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「…お前、口止め料ってこれでいいのかよ」
「御影せんせ、あんがとね」
「何を強請られるかと思えば…ゲームの新作か」
俺は御影先生の内緒事を隠す条件として……新作のゲームを買ってもらった。
今は公園のブランコに揺られながらゲームを攻略しようとしている。
「こういう時って現金か体のどっちかだろ普通…」
「…御影先生って、なんか感覚ズレてるよね、おりゃっ」
「そうかー?」
「うん…そんな展開、空想の中でしか起こり得ない、と思う」
「…悪かったな」
御影先生は少し拗ねながら頬を膨らませた。
そっぽを向いて頬を赤らめるその姿が何だか…。
「…ありゃ、ゲームオーバーだ」
「あっちゃー、よそ見とかしてたんだろ。さっきまで散々コテンパンに敵やっつけてたのによ」
…よそ見、なのかな。
よく分かんないや。
「…それにさ、」
「ん?」
「俺別に…御影先生のこと、言うつもりとかなかったし」
「…そう、だったのか?」
「だって俺にメリットないし」
「…待てよ?お前、それだと俺のゲームの奢りは必要なかったってことじゃねえかよ」
「うん、でもせっかくなら貰えた方が嬉しいから利用した」
「悪知恵働かさんなっつーの」
「うぎゃ」
頭をわしゃわしゃと撫でられ俺の首はぐねんぐねんする。
ちょっと雑で、それでいて優しさがこもった右手に頭を撫でられるのは気持ちが良かった。
笑っている御影先生は、嫌いだった。
…何でだろう。
俺には分からないことだらけだ。