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『金魚って人の体温で火傷するんだよ?』
誰かがそんなことを言っていた。
水の中で暮らす金魚にとってはたかが35~36程度の熱ですら暑くて苦しいんでしょうね。
hrkg ・ 2j3j ・不穏要素
ある日知人に金魚をもらった。相手側が飼育に飽きたと無理矢理押し付けたものの、わたくしははその金魚が可愛くて結構気に入っていた。
毎日餌をやり、可愛がった。
でも金魚は所詮金魚。寿命は来るものだ
ある日の朝、金魚は腹を上に向け死んでいた。目立った病状はない、寿命だったのだろう。
(呆気ないな…。)
少し水槽を見つめたあと、庭先に埋めた。命あるものは死んでしまう、それでも可愛がっていたものが死ぬのは悲しい。
それから会社に出勤し、いつも通り仕事をして家に帰ってきた。
可愛がっていたと言ったのに涙を流すことも、悔やむこともない。わたくしは薄情な人間だ
その日の夜は不思議な夢を見た。
身体ふわふわと浮遊感を感じて、目を開けた。そこは水の中で、でも苦しくなく息もできた。身体が軽い、息ができる。まるで魚のようだ、と思っていたら1匹の金魚が泳いできた。
赤い身体に、黒の筋が三本。それは飼っていた金魚にそっくりだった。
「あぁ、貴方ですか?最後のお別れをいいに?律儀ですね」
そう微笑むと、金魚は何も言わず、ただわたくしに口付けをするようにしてきた。
驚いて、声を発しようとした時目が覚めた。
自宅のベットだ。濡れてもいない。夢だから当たり前のはずなのに少し、連れて行って欲しいとすら思ってしまった。
それから数日して、順調に日常生活に戻って行っていた。
それでも金魚を忘れていた日はなく、また夢を見れるんじゃないかと少し期待していた。でもそんな期待も虚しく会えることはなくただ時間だけが過ぎ去っていった。
「社長!」
「おはようございます。剣持さん」
調子がいいのかニッコニコの笑顔で駆け寄ってくる剣持さんに挨拶をする。「おはようございます」と丁寧に挨拶を返され、少し笑ってしまう。
すると、剣持さんは不思議そうな顔をしてわたくしの顔を見ていた。
「社長、最近腕とか脚掻いてますけど何か痛かったりします?」
「え、いや、特には?」
無意識だった。そんなに掻いてしまっていただろうか。そう思い腕に視線を落とすとキラリと何かが光った気がした。
ひゅっ、と嫌な予感がして息が詰まる脳感覚がする。
「す、すみません、剣持さん。少しスタッフさんと話をしてきます。」
「え、あ、はい」
足早に剣持さんから離れ、人気の少ないところへ行きシャツの袖をまくる。そこには鱗のようなものが生えていた。
光を反射し、キラキラと輝いていた。
今度は息が詰まった。最近やたらと喉が渇くのも熱いと感じたのもこのせいだろうか。
自覚したあの日から、段々と鱗が身体中に増え、息苦しくなる。体が熱く、焼けるように痛い。(みず、みず…がほしい)と心の中で誰かに呼びかけていた。
誰も来るはずがなく、その場で気を失った。
目が覚めると、そこは水の中だった。
水の中なのに息ができる。苦しくない、まるで魚にでもなった気分だ。
呼び掛けに目を覚ますと甲斐田さんがいた。
「か、いだ…さん、?」
「しゃちょ!!大丈夫ですか?熱中症ですかね、今水持ってきますから」
慌てた様子でどこかに行く甲斐田さん。さすがというべきか、何度も足やら頭をぶつけていた。
そんなに慌てなくても、と心の中で笑ってしまう。でも今はなぜか心地がいい。
「社長、これ…」
「ん、ありがとうございます。甲斐田さん」
甲斐田さんから水を受けとり、一気に飲み干す。1本分のんだというのに乾きが収まらない。
じくじくと喉が焼けていて、水を求めている。苦しくはない、痛くもない。なんでだ?
