テラーノベル
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あの日から約12年
Mrs. GREEN APPLEというバンドに入り、来年でデビュー5周年を迎える
藤澤はそれが楽しみで仕方がない
メンバー四人、スタジオで缶詰になりながらも、フロントマンの大森から渡されたデモを聞き自身の楽器を奏で練習する
その時、スタジオに入ってきた大森が、虫の居所が悪そうな顔を浮かべ、俯き気味に話す
「ごめん、手止めてもらってい?」
全員が”あ、これ真剣だ”という空気を汲み取り、スタジオが静まる
「…
活動、休止しようと思って」
藤澤の背筋がひりひりと震えた
それは藤澤だけでなく、若井、髙野、山中も同様で、皆が目を見開き大森を見ている
「…ごめん、そろそろ、身体休めなきゃどうにかなっちゃいそうで」
甘えちゃってごめん、と大森が付け足し、頭を下げる
「そんな、元貴のせいじゃない
そんなこと、言わないで…?」
そう言った藤澤の頬に、堪えていた涙が伝う
それを皮切りに、その場にいた皆が静かに嗚咽を漏らす
ああ、五周年なのに
きっと、メンバーみんながそう思っただろう
「ねぇ、涼ちゃん」
スタジオの廊下で、大森が藤澤を呼び止めた
「元貴、どうしたの?」
いつものように聞き返すと、大森が意味ありげに笑い、そっと距離を縮める
「ね、若井と同居してみない?」
大森の藪から棒な提案に、はいと直ぐに答えられるほど、藤澤の頭は理解が早くなかった
「まって、同居?
なんで僕と若井が??」
「正直、若井と涼ちゃんお互いに心開いてないと思うんだよね、だから、フェーズ2への準備期間として、みたいな」
「しかも、涼ちゃんβだし、若井αだし、そーゆー事は起こらないでしょ」
大森の感情は善意100%であり、ただお互いに仲を深められたらいい、それだけだった
ただ、藤澤からしたらその発言は自分の背筋を凍らせるものだった
周囲にはβと言っているが、藤澤はΩで若井はαだ
万一、薬を飲み忘れてヒートが起こってしまえば___
自分の体は無事なのだろうか、そんな不安が治まらない
こう自分の体を心配してる時点で、若井のことを信用してないのだろう、自分でも理解できた
「…涼ちゃん?」
「あ、うん、どうかした?」
「同居、どうする?」
「…
するっ」
頼まれたら断れないお人好しの部分が出たようだ
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