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「……もう、無理だよ。……俺のせいで、splashがバラバラになっちゃう」
マンションの自室。凪は、カーテンを閉め切った暗い部屋で、パーカーのフードを深く被って震えていた。
ライブでの公開告白未遂がネットで叩かれ、事務所からは活動自粛を言い渡された。
ピンポーン!ピンポーン!!
狂ったようにインターホンが鳴る。
「……ちょっと、隣のキモいあんた! 開けなさいよ!!」
聞き慣れた、つり目のクール美女――冴(さえ)の声だ。
「……帰れよ、冴。……俺、もうアイドルの資格なんてないんだ」
「……はぁ!? あんたがセンター降りて、誰が私のダンスを見るのよ!?」
ドガッ!と音がして、ベランダのパーティションを乗り越えて、冴が部屋に飛び込んできた。
今日の彼女は、凪が「俺の前限定!」って言った、あのベビーピンクの露出高めな勝負服。
「……見て。あんたが選んだ服、着てきたわよ。……ねえ、凪。世界中に叩かれたって、私が一番の『凪担』になってあげるから。……だから、逃げんな!!」
冴の、真っ直ぐな瞳。
俺(凪)は、気づいたら彼女を力いっぱい抱きしめていた。
「……っ、冴……。……ずるいよ、そんなの。……俺、もう一生、君を離さないから」
数日後。
YouTubeでの生配信。
「……お騒がせしました! splash、今日から再始動します!」
画面の中、あざとい笑顔を取り戻した凪の隣には、少し照れくさそうに笑う、世界一綺麗な『専属バックダンサー兼、最推し』の冴がいた。
大型音楽番組の生放送。
splashの新曲パフォーマンスが終わった直後、司会者が震える声でマイクを向けた。
「な、凪くん……例のライブでの発言、ネットでは今も大騒ぎですが……」
カメラを見つめる凪(なぎ)の顔は、いつものあざとい営業スマイルじゃない。
隣の楽屋裏で見守っているはずの、冴(さえ)だけを見つめる「男」の顔だ。
「あー、あれね。……隠すの、もう疲れちゃったんだよね」
凪は不敵に笑って、カメラに向かってピースを作った。
「俺、冴っていう最高の彼女がいるんだ。……隣の部屋に住んでて、ダンスがバキバキに上手くて、つり目が超可愛い子。……みんな、俺たちを『箱推し』してくれない?」
会場中が、今日一番の絶叫に包まれる。
モニターの向こう、楽屋で見ていた冴は、顔を真っ赤にして「バカ……! 本当に言っちゃった……!」って頭を抱えていた。
その横で、兄の海斗(かいと)が「……あいつ、マジで漢(おとこ)だな」って笑ってる。
さらに、リーダーの湊(みなと)が割り込んできて、「あ、俺たちも公認なんで! 凪のヤキモチ、マジでうるさいんで応援してやってください!」って追い討ちをかけた。
その夜、SNSのトレンド1位は独占。
『#凪の秘め事』『#冴ちゃん可愛すぎ』『#公式カップル爆誕』
翌日、マンションの廊下。
「……凪、あんたのせいで外歩けないわよ。露出多めの服も、もう着られないじゃない」
「えー? いいじゃん。……これからは、俺が選んだ『カップルコーデ』でデートしよ? ……ね、冴?」
あざとい笑顔で抱きついてくる凪に、冴は呆れながらも、その腕を振り払うことはなかった。
コメント
7件
第6話、読み終えました!冴がベランダから飛び込んでくるシーン、めちゃくちゃ熱かったです…「逃げんな!!」って叫ぶ彼女の覚悟と、それに応えて抱きしめる凪の感情が一気に爆発して、胸がぎゅっとなりました。最後の生放送で公にしちゃう展開も「言ったぞ…!」って感動。そしてラストのカップルコーデのやりとり、ほっこりしました。続き、すごく気になります!