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部屋の扉を開ける。
するとそこには見知った女性が四人。
それもみんな群を抜いて容姿が優れている。
そんな美少女三人+美女一人が俺の狭い部屋にいた。
……どういう状況だよ、これ。
「あ、おかえりぃりょうちゃん」
「おかえりじゃないよ。なんで一ノ瀬たちが俺の部屋にいるんだ?」
ってか当たり前のように露出の多い、ガードゆるゆるの格好で俺のベッドで寝てるし。
しかも俺のブランケットの匂いずっと嗅いでるし。
そして、俺が来たのに全くやめる様子がない。
「なんか店の前いたから、暑いし入りたいのかなって思ってぇ」
「店の前?」
今度は視線を花野井に向ける。
花野井は服の入ったタンスの中を物色していたようで、俺の視線を受けてビクッと体を震わせる。
……なんで俺の服を漁ってるんだ?
「こ、これは違うの! えっと、その……べ、別に下心とかがあったわけじゃないんだよ⁉ ただすこぉし気になっただけというか、魔が刺しただけというか!!!」
めちゃくちゃ慌ててる時点でやましいことがあったってことだろ。
っていうか。
「なんで店の前にいたんだ?」
「あ、そっち⁉ そ、それはぁ……良介くんに会えたらなって、思って……」
「そ、そうか」
ストレートにそういうことを言われると、返す言葉に迷う。
「まぁ確かに暑いし、部屋に入れたのは……」
「良介、乳牛が良介のパンツを見つけようとしてたわよ」
「……え?」
「…………へ?」
ぱ、パンツ?
「ちょっと一ノ瀬さん⁉ 何言ってるの⁉ そ、そんなわけないでしょ⁉⁉⁉」
「むっつり乳牛のことだから間違いないわ。ちなみに私は止めたのよ? だって私が“初めて”をもらいたかったし」
「違うっ!! というか一ノ瀬さんだって私を差し置いて見つけようと必死に……って、え⁉ そんな赤裸々に言う⁉」
「何を今更隠す必要があるの? 見たいでしょ? 良介のパンツがトランクスなのかボクサーなのか」
「っ!!! それは……知りたい、けど」
「ボクサーだよぉ~」
「瞳さん⁉」
「ぼ、ボクサー……ふふふっ♡」
「そ、そぉなんだぁ……へぇえ」
花野井が照れながらちらちらと俺のことを見てくる。
一ノ瀬は何がよかったのか、恍惚とした表情を浮かべてニヤニヤしていた。
そして瞳さんは相変わらず俺のブランケットに顔をうずめてすぅーはぁーしている。
……ほんと、なんなんだこの人たちは。
「いっぱい本があるね~」
俺の本棚を物色する葉月。
葉月、お前だけだ。この中でまともな女の子なのは。
「あれ? でもおかしいな~。男の子の部屋なら“えっちな本”あると思ったんだけど~」
「葉月⁉」
「そこから九条くんの好みを知って~、それで攻める作戦だったんだけどな~」
「攻める!!!」
「作戦!!!!」
花野井と一ノ瀬が葉月の言葉に反応する。
おもむろに二人は立ち上がると、ベッドの下やクローゼットの中を漁り始めた。
「どこにあるの⁉ ベッドの下⁉ やっぱりベッドの下だよね⁉⁉⁉」
「いや、良介の場合そんな安直な場所には隠さないはずよ! どこなの……! 早く見つけないと死活問題に……!!!」
「私も探したんだけど、全然見つかんなかったんだよねぇ。私の予想だと――りょうちゃんは電子派」
「「「電子派ッ⁉⁉⁉」」」
瞳さんの言葉に、三人が俺に迫ってくる。
「良介、スマホを出しなさい!」
「お願い! ちょっと見るだけだからさ!!!」
「大丈夫だよ~。イイことにしか使わないからさ~」
俺は一体、今何を要求されてるんだろうか。
全くわからない。
「りょうちゃんはお姉さん系が好きなんだもんねぇ? そう、私みたいな~!」
「「「そうなのッ⁉⁉⁉」」」
さらに三人の勢いが増す。
「元気な委員長だよね⁉ 明るい系だよね⁉」
「ゆるゆるした感じじゃないかな~? ねぇ、そうだよね~?」
「ちょっとツンな感じの子よね? ガードが固そうな!!!」
「落ち着いて……」
「「「落ち着けるかッ!!!」」」
三人の勢いはとどまることを知らない。
漁られる部屋。
とめどなくされる、よくわからない質問。
ただでさえ暑いってのに、こんだけ人がいたら……。
「お願いだから出ていってくれ……」
これが俺の精一杯の抵抗だった。
♦ ♦ ♦
※須藤北斗視点
「んっ、はぁ、はぁ……」
「すっごく気持ちよかったよぉ、北斗ぉ……」
女が裸でベッドに横たわる。
体は汗でびっしょりで、体の内側に熱がこもっていた。
これだけヤっても、心は落ち着かない。
どれだけいい女を抱いても、心があるべき場所に収まらない。
「クッソォ……」
ここ最近、ずっと頭がおかしなままだ。
永遠に満たされない感覚。
俺はどうなっちまったんだァ……。
「もっと、もっと俺を満たすものが欲しいィ……俺をォ! 満たすもんがァ!!!」
ふと、脳裏をよぎる一人の女。
……そうだ。
俺にはまだいるじゃねェか。
俺を満たしてくれそうな、“最上級の女”が。
「宮子ォ……グヘへへへ。お前しかいねェんだよォ……」
お前なら俺を満たしてくれるよなァ? 宮子ォ?