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ぺ 「 ぅああ”あ”ああっ! 」
俺は現在、命の危機に追われている。
近辺に住み着いている気性の荒い、でっかい野良犬に、
今 ! 正に! 追いかけられている!
学校まで行けば追ってこないんだけど…
リュックの中には普段の勉強道具とお弁当に加え、2リットルのスポドリ2本、つまり4リットルのスポドリが入っている。
まっっっじで重い。
本当にやばい。
一目散に逃げていると、前に人影が見えた。
同じ高校の制服だけど、見たことない人だな…
じゃなくて!
このままじゃ巻き込んじゃう!
ぺ 「 ちょ、そこの人!逃げてぇえ! 」
この人逃げてって言ってるのに振り返って微動だにしないんだけど!?
引き返す訳にも行かないし…
ごめんなさい……っ!
「 ワンちゃ〜ん、空気読んで〜? 」
その人を視認すると犬は勢いを下げた。
そして、しゃがみこんだその人にそう言われると、オドオドしながら、やがてなにかに気づいたかのように驚き、
「 ギャィイン!ク、クゥゥゥウウン…… 」
と、聞いたことも無いような鳴き声をあげて逃げていった。
ぺ 「 すげぇ…!あのっ!ありがとうございました! 」
一体何したんだろ…!?
なんかそーいう方法とかあんのかな!?
ら「 いえ、大丈夫、です… 」
相手は謙遜しているが、命の恩人だ。
言い過ぎかもしれないけど、俺より小さいか、下手したら同じくらいの大きさの犬だ。
噛まれていたらひとたまりもなかっただろう。
とりあえず、名前を知りたい。
ぺ 「 お名前聞いてもいいですか…? 」
「 すみま、せんが…っ、今度、で… 」
相手は息切れをしたかのような、高熱を出した時かのような感じで途切れ途切れに苦しそうに答えた。
ぺ 「 あの、体調悪いですか…? 」
本当に辛そう。
学校までおぶれるかな…?
「 大丈夫、だから… 」
大丈夫と言い、おぼつかない足元で前へと進もうとする。
ぺ 「 ちょ、ふらついてるって! 」
倒れてしまう、と思って咄嗟に手を掴んだ。
はずだった。
「 え…、? 」
何がおきた…?
掴んだはずの手は俺の手の中で握りつぶされるように溶けていた。
人の手が、溶けた…?
考える間もなく相手は苦しそうに言った。
「 だめッ、溶け、ちゃゥッ…… 」
え、と思った時にはもう遅かった。
先程までいたはずの人はいなく、代わりに衣服やリュック、靴と、
青い、液体が残っていた。