ルカーン 「アデル様!大丈夫ですか!?」
私 「…悪いが、ルカーン、私から離れてくれ」
ルカーン 「えっ…?何故…ですか…?」
私 「私はお前との約束を守れなかった…だから一緒には居れない」
ルカーン 「約束…?どうして…私は…」
私 「済まないが、幸せになってくれ…」
ルカーン 「アデル様!」
私 「これから…どうすれば良いんだろうか…」
私の名はアデル、私は博麗霊夢達を巻き込んでしまった。
善の心を実験で失い、記憶も全て消えた。
でも突然と思い出した。
ルカーンと一緒に過ごした日々も、実験で利用された恐怖の時間も、 全部だ。
紅美鈴の力の影響で戻ったのだろう。
私がもしあの時から力が強かったら、ルカーンと普通に過ごせていたのかな。
力が強ければ、霊夢達を傷つけずに、出会うこともなかったのかな。
自分が許せなかった。
無力な自分が大嫌いだった。
私 「…う…何だ…視界が…ぼや…けて…」
私 「…此処は…?」
研究者 「おはようアデル」
私 「お前…あの時の…!」
そう、コイツは私の心を塗り替えた奴だった。
怒りと憎しみで頭がいっぱいになった。
研究者 「そう怖い顔をするな、お前を強くしようと協力してやるんだ」
私 「…何を言って…」
研究者 「暗闇の雲、あれをお前に取り込ませてやる」
私 「悪いが悪の道は捨てた…もう力に興味はない」
研究者 「知ってる、だから与えてやるんだ。面白そうだろ?」
あの時のトラウマが頭をよぎる。
力をいれようとしてもはいらない。
薬の影響か…
研究者 「それでは始めるとしよう」
私 「辞めろ!来るな!」
もう嫌だ。誰も傷付けたくない。
誰かを巻き込みたくない。
私のせいで…誰かが…
いや…そんなの…
誰かが巻き込まれようと私には関係ない。
支配出来れば何でも良い。
ふふふ…力があがれば、あの巫女の守護者にも勝てる。
これで良いんだ。
研究者 「完璧だな、素晴らしいよ。私の為に協力してくれるか?」
赤い光が私の心を縛り付ける。
私 「はい…必ず…」
私に意思も必要ない、このお方の為なら。
ルカーンさん視点
アデル様が何処かに行ってしまった。
私…嫌われちゃったのかな…
霊夢 「何してるの!?」
私 「えっ?」
霊夢 「こんな雨の中であんた風邪ひくわよ!神社に来る?」
私 「…良いの…?」
霊夢 「良いわよ。おいで」
霊夢 「ただいま〜!」
ソフィア 「おかえりなさい!あれ?ルカーンさん!?」
霊夢 「雨の中に居たから連れて来たの、レミフラや美鈴には内緒よ」
ソフィア 「はい!内緒内緒!」
ミネルバ 「こんにちは、ルカーンさん!」
私 「…こんにちは…」
霊夢 「お風呂用意するから待ってて」
誰も否定せずに優しくしてくれる、どうして?
ソフィア 「初めまして!私ソフィアって言います!」
私 「あ、あの…どうして優しくしてくれるんですか?」
ソフィア 「ふふふ、だって困ってるんですよね!もしかしてアデルさんに何か
ありましたか?」
私 「…はい…実は…」
私は全てを話した。
アデル様が居なくなった事、寂しかった事、辛かった事、全部を話した。
ソフィア 「そうでしたか…でしたら私達も探しますよ!ね!霊夢さん!」
霊夢 「良いわよ。任せなさい!ミネ!美鈴には言っちゃダメよ!」
ミネルバ 「わ、分かった!」
私 「ありがとう…ございます…!」
ソフィア 「アデルさーん!何処ですかー!」
ミネルバ 「アデルさーん!」
霊夢 「アデルー!」
美鈴 「何をしているんですか?」
霊夢 「げっ!?」
美鈴 「ルカーン!?何故此処に!」
霊夢 「ルカーン!早く逃げて!」
美鈴 「逃すわけないでしょ!?」
ミネルバ 「美鈴さん!やめてあげてください!」
美鈴 「ミネさん…」
ミネルバが私の前に立つ。
ミネルバ 「ルカーンさんはアデルさんを探しているだけなんです。きっと寂しかったと
思うんです」
美鈴 「…分かりました…話は聞きましょう…」
美鈴 「…本当に…傷付けないんですよね?」
私 「約束します」
美鈴 「分かりました…それなら協力します…」
霊夢 「ありがとう!」
私達は必死に探した。
アデル様が何かに巻き込まれるのが怖い。
お願い…無事で居て…
霊夢 「アデル!居た!アデル!大丈夫!?」
アデル様 「…殺す…確実に…」
美鈴 「…!」
霊夢 「えっ?」
美鈴 「霊夢さん!大丈夫ですか!?」
霊夢 「ご、ごめん!ありがとう!」
研究者 「見事だ紅美鈴」
美鈴 「誰だ!」
私 「お前…お前!まさかアデル様を!」
研究者 「ご名答だルカーンよ。私がコイツの心を利用したんだ」
私 「…」
何も言えなかった。まただ、また私のせいでアデル様が傷付いたんだ…
私 「えっ?」
美鈴 「どんなになろうと!人を利用することは許されない!例えアデルさんが
悪だとしてもだ!それでもアデルさんには心がある!人の心に土足で
踏み入れるんじゃない!」
美鈴は怒ってくれた。
本来なら、自分が傷付いたのに、優しいなぁ。
研究者 「知るか。まぁ後は任せたぞ」
アデル様 「はい…」
私 「アデル様!絶対に助けますからね!」
数時間後
美鈴 「ぐっ…」
もう力も残ってない…
どうしよう…勝てないよ…
ごめんね…アデル様…
アデル様 「違う…違う…傷つけちゃ駄目だ…!駄目…抑えろ…!」
アデル様はボロボロ涙を零す。
泣きながら必死に抗ってる。
美鈴 「アデルさん!私も霊夢さんもソフィアさんもミネさんも!絶対にあなたの
味方です!だから!戻って来てください!」
アデル様 「でも…私…は…」
霊夢 「あんたが本気で償いたいと思ってくれるなら!いくらでも受け入れるわ!」
ソフィアさん 「そうですよ!あなたは優しいです!絶対に大丈夫です!」
ミネルバ 「アデルさん!一緒に居ましょう!」
私 「アデル様!戻って来てください!」
アデル様の瞳が揺れる。
優しいあなたの眼。
アデル様 「ルカーン…私…一緒に…居ても…良いのか…?」
私 「はい!ずっとずっと一緒です!」
アデル様 「ありがとう…ごめんな!ずっと苦しませて!」
私 「ううん!おかえりなさい!アデル様!」
今度はもう離れたりしないよ。
ずっとずっと一緒に居ようね。
コメント
2件
霊夢さんたちがすぐに"助ける"っていう考えにいくの本当優しいってことが分かります!☺️洗脳?が切れて良かったです!家族愛のお陰ですね!