テラーノベル
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「やっば!…無属性魔法,魔法壁(ガード)!」
大きな爪が私たちに向かって飛んでくる。この魔物,たたものじゃない。
「剣魔夢想(ソードナイト)!」
スカイが剣を大剣へと進化させ,魔物へとぶっ刺す。…あれ,スカイってこんな魔法使えたっけ。
大剣が刺さっても魔物の体は無傷で,元気に襲い掛かってくる。魔法壁で防いでも,すぐに次の攻撃がきて攻撃し返せない。そしてなにより私たちの体力を無くしてくる。このままじゃあともって数分。スカイは私よりも体力がないからもう倒れるだろう。
「エアリス!後ろ!」
「え__」
あの研究者がすぐ後ろにいた。どうしてもっと早く気が付けなかったんだろう。
「いったぁ…。」
「お嬢さんたち,君達をかまっている時間は私にはもうない。消えてくれ。…暗黒世界,ブラックホール!」
大きな闇が出てくる。あれは,禁忌とされ,もう何百年も前に封印された魔法。どうして,あれは私のお母さんたちが封印したはず。あの男が復活させた?でも,その魔法陣や詠唱魔法の書物は全て焼き消したはずなのに。
「くっ…」
あいつの連れていた魔物もブラックホールに飲み込まれていく。私たちも早くしないと闇に飲み込まれて行ってしまう。
「あんた!どうやってその魔法を復活させたの!」
「…おやおや,君はあの女の子か。どおりで見覚えが。」
やっぱりお母さんを知ってる。
ブラックホールの威力はどんどん強くなり,私がつかまっていたポールの根が見えてきた。
「スカイ!…スカイ,もしも死んでいなくなったとしても私たちはきっと__。」
「つながってる。大丈夫だよ,俺一回死んでるし。」
そう誓った後,私たちは闇に飲み込まれた。
闇の中は音がなく,先に飲み込まれた魔物達やスカイがいない本当に孤独な場所だった。
(ここから出れるのかしら。)
自分の姿は薄く,透明になりかけていた。
そういば私、無属性魔法も使えるようになってたな…
スカイも、私の知らない魔法を使っていた。なんだろう、いつもと違う。あの研究所に入ってから。
(さて、ここから出ないと。スカイと約束したもの。)
果てしない闇を歩いて、歩いて。何分、何時間という時間を費やし、歩き続けても見えるのは闇だけだった。
(あぁ、とうとう私もここまでなのね。)
体は、とっくに闇に飲まれていた。体が静かに崩れていく。
(スカイ…。)
私の願いを聞いてくれる優しい神様がいるのだとしたら。いや、もう神様でなくてもいい。悪魔でもなんでもいい。願いを聞いて。
(スカイともう一度会わせて。)
『願いはそれで良いのか。エルフよ。』
誰…いや、私はこいつを知ってる。
(ええ、お願い。)
そうして、私の体は完全に滅びた。
to be continued→
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