テラーノベル
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「この話はフィクションです。」と、私は手記の冒頭に記した。
完璧だった日常が、ある朝を境に音を立てて崩れ去った。隣に住んでいたはずの老人が、影も形もなく消え去ったのだ。管理人に尋ねても「あそこはずっと空室ですよ」と不思議そうな顔をされるだけ。しかし、私の手元には昨日彼から受け取ったはずの古い鍵が、重たく冷たい感触を残している。
私は確信していた。彼は実在した。そう信じて部屋の奥に隠されていた日記を読み進めるうち、背筋が凍りついた。そこには、数十年前に亡くなったはずの私の家族の名前と、今日ここで死ぬはずの「私の最期」が克明に綴られていたのだ。ページをめくるたび、鏡に映る自分の顔が少しずつ別人のものに変わっていくような錯覚に陥る。
窓の外では、いつもの街並みが歪んでいる。空の色は不自然なほど赤く染まり、通行人たちは一様に無表情で私を凝視している。この世界は、誰かが私に見せている夢なのか、それとも私が知らないうちに書き換えてしまった歴史の残骸なのか。恐怖で震える指先が日記の最後のページに触れたとき、背後で誰かが静かに笑った。逃げ場はない。私はこの閉ざされた物語の中で、今まさに消えようとしている。
…私は最初に1つ、嘘を言いました( 笑 )
コメント
1件
え、ちょっと待って……ラストの「嘘を言いました」が気になりすぎるんですけど!? 鍵とか日記とか凝視してくる通行人とか、全部じわじわ怖かったのに、最後の一文で全部ひっくり返されそうな予感がして震えてます。世界が歪んでいく感覚、すごく丁寧に書かれてて、息苦しいくらい没入しちゃいました。続き、めちゃくちゃ気になります…!