「はい、だって僕の親友ですから。僕を悲しませるような事は絶対しないですよ……。それじゃあ僕は行きます。これ、僕の連絡先なので何かあったら教えてください!それじゃ……」


そう言うと陽翔《はると》は名刺をまどかに渡して病室を後にした。


「陽翔《はると》や、もう少し幸太君の顔を見てなくて良かったんか?……」


おばあちゃんが陽翔《はると》に話しかける。


「うん、大丈夫。だって幸太を信じてるから。それに……あのまま居たら僕、涙を止められなかったから……」


「陽翔《はると》……」


陽翔《はると》は涙をこらえて歩き出す。


病室に幸太と2人残されたまどかはポツリと呟いた。


「信じてるか……」

その夜、幸太は病室から姿を消した。


???にて。


「それで、彼は助けられるの?」


「そうだね~彼の意識は戻せると思うよ。でも、詳しく調べてみない事にはわからないんだ~」


「それならはやく調べてあげてほしい。お願いよ」


「わかってるよ。僕たちだって彼がこんな状況になったらのは自分たちに責任があるんじゃないかなんて思っているんだ……。とにかく調べてみるよ~」


「ありがとう……」


「ジダイ、準備出来たぞ……」


「ありがとう、イゴエ。それじゃあ始めるからね~」


「えぇ……」


そしてモパン達の船内で幸太の検査が始める。



その間、フミネはアルパと話をしていた。


「7年ぶりですね……今は冨峯《ふみね》まどか、でしたかね。先輩……」


「えぇ。まさかこんな形で出会うとはね」


「こちらこそ、貴方があの会社で働いていたとは……」


「それで、貴方達の目的は一体何なの?それに調べたら彼は何度も貴方達の事件に巻き込まれているわ。今回なんて名指しで予告してまで!……」


「ど、どうしてそれを!?」


「答えなさい!」


「俺たちは、この地球でドッキリをすることでお笑いを故郷に与えたいと思っていたんです……」


「では、福永君を狙った理由は!?何度も彼を巻き込んだ理由は一体何なの!?」


「最初はたまたまだったんです……。企画の中で我々のミスで彼に被害を与えてしまいました。ただ、その時に彼の反応がこれまでの地球人と様子がおかしかったんです」


「様子がおかしかった?」


「はい、彼は自身の部屋が爆破されているにもかかわらず笑っていたんです……。僕たちはそれが気になってしまってその後の企画では彼を他の地球人と比較するために、大人数の中に彼を混ぜて企画を実施したんですが他の地球人が悲しむ中で彼だけは笑っていたんです!だから次は直接調べてみようとしたら……」


「笑っていた?……!」


フミネは思い出す。あの惨状の中で見た最後の幸太の表情を。


「彼、あの悲劇の中でも笑っていたの……。涙を流しながらね……」


「はい、僕たちも撮影データを確認して見ました……。彼の泣く姿は初めてだったし、あの表情、忘れられないです……」


「今までは笑っていただけだったの?」


「そうですね、改めて過去データを確認しましたが、彼はいつも笑うだけでした。それが今回は今までとは違う反応で叫ぶ姿もビックリです……。そういえば、あの時に僕たちの意図しない現象が会社内で起きていたんですが、先輩、何か知ってますか?」