「甲斐田の術でとりあえず、涼しくはしてますけど大丈夫です?寒すぎるとか」
「あぁ、大丈夫です。丁度いいくらいなんで」
「え、?」
甲斐田さんが眉をひそめた。何か間違えたことを言ってしまっただろうか。
「甲斐田さん?」
「え、あぁ、なんでもないですよ!少しでも元気が戻ったらならよかったです!」
手をブンブンと振っていつもの笑顔でそんなことを言われる。その言葉にほっとした。
結局一人では帰らせられない、と半ば無理矢理家まで送られた。正直言って、また倒れるかもしれないと思うと有難かった。
家まで送られた後、甲斐田さんは「配信があるんで!」と足早に帰ってしまった。
配信があったはずだろうに時間を取ってしまい少し申し訳ない気持ちになった。また今度ご飯でも奢ろう。
それから数日。脚が動かなくなった。
感覚はあるのに動けなくて、脚が脚ではないような、そんな感覚がした。
そのせいか、息もいつもより苦しくて喉の乾きも異常に感じる。
誰かに連絡を、とスマホを取るも誰にすればと迷い中々文字を打てない。
甲斐田さん。この間助けてくれた甲斐田さんなら、と甲斐田の連絡先を開き連絡する。
甲斐田は転移してきたので加賀美が不安を感じる間もなくやってきた。
甲斐田は到着するなり、加賀美に謝った。
「すみません、社長」
そう言って、甲斐田は本を開き何か唱え始めた。それが術であることは加賀美にも何となくわかった。
甲斐田さんが手をぐっと握るとその手には赤い金魚が握られていた。それはわたくしが飼っていた時よりも2回りほど大きくなっていた。
「社長のそれはコレが原因ですよ。呪いやなにかの類でしょうね。」
そう言って冷たい目で手の中のモノを見ている。普段、魔と対峙する甲斐田からすればこんな金魚1匹きっとどうってことはない。
「コレ、貰っていいですか?」
祓われるのだろう、と思っていた加賀美には甲斐田の一言が意外だった。
「だ、大丈夫です。けど…」
言葉を吃らせる加賀美に「悪いようにはしませんから」と甲斐田は優しく微笑んだ。
加賀美も「それなら」と金魚を渡した。
それから数日後、全くと言っていいほど息苦しさも熱さもなくなった。鱗ももう身体のどこを探しても見当たらない。
甲斐田さんが治してくれたんだろなぁー、と加賀美は呑気に考えていた。
これを含めてなにかお礼をしなくてはですね。そう思いながら加賀美は気分よく収録に向かった。
社長から『コレ』を預かったその日。
僕はすぐ桜魔に帰って、少し乱雑に水槽に放り投げた。
「ちょうど、魚の検体が欲しかったんですよね」
社長が心配だったのはもちろんだが、鱗を見た時からもしかしたら、と期待していたのだ。でも想像以上だった。
これでやっと色んな実験ができる。
どの温度まで耐え切れるのか?どのくらい陸で生きれるのか?瘴気は?中身は?強さは?生態は?好奇心が止まらない。きっとコイツは相当役に立つ。
死んだとしてもまぁ、代わりはいる。
僕は僕のやりたいようにやるだけだ。
金魚の様子を見るにきっと、社長に恋をしていた。だからこそ、呪いをかけたのだろう。
きっとコイツは 同じ魚になればあの人を連れされる、とでも考えたのだろう。そんなことさせるわけが無い。
「まぁー、魚ごときにあの人を奪われたら困りますからね。」
あの金魚がどうなったか知るものはもう一人しかいない。何をされ、どうなったのか知ってしまったら後悔するのだろう。
桜魔皇国研究者の甲斐田晴は多大なる功績を残し、その名を歴史に刻んできた。だが、その後ろにどれだけの犠牲があったのだろうか、?
書きたかったネタです。
書けて満足、完全自己満になってきた…😅😅
コメント
8件
えめだかしんだのいっしょなんだけど新しいの買ったけどね〜 𖤐˒˒
めだか買ってたの初耳! めだかって共食いすんの!? めだかも腹壊すのねw あと! クーリッシュに最近ハマってるんだーカルピス味! メダカは好きじゃないけど さて、この文章の中にど下ネタがあります何でしょう?
最近買ってたメダカ死んだ 数減ってたんだけど、共食いした? それか家のにゃんちゃん食べた?? お腹壊すからやめなよ