テラーノベル
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Mrs. GREEN APPLE/ひろぱが亡くなるお話/大森さん視点/もとぱ/若井視点から読んでいただくとより楽しめると思います、多分。
俺はいざという時、大切な人を護れない。
俺はあれだけ、「無理すんな」と心配したのに。
アイツはいつも「大丈夫」と返した。
彼は自分のことを分かっていない。
ずっとずっと前から、彼には限界が来ていた。
でもあまりにも自然に訪れるものだから自分の異変に気付かないんだ
しばらく時が進み、身体に不調が出た頃には遅かった
テレビを見ていても漫画を読んでいてもミセスとして活動していても。
彼は笑うことがなくなってしまった
気力が起きずスマホを見ることが極限に減り、ファンからの心配のコメントも目を通すことがなくなった
だからこそ気付けないんだろう
若井「……….」
大森「なんか最近さ、笑うことなくなったよね若井って」
若井「え?そう?」
大森「うん。前ならもっと笑顔だったのに。俺はお前の笑ってるとこ好きなのになー」
大森「最近疲れてるんじゃないの?大丈夫?」
若井「大丈夫」
ほらまた、” 大丈夫 “。
気付いてよ。何も大丈夫じゃないんだよ
俺がここで抱きしめてやれたら、少しは助けになったのかな
でも、もう遅い。
あの日以降、彼が姿を現すことが無くなった
一緒に住んでいた家にも帰ってこないで、どこを探し回っても見つからない。
捜索届けを出しても、結果は出なかった
藤澤「若井って猫みたいだよねー。ツンとしてるけど、意外と人間好きだし」
まだ若井が元気だった頃、涼ちゃんはそう言った。
猫はふらっと何処かへ行ってしまう。
でもちゃんと自分の家は認識していて、必ず戻ってくる。
それならさ、きっと戻ってくるよね
今は独りになりたいだけなんでしょ?
2ヶ月弱。本当に長かった
着信110番。きっと、若井の帰宅を知らせる電話だろう
“若井滉斗さんが、遺体で発見されました。”
大森「…………………………笑、」
もういいよ、嘘は。
十分だって。
ふらっと出かけて飼い主の居ないところで死ぬ。
どこまで猫のフリをするの?
若井は人間なんだよ。
守らせてよ。そんなに頼りなかった?
考えるだけで吐きそうになり、涼ちゃんに肩を支えられながら、お経が響く部屋を出た
頭痛が止まず、吐き気も止まらず、かれこれ2日は何も食べてない。
家から1歩も出られず曲を作る気力も無くなった。
若井、これが望んでいた未来なの?
俺たちはお前がいないとダメだったよ。
どうせさ、天国とか地獄とか信じちゃってるんでしょ?
空の上にも地面の下にも、何も無いのに。
で、お前は地獄に行くと思ってんだろうな
せめて悪いようには言わせない。誰にも
落ち着いた頃にまた外に出て思い出の場所を巡るよ。
1つ1つ思い出しながら、その地に種を植える。
きっとその中のどこかに若井はいるから。
花が咲いた。若井が咲かせた
この花たちが誰かに “綺麗” と言ってもらえますように。
そして絶対に枯れることがありませんように
これからも一生、若井を想いながら俺は生きるよ。
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