★ Wakai Hiloto side
淡々と、でも苦しそうな顔で話す元貴
元貴は、自分が拒食症になっていることに気づきながらも
俺らに相談出来ず一人で溜め込んでしまっていた…と話した。
『ほんとに…ごめん…』
最後に、元貴はそう告げて頭を下げた。
暫く沈黙の間が続いた。
伝えたいことがまとまり、俺は口を開く。
「元貴」
「…話してくれてありがとう」
本当に、元貴がこれ以上無理をしていたらどうなっていたことか。
最悪の場合、亡くなっていた可能性も0%ではない。
何も出来ない自分が嫌になっていた
けど、俺たちが手助けをするのは今からだ。
「…ファンの人には迷惑を掛けちゃうかもしれない。」
「けど、活動休止でもして一緒に治していこう。」
ぇ、という小さな声が響いた。
元貴はだめ、とでも言うかのような瞳をしている。
ばかだなー…自分のことなんにも分かってない…と呆れてしまう
「そうじゃないと、無理するでしょ?元貴は」
「俺も涼ちゃんも…もちろんファンのみんなも、元貴が無理してる姿を見るのが一番嫌いだよ。」
うん。と涼ちゃんも頷いてくれる。
元貴も、少し経ってこくりと頷いた。
それからのこと。
元貴は病院に入院して、拒食症を治そうと奮闘していた。
俺と涼ちゃんはいわば暇人である。
そのため二人で元貴のもとへ駆け付けることもしょっちゅうあった。
活動休止はするが、ファンの人との関わりは減らさなかった。
FCも動かしているし、bubbleもたまに上げている。
…元貴は拒食症もあって頻度はちょっと減ったけど。
それと個々のInstagramも動かしている。
俺はきょうのおおもり、なんて書いてストーリーに上げることがルーティンになっていた。
ファンの人から好評なので、活動再開するまでずっと上げるか〜と考えている。
『若井っ!涼ちゃん!!きいて!!!!!!!』
俺たちが病室に入るなり、元貴が走ってこちらへやってくる。
なんだなんだと驚いていると、元貴から
“もうすぐで退院出来る”とのことが伝えられた。
「…え!!!!がち!??!?!?」
俺はひときわ大きな声を出す。
元貴からうるさい…とぎろっと睨まれる。
元貴は少しずつ食べる量を増やして行って、
ここ最近は俺らと同じくらい食べられるようになったのを
薄々感じていた。
『元貴頑張ってたもんね、良かった……』
本当に安心した〜と、ほっと息をつく涼ちゃん。
『二人が支えてくれたおかげだよ。ありがとう』
にまー、と笑う元貴。
元貴のその笑顔がぐわーーっと来てしまい、泣きそうになる。
しばらく見れていなかったその笑顔。
元貴の笑顔が好きなんだよ俺は!!!!とオタクのようなことを考える。
苦しそうに笑うばっかりで、笑わせてあげたいなあなんて思っていたのに
そんなに笑えるようになってたなんて……とお母さんじみたことを思う。
あれ俺お母さんに変身しすぎか??
「元貴が元気になってくれて良かったよ」
活動再開も見えてきたなぁ、なんて思いつつ病室を後にし
涼ちゃんと夕焼け空を一緒に歩いた
コメント
1件
よかったね 、 最高の友達が 支えになるのか 、 泣