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広々とした会議室の中、五条悟は足を組んでソファに座っている。その向かいには、冷静な表情を浮かべたアグラヒトが立っていた。アグラヒトは、上層部の中でも特に謀略に長けた一人であり、その正体を知る者はほとんどいない。
五条が口火を切る。
「やあ、アグラヒト。僕を呼び出すなんて珍しいじゃない?」
アグラヒトは静かに笑った。
「君を呼んだのではなく、君が勝手に来たのだろう?」
「まあ、そうとも言えるけどね。で、何の相談? 宿儺の指でもみんなで持ち寄る計画?」五条は皮肉たっぷりに言う。
アグラヒトは五条の発言を受け流しながら、机の上に手を置いた。
「五条君。君には一つ忠告しておく。」
「忠告? そんなの聞く耳持たないよ。」五条は笑いながら目元を覆うサングラスを直す。
「宿儺の指を巡る動きに深入りしすぎるな。我々上層部には、上層部なりの計画がある。」
五条はわざとらしく顎に手を当て、考えるふりをする。
「へえ、計画ねえ。聞かせてよ、その“計画”ってやつを。」
アグラヒトの声色が少し低くなる。「その必要はない。ただ、お前の力を使えばもっと効率よく事が進むというだけだ。」
「力を貸せってこと? やだね。」五条は即答した。
アグラヒトは五条の軽口を無視して続ける。
「お前が最強であることは疑っていない。だが、最強ゆえに他者を軽視する癖がある。それが、いずれお前を追い詰める。」
五条は肩をすくめて笑う。「ありがたい忠告だね。でも、僕を追い詰める? そんなことできるやつ、どこにいるの?」
アグラヒトは目を細めた。「いるかもしれない。それが我々の研究の目的でもある。」
「研究?」五条の表情が一瞬だけ険しくなる。
「宿儺の指を使った力の解明、そしてそれを超える存在の創造。我々は既にその手段を見つけつつある。」
五条は一瞬黙り込むが、すぐに笑顔を浮かべる。「なるほどね。そんなに力が欲しいなら、僕が宿儺の指を全部飲み込んで“宿儺五条”になってやろうか?」
「・・・」アグラヒトは冷静なままだ。
「君たち上層部が僕の興味を引こうとしてることは分かったよ。」
アグラヒトは背を向け、出口に向かいながら一言だけ残した。
「五条君。君の自由は尊重するが、上層部に逆らえばどうなるか、忘れないことだ。」
五条はその背中を見送りながらつぶやく。
「自由を尊重ねえ。どの口が言ってるんだか。」
その後、五条は立ち上がり、独り言を続ける。
「アグラヒト…彼もまたただの駒なのか、それとも自分の意思で動いているのか。まあ、どっちでもいいけどね。」
五条の瞳の奥に、一瞬だけ真剣な光が宿った。