Let’s see if it’s true love.
朝
少し隣に手をずらす
まだ少し温もりが残っている。
重い体を起こす。窓は少し空いておりカーテンがゆらゆらと静かになびいている。
まだ完全には起きていない体を動かし、窓の方に近づいて外を見る。まだ早い時間帯のため、街は静かだ。空気は澄んでいて、薄い雲が浮かんでいる。
さむ、……
急な寒暖差で寝起きから鼻水が止まらない。少し空気が乾燥していて、喉が水を欲しがっている。
冷たい空気。乾燥した家をぺたぺたと歩いて1階へと降りる。
2階とは別で1階はすごく暖かい。
幸せだな、。
リビングの扉を開けるなり一番に聞こえてきた
「ぉ、自分で起きてきよった」
「おはよ弦くん」
こちらを見て ふよ、と笑う恋人。
部屋には芳醇なアロマの匂い。
珈琲の匂いだ。
キッチンで珈琲を淹れている。
温もりが残っていた。きっと数分前に起きて来たのだろう。その証拠にあちらこちらへと色んな方向にはねている髪の毛。
いつもストンとオノマトペがつきそうなぐらいサラサラな髪の毛。今は違う。完全にoff。プライベート状態で自分にしか見せない保科を見ていると少し恥ずかしいような、自分だけの特権。という感情が溢れ今にでも抱きつきたい。
「鳴海さんも飲みます??」
「ゥン、。」
「ホワイト?」
「ん、…」
短い返事をしながら恋人の元へと吸い寄せられるように近づく。
そのまま後ろから保科のポケットに手を入れる。
髪の毛がちょうど顔にくる。
同じシャンプー。同じコンディショナー。
同じものを使って同じ匂いになって、同じ空気を吸って、同じ場所にいる。こんな生活が一生続けばいいな。
いつか普通の人間になったら毎日がこうなんだろう。
傷一つない綺麗な横顔。手元に真剣だ。
部屋には珈琲の匂いが漂っている。
「もうそろやな」
「鳴海さん自分の持ってきてや」
「ん、」
柔らかい、淡い紫とくすんだピンク。
つい惹かれて買ったお揃いのマグ。
自分の珈琲を持ち保科の後ろをついて行く。
ソファにぴったりとくっついて座る。
「急に寒なりましたね」
「この前まで暑かった」
「せやねえ、」
「冬もはやく僕らに会いたかったんやろ」
「ボクの保科だ」
「季節相手に張り合うなやもう、」
ドリップをどかし、白い湯気が出ているマグに口をつける。静かに飲む。寒く冷えていた体に中から温まる感じがする。
「今日何時に終わる?」
「んーと、」
「6時半には終わります」
「じゃあそっち迎えに行く」
「え、迎えに来てくれるん??」
「別に構わん」
「ほなお言葉に甘えて♡」
これから支度をしてどこかに行くそうだ。6時位まではこの家にボクひとり。
6時半。
暇だしその後はそのまま外食にしよう。
1時間程ゆっくりと2人の時間を過ごす。
そして支度をし始める保科。
ラフな格好ではない。かと言ってきっちりとした格好でもない。少し整った感じだ。
白い服にテーラードジャケット。そしてテーパードパンツ。上品で落ち着いた、綺麗な印象を持たせるファッションだ。
持ち物をチェックし終わると腕に時計をつける。
時間を確認し玄関へと歩き始める。
ぺたぺたとボクもついて行く。
「ほな行ってきますね」
「終わったら連絡しろ」
「了です」
「ほな行ってくるな弦くん」
ぐいと引っ張られ頬に唇を落とされる
不意すぎる。
「ぇ、」
びっくりしすぎて頬に手をあてたまま保科を見つめることしかできなかった
「ふふ、ほなまたな弦くん」
そのままがちゃ、と音を残して出ていってしまった。急に静かになる部屋。少し顔が火照りながらも今は家に1人という現実を思い出す。
爆音でやってやる
4時間ほどゲームをした。保科が帰ってくるにはまだまだ時間がある。そういえば最近、ボクにどこへ行くか何も知らせず予定を立て出ていくことが多い。ふと気になって聞いてみた時もあった。
「どこいくんだ??」
「ちょっとなー」
「少し話しあって行くねん」
たったそれっきり。詳しい情報など教えてくれなかった。
まあ別に??別に知りたい訳じゃないからな??ただただあいつがボクに隠し事をしてるのが気に入らないってだけであって??別に??浮気とか気にしてないが??別に???????まあボク以外に良い奴なんかいないし??
誰もいない。保科が帰ってくるまでまだまだ時間がある。
チャンス…!!
ドタドタと階段を上がり保科の部屋の前に来た。
別に、、?、保科の部屋を荒らしてやろうと思っただけだし。。別にボク悪くないし??ボクに隠し事してるあいつが悪いし??!!!!!
少し罪悪感。他人のテリトリーに入るのを申し訳ないと思ったがドアノブに手をかける。
がちゃ、とあけ中に恐る恐る入っていく。綺麗に整えられた部屋。
壁には本棚。クローゼットのドアがあいている。部屋の壁には隊服が綺麗にかかっており、その下には手入れ道具等が置いてある。
そしてデスク。引き出しも全て綺麗に閉じられている。ペンもしっかり立てられており、清楚感がある部屋だった。
でもひとつ
デスクの上。A4の書類収納用の茶封筒とボールペンが置いてある。
でもきっとこれは防衛隊関連ではないだろう。あいつ、仕事はきっちり終わらせるタイプだ。書類を持ち帰るなんてそうそうない。第1や他部隊に流しても大丈夫な書類だったらいつもボクの前でなんか話しながら書いている。もし他部隊に流出禁止書類だったらそもそも持ってきたりしないはずだ。ましてや保科の事だ。無防備に置かないだろう。
じゃあ一体これは、、、??
ただのちょっとした興味本位だ。
好奇心にかられ封筒に手を伸ばした。
紙、、5、6枚程度。
興味本位の心理は主に4つ。
好奇心に基づく行動:
知らないことや珍しいものに対して、心の動きが大きくなり、強い関心を示す。
「面白い」が基準:
自分の立場や、それによって受ける影響を考慮せず、純粋に「面白い」という感情を基準に行動や判断をする。
他者への配慮が二の次:
自身の興味関心を優先するため、他人の状況や感情への配慮が後回しになることがある。
行動が促される:
興味を追求することで、未知の事柄に触れたり、新しい物事を経験したりといった行動につながる。
この時。メリットもデメリットもなにも考えてやいなかった。ただただ目の前の封筒と今までの保科の行動。全てが結ばれた気がしたから手を伸ばした。
あの時こんなものなんか見なければ良かった。
衝撃が走った。後悔。
ねくすと70
またじかい!
コメント
10件
ええええ!!なになになに(?)(←うるさい)
鳴海視点!!!!嬉しい!!!
I absolutely love this story!!!!!💖💖💖💖💖💖 本当に本当にこの作品も大好きです!😖🫶🏻🫶🏻🫶🏻 K氏様の物語って、ほんとにどれも最初の1文で一気に物語の世界に引き込まれる魅力があるっていうか… 語彙力がなさすぎてちょっと上手く伝えられないんですけど、めっちゃ文才も語彙力も情景描写もすごいなってすっごく尊敬します!!😖🫶🏻🫶🏻 もはや愛です!💖💖