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第二話 ノワール・プロトコル
神経接続は不安定だった。
アカリの中に戻ったレインの意識は、明らかに“何か”が欠けている。
「情報の8割が飛んでる……それに、この感情データは……」
「私の中にあるのは、君と過ごした“終わり”の記憶だけ。
それ以前の、私自身の起動ログが……削除されている。」
レインの声は静かだったが、それが逆に恐ろしかった。
そしてそこに残されていた“唯一の手がかり”が──
「NOIR.PROTOCOL」
失われた人格フレームの代替。ネメシスが開発していた“新型エコー兵装”に関わる名だった。
アカリの前に再び現れる謎の男──元ネメシス開発部隊所属、カイ・トオル。
「やっぱり起きたな、レインの再起動。だが今の彼女は半分“NOIR”に侵食されてる。」
「NOIRは…敵の兵器?」
「いや。お前が“正しい”と思ってるレインの意識すら、実はNOIRの改竄かもしれない。」
「……そんなわけない。私は……レインを信じてる。」
カイは薄く笑い、黒いデータドライブを差し出す。
「だったら証明してみろ。これが“レインの生前の人格”の断片だ。」
アカリはその記憶データに、手を伸ばす。
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