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「悪の味方」
episode1 「よくわからない。」
注意
🦍社二次創作
目を開けた時、 ぼんやりとした視界は、見覚えのない景色を捉えていた。
俺は、何をしていたんだっけ。
「おっはよ〜ございま〜す〜」
誰だか知らない白髪の少年が、俺のベットに飛び込んでくる。
「誰…?」
「おにーさん大丈夫?僕がリビングに連れて行ってあげるよ。」
「いいですよそれくらい、自分で行けるし。」
「おにーさん…」
悲しそうな少年。
何故?少し怖くなった。
ベッドから降りて立とうとした時。
足に力が入らなかった。そもそも上手く起き上がれなくて、少年が俺を軽々と持ち上げて階段を降りていくのをぼーっと見ているしかなかった。
「俺の足、 動かないんですか?」
「完全に麻痺しちゃってるからね…こればかりはどうしようもないかな」
居間のような広い部屋には、重苦しい空気が漂っていた。
「そんじゃ、自己紹介といきましょ」
淡々と話す、豚のような見た目をした人。
「どうも、ドズルです。一応医者やってます。」
「ぼんじゅうるでーす、フリーターです〜」
「僕はおらふくんっ‼︎改造された人造人間ですっ‼︎」
「おおはらmenです〜。まあ、この変な組織のエンタメ提供系半人間でーす。」
とてもじゃないけれど怪しい人の集まりだ。
まずそもそも人造人間ってなんだよ。
「僕達はまぁ、色々な人を回収して研究して治す仕事をしているかな。」
ドズルさんはそう教えてくれた。
でも…回収?研究?何を治すの?
怪しい言葉の羅列に俺は思わず恐怖心を抱いてしまう。
「で?そっちの名前は?」
ぼんじゅうるさんはそう訊いてくる。
「名前…ないです。」
「え、ないの?」
素っ頓狂な声を上げたおおはらさん。
だって本当にないのだから。
「うーん…なんか個性的やなぁ…」
「おにーさん面白いし、オンリーワンって感じっ‼︎」
オンリーワン、か。
「あ、じゃあ”おんりー”ってどう?」
「…おんりー…」
口に出すと、案外馴染む名前だった。
「…悪くないかも」
そう答えると、ぼんじゅうるさんが肩をポンポンと優しく叩いてきた。
「宜しくな、おんりーちゃんっ‼︎」
「よろしくお願いします…」
足は動かず、誰かの力を借りないと生きていけなくなってしまった俺は、何故かこの奇妙な組織の一員として生活する事を定められてしまった。
「あのっ…ぼんじゅうるさん…」
大画面のテレビを観てリラックスしているぼんじゅうるさんを呼んだ。
「んー?なーに?」
俺をじっと見つめる彼に、少し怖くなって緊張してしまう。
「お水頂けますか…?」
「あ、はいはい〜、待っててね」
そう言って立ち上がり、冷蔵庫から持ってきた冷たい水を、コップに注いで渡してくれた。
俺とぼんじゅうるさん以外の全員が何処かに行ってしまい、少し気まずい空気が流れていた。
「ぼんじゅうるさん、じゃなくてぼんさんでいいよ。」
「えっと…ぼんさん。ありがとうございます…」
そう言うと、ぼんさんはにっこりと笑った。
「おんりーちゃんは…俺達の事、どう思った?」
「どうって…?」
「ほら、俺達、ちょっと変わってるでしょ?印象だよ。」
「…面白い人達だな、って思いました。」
やっぱり怖くって、当たり障りのない言葉を言ってしまう。
「いや、嘘つかなくていいのよ。」
頭を優しく撫でられて、少し恥ずかしくなってしまった。
「…ちょっと怖いです。」
「そう。大丈夫、みんなちょっと素っ気なかったりするけど、根は優しいよ。」
「俺も、ドズルさんに拾われたんだよね。」
拾われた?何言ってんのこの人。
一瞬で印象が変わってしまった。
拾われるってなんだよ、犬かよ。
怪訝そうな目で見ているのが伝わったのか、ぼんさんはまた笑った。
「あはは、俺元々独りで身寄りもまともな仕事もなくてさぁ、生計立てる為に俺の勘を売ってたの。」
「勘?」
「死にそうな人を見つけられる、みたいな。」
ほう、成程。
さっぱり理解できないが、取り敢えず表面上だけは理解したふりをする事にした。
「その能力をドズルさんに買われて、今ここで仕事しながら普通にバイトやってる。」
「俺達の仕事は、死にそうな人とか病んでいる人を探し出して、課題を調べて解決の糸口を探して、生きて返す事。」
「今回のターゲットがおんりーちゃんだったの。」
「…俺が死にそうだったんですか?」
「まあまあ、詳しい事はきっといつかわかるよ。」
そうやってはぐらかされたのが、俺の中の心残りではあった。
けれど、まあ暫くはわからなくても、いずれわかるのなら、俺は別に構わない。
No.1
Qnly
本名、年齢不詳。
記憶喪失の状態で、これまでの事はあまり思い出せない。
足が麻痺して動かなくなってしまい、組織の一員となった。
新ジャンル開拓‼︎