「改めまして、はじめまして、乱歩、、、さん?」
どっちなのだろうね、と困り眉で聞く太宰。
「まぁ、どちらでも私は良いよ。」
乱歩がそう云ったので、太宰が「私?」と聞いた。すると乱歩は、
「おかしいか?笑」
と聞いてくるので、太宰はいいや?と微笑した。
ある日、突然のことだった。
「太宰、私からお前に云っておきたいことがある。」
乱歩は、太宰のことをビルの屋上に呼び出した。
「どうしたの?」
平然と問う。しかし、その声は何処か震えていたようにも聞こえた。
そりゃぁ震える。だって、もうビルの端から乱歩の踵が浮いているのだから。
「本を知っているか?なにもない白紙の本なんだ。」
「知ってるよ、三人同時に知ったら世界が壊れる、というやつでしょ、、、?」
乱歩は悲しげな瞳を揺らして云った。
「もうすぐ、新入社員が入るだろう、そこで約束を一つしてほしい。」
「何、?何でもするよ、僕、、、ッだからその脚を、、、ッ!」
太宰が必死に叫ぶ。自分たち以外に誰も居なかったため、歯止めなどいらないと思った。
「その新入社員に、本のことを教えるんだ。其の時のために、私、、、僕は死ぬ。」
どうしても、太宰は止めたかった。でも、無理だった。
「探偵社、か、、、」
乱歩が呆れた、とでも云うように声を発する。その声は、ただただ震えていた。
ようやく、脚が建物から離される。
「僕には遠く及ばないくらい、きれいで美しいところだったよ___お父様、お母様。」
重力のままに落ちてゆく。
太宰は泣き崩れた。大粒の涙を、独りで声を殺しながらこぼした。
下の階から悲鳴が聞こえる。其の悲鳴さえも聞こえないくらい、
太宰は感情に左右されていた。
それを背中で聞きながら福沢は思う。
本当に、あの子に感情そのものを教えてしまって、よかったのだろうか____。
The,end_____.
みてくれてありがとぉ〜ぜひ♡おしていってくださいね〜
コメント
3件
えぇぇめっちゃ好きです !!最高でしたー!