「え、あれって貴方達の仕業じゃなかったの!?それじゃあまるで彼の叫びをきっかけに、会社内で異常現象が始まって外でも災害が起き始めたみたいじゃない……」


「え?……確かにそうとも考えられますね……」


「それならば、まさか彼には……」


「どちらにせよ、まずは彼の調査が終わってからですね……」


そして2人の間に長い沈黙が訪れる。



そして数時間後。


「うわあぁぁぁ!?」


悲鳴にも似た叫びが奥の部屋から聞こえてくる。


「な、なんだ!?」


そして激しい物音が続き、勢いよく扉が開く。


「これってアブダクションじゃん!ってうぉぉ!?あんたたちも捕まったのか……ってまどか先輩!?」


「福永君!?よか……」


「とにかく2人とも一緒に逃げますよ!」


幸太はまどかとアルパの手を掴むと走り出す。


「これは凄いことになりましたよ!?とりあえず運転席を探しましょう!こんな時は墜落させるのが一番です!ジョセフもそうしてました!」


「ジョセフって誰よ!?って待ちなさい!アルパ!あんたも止めなさいよ!」


「あ、わかりました」


アルパはいきなり止まる。するとその反動で幸太は手が離れまどかと一緒にずっこける。


「いってぇ~。何してんだ、あんた!」


「そうよ、アルパ!危ないじゃない!」


「えぇ……これが最適解だと……」


「ってやべぇ!もうついてきやがった!ほら行きますよ!」


後ろからやって来る2人を見て再び幸太は手を取ろうとする。


「福永君、落ち着きなさい!」


「そんな事言ってる場合ですか!?ほら宇宙人が!?」


「彼らは宇宙人じゃないわ!……あ、いや宇宙人だけど、悪い宇宙人じゃない!……いや、迷惑な奴か……えぇ~と、私と同じよ!」


「へ?同じ?」


幸太の時が止まる。



それから数分後、彼に事情を話し始める。


「えぇ!?まどか先輩って宇宙人なの!?」


「実はね……。このことは他の人には秘密よ?」


「もちろんですよ!なんだか知り合いに宇宙人が居てそれを秘密にしないといけないって、まるで物語の主人公みたいじゃないですか!学生の時にあれだけ月刊モーを読んで儀式をしたり空を見たりしたのに、まさかこんな感じで出会うとは……僕ってラッキーですね!」


「あ……喜んでもらえて何よりだわ……。ってそんな事どうでもいいわ……ほんとに心配したのよ!意識が戻って本当に良かった!」


「え、宇宙人との出会いってそんなにどうでもいい事じゃないですよ……。てか、僕意識失ってたんですか?」


「えぇ、丸一週間ずっとだったわ。体は問題ないのにそれだったから本当に心配したのよ」


「え~一週間も失ってたんだ!だからあんなに長い夢を見れたわけだ……」


「夢?」


「はい、なっがい夢です。きれいな川が流れていてその両脇に花が咲き乱れているのどかな場所で、走り回ったり水切りをしたり筋トレをしたりする夢でした。あまりにも長くて夢なのに途中で飽きちゃいましたけどね!あの世ってのが本当にあったらあんな場所なんだろうなぁ~」


「ははは!流石貴方の親友さんね、よくわかってらっしゃるわ」


「え?親友って、もしかして陽翔《はると》に会ったんですか?」


「えぇ、病室で。その時に「あいつは今頃あの世かなぁ~って楽しんで飽きたら戻ってきます」って言ってたの」


「本当ですか!流石陽翔はるとだな~。よくわかってるな!……でも、なんで俺は記憶喪失してるんですか?」


「覚えてないのね……実は貴方が記憶を失くした日。T市で地震や暴風、雷などの大災害が同時に起こったの。それから会社の倒壊に巻き込まれて病院に運ばれたら意識不明だったのよ」


「え、そんな事が!?他の人は?」


「会社の人も全員無事よ。会社も壊れるほどの災害だったけど今回の災害で死亡者は誰もいないわ。あなた以外命に別状のない軽傷や入院が必要なくらいの怪我の人しかいないわ」


「そっかぁ~よかったぁ!」


「その入院の中で唯一、意識不明だったのが貴方よ」


「おぉ~、つまりそんな状況から回復できたってことはラッキーってことですよね!」


「貴方ねぇ……まぁいいわ、いつもの福永君に戻ってよかったわ」


「あ、そういえば会社が壊れたって聞いたんですけど、僕達ってどうなるんですか?」


「今のところは休業って形よ。なんせ建物自体が壊れてるからね。補助金は国から出るけど市の復興の目処は立っていないわ……」


「そうなんですか……でも今生きているなら大丈夫ですね!」


「え?」


「だって、もし死んでいたら今未来に向けて何も出来ないじゃないですか?でも、僕たちは今生きている。つまりこれから未来に向けていくらでも出来るってことです!だから大丈夫!」


