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nmmn注意
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ご本人さまには関係ございません
捏造注意
まえがき
ゆなゆたです。
今回が一応この小説の最初考えていたおおまかなストーリーとしての区切りになります。もちろん、番外編も書く予定です。需要があれば。このシリーズの二章も書きますよ。需要があれば。というか、もう既に考えてるんですよね。
とりあえず、最後になるかもしれないので謝辞を。
いつもいいねをしてくださるみなさん、ありがとうございます。コメントも大いに励みになっています。ありがとうございます。
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桜の蕾と木の下で
「俺の答えは……」
そう言ってどぬちゃんが差し出したものを見て、俺は目を丸くした。
それは──金平糖、だったから。どぬちゃんは続けて、こう言った。
「……話さなきゃいけないことが、あるんだ」
それはとても、真剣な声だった。俺は頷く。どぬちゃんはゆっくりと、懐かしむように、話しはじめた。
──人間だった頃、俺はこの神社の神主の息子だったんだ。ずうっと昔のことだから、あんまり覚えてないけど、友達はたくさんいる方じゃなかったとおもう。もふくんと会うまでみたいに、掃除をしたり、家事をしたり、桜を見たりして過ごしてた。
毎日がちょっとつまらなくなってきてたある日ね、人気のない神社に、ひとりの男の子がやってきたんだ。
迷子になったんだったかな。大人みたいに礼をして、子供らしい不安そうな表情で鳥居をくぐって。そして俺の顔を見て、目を輝かせて、その瞳、綺麗だねって言ってくれた。
その子はとっても頭がよくって、いつまでも優しくって、神社から出たことがなかった俺を連れ出して、たくさん知らない景色を見せてくれた。俺がひとと関わるようになって、友達が増えたのはその男の子のおかげ。
その男の子が……君が特別になるのはそんなに後のことじゃなかった。まあ、当たり前だよね。
まだ君も俺も幼かったから、好きの交換は案外素直にいったんだ。俺たちは晴れて恋人となって、その……キスとか、ハグとか。デートもしたかな。えっ、それ以上は? もー! これ真剣な話なの! もふくんってば恥ずかしいからやめて!
こほん。とにかく、色んなことをした。幸せだったよ。お花見もピクニックも雨宿りもプールも肝試しもお月見もハロウィンも紅葉狩りもクリスマスも大掃除もお正月だって一緒に過ごしたし、バレンタインデーとかホワイトデーだってお互いに渡しあった。
何日も何ヵ月も一緒に同じ時を共有してたんだよ。今の俺たちみたいにね。ずっと続けばよかったな。でも、二人で天寿を全う、なんてことはできなかった。
水族館に行ったんだ。二人で色んな魚を見て、今日の夜、お寿司にする? なんてムードのないことを俺が言ったっけ。二人で観覧車に乗ってさ、ロマンチックにキスしちゃった。えへへ、こういう話するとなんか照れるね。あ、過去の自分に嫉妬しないでよもふくん。
それで、お寿司食べて、二人で帰って、また明日って言った夜。お父さんに、もうもふくんと会うなって言われた。なんでって聞いても、なにも答えてくれない。毎日毎日、もふくんは来てくれたのに、今日は忙しい、今日は忙しいって、言わされ続けて。
嫌になって、こっそり家を抜け出した。もふくんの家は知ってた、お泊まりしたこともあったから。インターホンを押すと、すぐにもふくんが出てきて、どうしたのって言った、なにも答えない俺を見て、じゃあ散歩に行こっかって誘ってくれたよ。
今思うと、お父さんはこの未来が見えてたのかもしれない。散歩しながら全部しゃべってたら、涙で前が見えなくなってきちゃって。だからかどうかわかんないんだけど、気づいてなかったんだ、車線を越えて、こっちに向かってくる車に。
もふくんは俺を突き飛ばして、俺だけ助かるようにした。轢き逃げ、だったんだ、あれ。血塗れになったもふくんを見て、もっと涙が出た。さっきも言ったけど、俺は幼かった。その頃の俺はひとは車に轢かれたら死ぬものだとおもっていたし、携帯電話もなかったから、ただひたすら泣き続けた。
そうして数十分経ったくらいかな、昔もふくんから聞いたまじないを思い出したんだ。知ってる? へぇー、バイトのひとから聞いたんだ。古いものなのに、よく知ってるね。血塗れになりながらもふくんを運んで、穴を掘って。来世でも、ずうっともふくんの特別が、初恋が俺でありますようにって。
俺はこの桜の木の下に──。