「福永君……。そうね!生きている喜びを抱いて頑張りましょう!」


「はい!ところで僕ってさっき何されてたんですか?それに皆さん同じ宇宙人なのに見た目が全然違うのはどうしてですか?さっきの人は昔見た宇宙人に捕まって人体実験とかをされた人の再現動画の宇宙人にすごく似てたんですが」


「あ~あれね。貴方を目覚めさせるためにどうすればいいのか調べていたの。で、その調べる部屋では専用のマスクや衣服を着用しないといけないのよ。それが貴方の見た宇宙人たちの姿よ。彼らもそれを脱いだら同じ姿よ」


「そういう事なんですね。……ってことは、あの動画の宇宙人って!?」


「恐らく昔地球に来た他の宇宙人の仕業ね。結構地球には昔から色んな宇宙人が来訪しているの。中には人体実験が目的で攫ったりする宇宙人もいてね……」


「ひょぇ~。もしかしてまどか先輩たちも!?」


「あ、私は違うわよ!?彼らもそんな事しないわ!(※八話、九話でしてます)」


――いや、俺たち攫ったり人体改造してるよな?

――以前、人体改造してるねぇ~。

――実験はしてないからセーフか……。


「そっか、なら安心ですね!」


「そうよ、彼らは悪い宇宙人ではないわ(迷惑な宇宙人ではあるけども……)」


「せっかく、宇宙人のUFOに乗れたので探検してもいいですか!?」


「え、えぇいいと思うわよ?アルパ、構わないわね?」


「あ、はい、大丈夫ですが、下手に触ったりしないように見ててくださいね?」


「わかってるわよ。ほら福永君、いってらっしゃ~い」


「やったぁ~」


船内を走り出す幸太。


「いやぁ、本当に元気になってよかったわ~」


「あの先輩も一緒についていってくださいよ?」


「まどか先輩~これって何ですかってぐわぁ!」


「ポチッ」鳴り出すサイレン。


「いてて、コケちゃいました……ん?なんかサイレン鳴ってますが大丈夫ですか?」


「……やばいわね……、このままでは船内消化装置が作動して1分後には消火剤で泡だらけ、5分後には宇宙消防隊が駆けつけてしまうわ」


「それって、結構大変ですね……」


「いやいや、あんたら何落ち着いて話してんだ!?イゴエ、サイレンは誤報だ!船内消化装置をストップさせろ!ジダイは宇宙消防隊に誤報だと連絡しろ!」


「流石リーダーね、指示が的確だわ」


「僕もあんなカッコいいリーダーになりたいですね」


「お前の所為だぞ!?先輩も止めてくださいよ!……ったく、だから地球人は自由にしたらダメなんだよ……」


アルパはそう呟きながら操舵室に向かった。


その後幸太は地球に帰された。


「お前、この船出禁な!」


「そ、そんなぁ~」


「大丈夫よ、私に連絡したらまた乗れるわ。いいわよねアルパ?ね?」


「あ、はい……でも、次はちゃんと……」


「ですって、良かったわね」


「はい!流石まどか先輩だなぁ……ラッキー!」


「あんたら……」



一方その頃、船内実験室にて。


「やっぱり彼って変だったねぇ~」


「あぁ、何もないところでこけて、たまたま火災報知器を押すわけがない……」


「まぁ、元気になったんだし今日は大目に見てあげよ~あ、さっきの検査結果が出てる……ん?これって……」


「どうした……」


「いやこれ見てよイゴエ」


「……!これは……」


これにて第11話、おしまい。

福永幸太の不幸な日常

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

0

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