まじないを知ってるならわかるでしょ、この木の意味。俺ともふくんを繋ぐもの。その代償に、俺は神様になっちゃったけど。……重いよね、俺。神社から出られないのも、もふくん以外の人間には見えないのも、俺をこの世界に繋ぐものが、桜の木の下にいるもふくんしかいないから。もふくんは、まじないのせいで俺のことが好きになっちゃったのかもしれない。ねえ、もふくん──
「それでも、この金平糖、受け取ってくれる?」
どぬちゃんの話は、俺を動揺させるのに十分だった。今だって、その壮絶な話を受け入れられずにいる。でも、ただひとつ、言えることがある。
「俺がどぬちゃんを好きになったのは、まじないのせいなんかじゃないよ」
そう言い切って、金平糖が入っている瓶を持ち上げる。どぬちゃんの瞳が、驚きに揺れた。
「昔のことは、まだ混乱してて完全には飲み込めてないけど。俺は、俺の意思でどぬちゃんが好きだよ」
突然、目の前のルビーとサファイアから、ぽろり、と雫が零れ落ちた。
「えっ!? まってどぬちゃん、そんなに思い詰めてたの!? は、ハンカチいる!?」
焦りながらポケットに手を入れようとする俺を、どぬちゃんが首を横に振って止める。ぐすん、と鼻を鳴らしてから、さっきから大人しかったどぬちゃんは堰を切ったように話しはじめた。
「だって、あの頃の俺、おかしくなってたんだ。話したら、嫌われると思ってたから……。その、嬉しくて……!」
抱きついてくるどぬちゃんを驚きながら支えて、そっと背中を撫でる。安心させようと頭にそっと口づけると、詰まったような声でなにするの! と聞こえた。どうやら照れているらしい。……顔が見たい。
「だって俺たち、ずっと前からこうしてたんでしょ? これくらいいいじゃん。それより顔見せて」
どぬちゃんはしばらくいやだいやだと言っていたものの、悲しそうな声を出してお願い、と言うと、素直に顔をあげてくれた。……いつか騙されないか心配だ。
「ありがと」
そう言って、今度は唇を重ね合わせると、どぬちゃんがかぁぁ、と林檎みたいに赤くなった。ぽそり、と呟く。
「……もふくんってこんな積極的だっけ」
「んー、まあ機嫌がいいからね」
そう言って、頭をさらりと撫でる。くすぐったがったり恥ずかしがったりしながらも嬉しいとは思っているようで、どんどん涙より笑顔の方が多くなっていった。
しばらくじゃれあっていると、すっかり涙の乾いたどぬちゃんは眠くなってきたらしい。あれだけ泣けば当然だろう。どぬちゃんはさらっと俺の膝の上に寝転がった。いつの日か見た夢を思い出す。心臓に悪い。どぬちゃんは眠たげな声で、
「もふくん」
と俺の名前を呼んだ。俺は努めて平静を装って、
「どうしたの、どぬちゃん」
と返す。返す声が優しく、甘くなってしまったのは仕方ないと思う。
「……ずっと俺の、恋人でいてくれる?」
「もちろん」
そんなことなら、言わずとも。どぬちゃんは嬉しそうにふふっと笑ってから、目を閉じて眠りの世界に落ちていった。
ーー
石階段をおりていく。慎重に、慎重に。大分下の方までおりて、まだ蕾のままの桜の木が見えた瞬間、慎重に、だなんて言っていた俺は消え去った。懐かしくて、動きたくて動きたくてたまらなくって。もふくんの手を引いて、一気に下へ駆けおりる。後ろから驚く声が聞こえたけど、気にしない気にしない。
「外に出れた……! 出れたよもふくん!!」
きゃっきゃっと子供みたいにはしゃいで、もふくんに抱きつく。また俺たちが恋人になって数日が経ったある日、俺は何故か外に出れるようになっていたのだった。今まで出れたのは、神様の集いがある神無月だけだったのに……。まあ、外に出れるのはもふくんが近くにいる時だけだけど。
なんでかな?ともふくんに聞くと、
「これは推測だけど……どぬちゃんをこの世界に繋ぐものが、木の下の俺じゃなくて、目の前の俺になったからじゃないかな? ほら、したでしょ、キス」
と答えてくれた。キスされた時のことを思い出して、少し顔が赤くなる。キスで神社の外に出られるようになるって、おとぎ話みたいな話だなあ。じゃなくて、それよりも。
「じゃあ、またもふくんと一緒に色んなところにいけるってこと!?」
もふくんが、多分そういうこと、と頷く。俺にとってはこっちの方が大事だった。もふくんと、色んなところでたくさん遊ぶこと。それは、ずっと前からの俺の夢だったから。
「さて……。どぬちゃん。俺ともう一度、初デートしてくれる?」
「うん!」
もふくんの言葉に、大きく頷く。断る理由なんてなかった。
まだ咲いていない、桜の蕾の木の下で、俺たちは笑いあう。この幸せが、ずっと続きますようにと、俺も、きっともふくんも、そう願っていた。
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第一幕 完
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To be continued……?
コメント
4件
2章、番外編見たいです!